第31話 強烈な吸血衝動
「お待たせ~」
「おっ、待ってたよ可憐」
「じゃあ帰るか」
「そろそろさっきの事、話してもらおうかな」
「……うぅ」
「絶対怒らないって約束するから」
頭を撫でながら、話すように凛音に促す。
「先輩の頭撫でてるの、羨ましいなあ」
「彼女である私だけの特権だからね」
「私は別に可憐ちゃんでも良いけどな」
「やだっ、私が許さない~」
「独占欲強すぎるよ」
「話していくとするか」
「おっ、待ってました」
「この春香と先輩だけの秘密を知っていく感じ、悪くないね」
「あの時は、血が吸いたい! っていう気持ちが抑えられなくなったんだ。これまでこんなこと一度も無かったから自分でも驚いてる」
「衝動的なものだったって事?」
「そういうことだ」
「なんか怖いですね」
「怖い……よな」
凛音が可憐の怖いというワードに反応してシュンとなってしまった。
「ちょっと可憐!」
「はい……ゴメンナサイ」
「原因は分からないの?」
「全く分からない。また親に聞いてみるとするよ」
「先輩は親も吸血鬼なんですか?」
「ああ、吸血鬼の血統だからな」
「これでちゃんと言ったぞ」
「ちゃんと言えて偉い」
「偉いなら……キスとかして欲しい……かも」
先輩が春香にめっちゃデレてる……。ホントに羨ましい。
1日だけで良いから春香と入れ替わってみたい。心からそう思うほどに私は春香を羨ましがっているのだ。
「え~っ、仕方ないなあ」
凛音の左頬にいつものようにキスをする。唇から凛音の温かみが直に伝わってくる。
可憐から凄く視線を感じるが、凛音が私に求めてるんだから仕方ないよね。
「ふふん♪」
「先輩、ご機嫌ですね」
「春香の血も吸ったし、頭も撫でられたし、キスもされたからな。凄く幸せな気持ちだ」
今日、凛音の正体に気づかれたのが可憐で本当に良かった。
もし、可憐以外の人間にバレていたら大変な事になっていただろう。
凛音が暴行罪とか傷害罪とかで捕まるかもしれないし、吸血鬼だとバレたらそれどころの話では無かっただろう。凛音だけでなく、凛音の家族にまで危険が及ぶかもしれない。
そう考えると、今日のあの状態はかなり危険だったと言えるだろう。
凛音には今後、このような事が無いようにしてもらいたいところだが……。
「もう今日はお別れだな」
「そうだね」
「また一緒に帰りましょうね、先輩」
「もちろんだ」
今日はやってしまった……。
確かに血は好きだがあれほど衝動が抑えられなかったのは初めてだった。
とりあえず原因を親に聞いてみよう。もしそれで分からなかったら……。
かなり辛いが、春香とは一度距離を置いた方が良いのかもしれないな。
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