第34話 彼女が居る時間
「凛音!?」
「春香が来るの楽しみに待ってたんだぞ」
「とりあえず鍵開けるね」
「ああ」
「ただいまー、私の家」
「お邪魔します、春香の家」
「何それ~」
「ふふふっ」
「んははっ」
「今日もまた甘やかして欲しいの?」
「甘やかしてくれるのか?」
「凛音がそうして欲しいなら」
「じゃあ遠慮なく甘えさせてもらうとするよ」
凛音を連れて寝室へ移動し、ベッドの上で正座する。
「私に好きなだけ抱きついていいよ」
「ふふん♪」
凛音が私に勢いよく、それでいてソフトタッチで抱き締めてきた。
春香の包容力は凄まじいものがある。
私を受け入れるその姿はまさに聖母マリアだ。
私はこうして優しく包み込まれるような感覚をとても気に入っている。
もう少しこうして抱き合っていたいところだが、今日はハグ以外にも試してみたい事がある。
「春香?」
「ん?」
「……膝枕とか……やってみてくれないか?」
「膝枕かぁ~。いいよ、やってみよっか」
「ありがとな」
春香が正座から体勢を変え、足を伸ばして座り直した。
足を伸ばした春香の太ももに私の頭を乗せてベッドに寝転ぶ。
「私の膝枕はどんな感じ?」
「硬すぎず、柔らかすぎない太もものほどよい肉感。最高だ」
「感想なんかきもーい」
「ひどいな」
「ちょっと起きてくれる?」
「もう終わりなのか?」
「まだまだ」
春香がベッドの上で立ち上がり、スカートを脱ぎ始めた。
「何してるんだ!?」
「好評だったからスカートの上からだけじゃなくて直接の感覚も味わってもらおうかなって」
春香が下半身だけ下着になってまたベッドの上に正座した。
「はい、準備OK」
「じゃあ、失礼するぞ」
「んん~、いい感じだ」
「私の体で喜んでくれて私も嬉しい」
「頭も撫でて欲しい」
「はいはい」
優しく私の太ももの上にある凛音の頭を撫でる。
そうすると凛音は私に向かって笑顔を向けてくる。
「凛音、吸血衝動は抑えら」
「それ以上言わないでくれないか?」
「えっ」
「今はその話したくない」
都合の悪い話を全力で嫌がる凛音が小さな子供に重なって見えた。
しばらく甘えて、そろそろ凛音が帰る時間がやってきた。
「本当はもうちょっと甘えたいんだけどな」
「もう8時前だからね。いつもより遅くまで居たし今日はもう帰った方がいいよ」
「最後になるかもしれないからもっと甘えたかったんだけどな」
小声でそう呟く。
「ん? 何か言った?」
「いや、気のせいだと思う」
「明日は一緒に登校する?」
「……したい」
「じゃあしよう。もし暴走しても私が全力でカバーするから」
「優しい彼女が居てくれて私は凄く幸せだよ」
「オーバーだね」
「じゃあ、また明日な」
「うん、また明日」
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