第27話 通学路でイチャイチャ

 今日もいつも通り、2人で登校する。 


「春香? 昨日の同棲の話についてなんだが……」

「ダメだった?」

「いや、まだ私は相談してないんだ」

「私の家族はOKだってさ」

「私の家族は優しいからダメだと言われても怒られたりはしないと思うんだがな。どうしても勇気が出ないんだ」


「昨日私が勝手に出した話だから無理して相談しなくてもいいんだよ」

「いや、私は春香と同棲したいんだ。だから何とかこの1歩を踏み出す勇気が欲しいのだがな」

「凛音がそういうところで奥手になるのちょっと意外かも」

「私のこと、普段どんな目で見てるんだ」

「言いたいことは言う。やりたいことはやる。みたいな感じだと思ってた」

「私、全然そんなのじゃないからな」


「今日から体育祭の練習だね」

「私はサボりたいぞ。というか春香がいなかったらサボってた」

「凛音は練習なんてしなくても十分動けそうだしね」 

「私は100メートルを12秒で走れるんだぞ。私に練習など不要だ」

「12秒!?」


「吸血鬼は基本的に皆、身体能力が高いからな。私でも吸血鬼の中では普通な方だ」

「凛音より動ける吸血鬼はどれくらいなの?」

「100メートルなら10秒切れるかも?」

「吸血鬼はやっぱり人間とは別の生き物なんだなって感じさせられるなあ」


「まあでも、今の吸血鬼は基本的に人間との混血なんだけどな」

「純血の吸血鬼はもういないの?」

「多分もういない。適応できない種は淘汰されていくものだ」


「春香、そろそろ学校に着くな」

「うん、そうだね」

「学校に着く前に……その……」

「ん? どうしたの?」

凛音が自分の頬を指差しながら見つめてくる。

「キスして欲しいの?」

そういうと凛音はこくりと小さく頷いた。


「全く~、凛音は欲しがりさんだな~。ちゅっ」

「……っ!」


 春香の唇が私の頬に触れた瞬間、全身に衝撃が走ったような感覚になり、体が犬の様に震えた。

春香のキス……やはり凄まじい破壊力だ。


 「どうしたの凛音、急に体震わせて」

「春香のキスが効いただけだ」

「そんなに?」

「ああ、凄く効いた。だから……」

今度は凛音が私の頬にキスをしてきた。

「私からも返しておくぞ」


 凛音からもキスしてくれた……嬉しい。

何か体が少し熱くなってきた。

私、キスに興奮してる?

凛音が毒を使った訳でも無いだろうし、これはただ自分の体がキスに反応して起きた現象なのだろう。

体は本当に正直だね。


 「どうした? 顔が赤いぞ?」

凛音が悪戯っ子のように笑い、私に語り掛けてくる。

「これは……別に何でもないよっ!」

「そうか。ふふふっ。ほら、学校行くぞ」

「笑わないでよお……」







 



 



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