第25話 体育祭のチーム分け

 「明日から体育祭の練習があるね」

「春香と同じチームだったら私は嬉しいぞ」


 うちの高校のチームは運動がどの程度できるかで、程度の平均がちょうどよくなるように青、赤、緑、黄の4つのチームに分けられている。

今日はそのチームが発表される。


 しかし、今は正直そんなことどうでもいい。

今、私は凛音と恋人繋ぎをしている。

昨日は普通に手を繋いでいただけだったが今日は進化している。


 「どうして今日は恋人繋ぎを?」

「こういうこと言うのはあんまりよくないと思うけど……元カノとしてたの思い出した」

「そっか、じゃあ私ともいっぱいしようね」

「ああ」


 春香が恋人繋ぎを受け入れてくれた……。

まあ拒否されるとは思ってなかったが。

はあああ!!

好き!!

春香大好き!!






 「可憐と陽実はどの組と一緒になりたい?」

「とりあえず、朝倉先輩のいる2年3組は絶対一緒が良くて……3年は別にどこのクラスでもいいかな」

「私も同じかな。3年生とは全然関わりないしね」

「私含め、全員同意見みたいだね」


 チャイムが鳴る。

この授業でチーム分けが発表される。

ドキドキ。


 「それじゃあ、チーム分けを発表していくぞ」

お願い。

2年3組以外なら不登校。

2年3組以外なら不登校。

2年3組以外なら不登校。

そんな呪文を心の中で唱えながら祈る。

ただひたすらに祈る。


 「このクラス、1年1組は……」

お願いお願いお願いお願いお願いお願い。






 「2年3組、3年3組とのチームだ」

「うおーーー!」

「どうした橘、急に大声出して」

「あっ……すみません」


 クラスが笑いに包まれる。

友達にはぐいぐい行くが、私は陰キャだ。

こういうのは結構メンタルに来る。


 「橘はそんなにこのチーム分けになったのが嬉かったのか?」

「……はい」

「それはよかったな。その大声出せる元気を体育祭にも活かしてくれよ?」

「……」

「ふふっ。このまま残りのチームも発表していくぞ」


 先生私のこといじりすぎ!

心拍数上がりすぎて心臓爆発するかと思った。

これ以上目立ってたら本当に爆発してたかも知れないよ。


 でも、凛音と一緒のチームになることができた。

やったね。




 私はとにかく春香たちがいる1年1組と一緒になりたい。

頼む。

「チーム分けを発表していきます」

……ドキドキ。

「2年1組は1年3組と3年2組」

「2年2組は1年2組と3年1組」


 ここまでに1年1組が出ていない。

ということは……。


 「2年3組は1年1組と3年3組だ」

よしっ!

春香と同じチームだ。


 「朝倉さん、よかったね」

「ああ」

隣の席からひそひそと話しかけられた。

でもこの人、名前覚えてない。

誰だったっけ……。








 








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る