第6話 初デート

 「凛音~」

私を呼ぶ声が聞こえる。

待ち合わせ時間ぴったり、ちょっと抜けてるところあるけど意外と几帳面な性格なんだな。


 私は楽しみすぎて1時間前に来てしまった。まあそんなこと春香に知られたら私のイメージ壊れるから絶対言えないけどな。


 「春香~」

凛音が手を振っている。

凛音も楽しみにしていたようだ。

1人で勝手に浮かれていたわけじゃなくてよかった。


 「そういえば私が希望したスカイツリーになったけど春香は行きたいところないのか?」

「……強いて言うなら凛音の行きたいところ」

「……」

凛音は平静を保っているつもりだろうが少し口角が上がっている。

最近の私の押しが効いてきてるみたいだね。凛音の表情筋が緩んできてる。








 電車に乗って墨田区まで来た。

言ってなかったが私たちは東京に住んでいる。


 「凛音は墨田に来るの初めて?」

「ああ、今日が初めてだ」

「迷子にならないようにね」

「私は幼稚園児じゃないんだぞ、それに春香も一緒だ。……迷子になるときもな」

「怖いこと言わないでよお」

「ふふふっ」

「あははは」







 東京スカイツリーに着いた。

「うおーすごいな、これがスカイツリーか」

「おっきいね」

今日の分で予約できたのは本当にラッキーだった。

「中は意外と普通なんだな」


チケットカウンターでチケットをもらう。

「早く展望デッキ行こうよー」

「ああ、私も楽しみだ」

4階のエレベーターに乗り展望デッキに向かう。


 エレベーターが動き出すと体がふわっと浮いたような感覚になる。


 「うわっ」

凛音の方へと倒れてしまった。

しかし凛音はそれをしっかりと受け止めてくれた。

さすが凛音、体幹強いね。

「大丈夫か春香」

「凛音のおかげで大丈夫だよ」

そういうと少し凛音の頬が赤くなったような気がした。




 エレベーターが止まり展望デッキに着く。

「うぅ、耳がいたいぞ」

「そういうときは唾を飲み込むとよくなるよ」

凛音の喉からごくりと唾を飲み込む音がする。

私の血を吸ったときと同じだ。

そういえばいつ血を吸うか相談してなかったな、あとでトイレにでも入って吸ってもらおうかな。


 展望デッキの窓の方へ歩いていく凛音に着いていく。

「うおぉすごいな、ビルが小さく見えるぞ」

高いところに来てはしゃいでる凛音も可愛い。

「遠くまでよく見えるね」

「あそこで写真が撮れるみたいだな、私たちもやるか?」

「いいね、やっちゃお」

スタッフさんにスマホを渡して写真を撮ってもらう。

写真撮るだけで1500円はさすがの観光地という感じだ。

「それではいきますよ、ハイチーズ」


 「ありがとうございました」

私のスマホに新たな凛音との思い出が刻まれた。

「凛音にも写真送るね」

「ああ、助かる」


 「そういえば展望回廊も行けるみたいだけど行きたい?」

「行ってみたい」

展望回廊ではガラス張りの床もあるとホームページに書いてあった。

そこでも凛音と写真撮りたいな。









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