第9話材木商人救出と下手人の片鱗

船室と戸棚を挟んだ操舵席と中央の通路をはさんだ管制席に座るアレッサンドラが

船室キャビンの方で不愉快な話がされておりますが止めて来てもよろしいでしょうか」

「僕は気にしないからサーシャも気にしないで」


とは言いながらも、どこか嬉しそうな顔をしている海尋に


「おや、そのようなお顔をされるとはお珍しい(REC)。今後は「男の娘」推しで参りましょうか?もっともベッドで喘ぐ様は本当女の子の様で禁忌の愉悦に浸る私にはこれとないですが」


「やめて」


拗ねてそっぽを向いた真っ赤になった海尋の顔を横目で覗き見ながらクスクスと小さく笑う。


「相手は「リアル」だよ、NpcでもPCでもない。僕らはVR(仮想現実)で、ここがVRかリアルかは分からないけど、VRで作られた物をリアルと認識しまっている以上どうでもいいや。

彼らの銃の刻印が3丁とも違ってたんだよ。主役級個人の専用武器でもあるまいし、汎用品に専用テクスチャなんてVRでこんな手間はかけないでしょう。銃身の減り具合から見てもかなり使われてるみたいだったよ。最悪、かなり充実した陸戦兵力を持ってるかも知れない。VRの僕らみたいにリアルの住人がここに迷い込む事も考えられる。でもヴァルキアって島国からは出てこれないかな」


「帆船じゃ船一隻に戦車一両がやっとでしょうか」


「燃料、弾薬、剣と弓矢の世代に鉄と火薬の兵器運用なんて考え方が追いつかないと思うな」


「賊の目的は木材の伐採ではなく油田の試掘ないしは採掘、とお考えですか?」


「恐らくは油田の方だと思う。兵隊さんって実は博学な人が多いから精製法を知ってるかも、僕らの存在がバレたら血眼で奪い取りに来るだろうね。物資弾薬、何よりみんな美人揃い。略奪陵辱、下半身が羅針盤、早々に全部殺しちゃおうっか。んふふふふふ。センソーだよセンソー。ん?これもAIによる人類への反逆になるのかな?」


先程の嬉しさでやや頬が朱を帯びたまま、瞳を上弦の形に歪ませてどこともなく見やる視線にまだ見ぬ敵の姿を捉え満足そうに口の端が吊り上がる。元の造形がいいだけに悪巧みの愉悦に浸る顔も妖艶とまではいかないものの、少年特有の楽しい悪戯を企む楽しさと他人を手玉にとって快楽に浸る悪女のような愉悦の笑みが隠す事なく浮かび上がる。


「海尋様。悪いお顔になってますよ。(ヤバイ!溢れ出る色気で濡れる滴る勃起する

心のペニスが破裂するっ!)」


「えっ!?嘘っ!やだっ?」

両手で頬を押さえてグニグニ動かした後、眼前に並ぶ計器を一通り見渡し、船室の窓からすでに市街地を離れ、岩が剥き出しになった薮の茂った陸地とその向こうに雑木林、ブナヤカエデがまばらに生えて木々の間隔も帆広く・・・とは我々自動人形の眼でみればこそ。後ろの人間の目にはすっかり火が落ちて真っ暗な・・・真っ暗? 


詩的表現ならば蒼い月光の光に照らされてと表する所だろうが、暗視機能を切っても夜空の翠から紫へと変わるオーロラが地表を薄い翠に照らしている。動き回るには十分とはいかず足元の凹凸おうとつ

と目前の障害物くらいはかろうじて判別つくだろうかと言った具合である。果たして、後ろの一等航海士が人質救出の足手纏いにならなければ良いのだが。

 

 

 俺達が飯を食い終わった所で操舵席からミヒロと侍女が顔を出した。かなりの時間が経ったと思うんだが、食後のお茶なんぞを「こればかりは自分が」と侍女がテキパキと用意して俺たちの前に温かいお茶が並ぶ。さすがと言うか、ティーポットからカップにお茶を注ぐその上品で流麗優雅な動きは一切の無駄がなく筆頭様はともかくお付きの部下二人はこんな光景は2度と見られないだろうし、トレイにあった白いパンだって口にする事もないかもしれない。


「白いパンなんて初めて見て初めて食った」だの、これが肉か?歯応えがあるのに柔けぇ!?」


と少々騒がしかったもんだから、召使が仰々しく入れたお茶なんぞ言わずもがな、だ。すっかり恐縮して縮こまっちまった。それに反して筆頭様は足組んで踏ん反り返って威厳は崩さずといった感じだが、


「綺麗な色だ。香りも良い」


と受け取ったお茶を見てそう言った。

一通り落ち着いた所で

「さて、それではヴァルキアの密伐採グループに捉えられた材木商人バンゴ・ブリザットさんんの救出ですが」


「おいちょっと待て、その密伐採人どものお仲間の面前でやんのか?」


「べつに影響ありませんし、・・・みなさん別部隊でしょう?」


「密伐採仕切ってるのはリルさん達のような軍属ではなくてもっと上のヴァルキア王家直近組織で軍とは別の、暫く前に組み込まれた正体不明の連中なのではありませんか?」


並んで座る三人を見ながらスラスラと言葉を流す。


「なぜ分かる?」

筆頭のリル・リーメイザースが眉間に皺寄せた険しい表情でそう答える。


「当たってるだけに癪にさわる。最近侯爵派に加わった連中の差金だと思ってる。私は別系統で材木商人の行方探しに来た奴を追い返すか拘束しとけと命令されただけだ。それ以上の事は知らん」


「そうですか。裏も取れたし、「これ」はお返し致します。ヴァルキア王家ではなくその下でしたか」

ブラハの港湾事務所でくすねてきた書類の入った入れ物をリルに渡す。中身の羊皮紙を開いて見るなり、リルの顔から血の気が引いてゆくのが分かるくらいに青ざめる。


「貴様!いつの間にこんなものを!あああっ!なんでこんなものまでっ!」


今にもひとまとめにぐしゃぐしゃに丸めて引きちぎりそうな形相で荒れ狂うリルに対して


「善良な市民からの協力です」


と涼しくサラッと一言返して、さてモイチさん、と俺の方を向いていつの間にかテーブルに映し出された地図を指して


「今はここです。で、この建物とテントの群れが野営地、その脇にある木組の檻にバンゴさんとバンゴさんの同行者たちが捕らわれているみたいです。上陸して歩いて、注意して歩く事になりますのでおおよそ1時間くらいのところでしょうか。歩哨の姿がありますが、これらは外敵よりテントに押し込んでる作業員、労働奴隷とか罪人の脱走防止でしょうかねぇで、その向こう、木で作った檻にバンゴさん達がいるんですけど、辿り着いてもゆっくり全員救助してる時間はないでしょうから・・・」


テーブルの上に展開された、やたら肉眼で見た景色に近い画像が地図に現れ、ミヒロが手を翳すと、その部分が周りよりも明るく、明瞭になる。翳した手の平をひっくり返し、くいっと上に動かすとその部分が浮かび上がり、望遠鏡で見たように拡大模型のように姿を変える。ミヒロの手の動きに合わせて浮かび、周り、あらゆる方向から観察することが出来る。そして、手のひらで押しつけられれば元の平面に戻る。


ミヒロの説明に耳を向けながらテーブルの上に現れる模型のような情景に注視していると、向かいに座るリル・リーメイザースが口を挟んできた。


「おい航海士。「これ」は一体どうなっているんだ?」


「しらねぇよ。」と即答し。「この船だってミヒロちゃんのモンで俺たちとは違った技術と文化を持った、遠く離れた国の産物だ。詳しいことが知りたきゃミヒロちゃんに聞いてくれ」


「ミ・・ィルオ?・・・ミ・フィルォ?・・・発音がうまくいかん・・ミーロ・・・ミイロ?どこの出身なんだ?」


「まぁ無理すんな。俺だって異国の言葉にうまく発音できてるかなんて心配してたら口も開けやしねぇ」


「悪かったな!ストールンの人間は「H」の発音が苦手なんだ」


「茶化したした訳じゃねぇよ。そうすぐにカッカしなさんな」


ミヒロが地図と睨めっこして考え込んでいる間、ギスい会話をしていたら


「僕の呼称はどうでも良いんですが・・・」


と言葉を切って妙にスッキリ爽やかな顔つきで


「めんどくさいんで全部殺っちゃいましょうか」


と宣いやがった。後ろの侍女に至っては「おっしゃぁっ!」とばかりに横の戸棚から嬉々として長方形の黒い箱をドスン!とひっっぱり出して、「すでに準備は整っております」とばかりに腰に手を当て胸張って、「さぁ来い!やってやるぜ!」と気合十分だ。


「サーシャ・・・「ソレ」は無しで」


困り顔で次女を制すると、肩を下ろして涙目スゴスゴと重そうな箱を未練たっぷりに棚へ押し込めた。


「なぁ、ちょっといいか?」


そうリルが切り出すと、「はいなんでしょう?」って顔でミヒロがリルに顔を向ける。


「「黒札」の航海士がテュルセルの依頼で材木商人を探すのは分かる。だがミイロ、お前の目的は何だ?なぜ「青札」のお前がたかが材木商人一人に相手が軍隊と分かっても救出しようとなんて考えられる?少なくともヴァルキアの正規兵がいる中に飛び込むなんて、私には怖くて出来ない」


次女が「ちっめんどくせぇ」といった表情になってもミヒロは涼しい顔して


「友達が友達を助けるのに理由なんていらないでしょう。「友達」だから助けるんですよ。友達が友達を助けようとしている。だから手伝う。それだけですよ」


「馬鹿野郎っ!正規兵を甘く見るな!個人同士のつまらん喧嘩とは違うんだ!死ぬぞ!殺されるぞ!奴らは命令されれば女子供だって笑って殺し嘲笑って死体を犯すような戦闘狂なんだぞ!」


今にも掴みかかりそうな筆頭様を部下の二人が抑え留める中


「はいはい、ご心配どうも」と至って涼しい顔して


「殺しにくるなら尚結構。遠慮なく全部殺せる」開いた出口の向こう、ぼんやりと淡い緑が浮かぶ夜の静寂に向かいタラップに足をかけ、俺たちに背を向けて小さく呟く。


「いや、そうじゃない、「行くな」といってるんだっ!不正があるならそれを調べるのは私の仕事だ!侯爵派の叛意を調べて陛下に直訴すれば材木商の釈放だって!」「ふざけるな、「釈放?」材木商が何をしたというんですか?他国の領土を侵害、実効支配して武力を振りかざす輩が何を言う」


背中越しに癇煩どもを鏖殺した時と同じ静かに冷たい声で、振り向きもせず


「付いてくるなら勝手にどうぞ。ただし手出し口出し一切無用。モイチさん行きましょう。

サーシャ、茂一さんに暗視鏡を」


「御意」


次女がモイチの頭にひっくり繰り返した手洗い鉢のようなものを被せる。


「使い方は道中ご説明いたしますのでそのままお進みください」


海尋の横に次女が並び、その後ろに空撃騎兵の三人が続き、殿をモイチが歩く。

頭を覆おう手洗鉢はともかく、自分の顔を覆う少し膨らんだ部分は何で出来ているのだろうか、軽く指先で弾いてみると、コツコツと硬い音はするが、王都で見た「透明な板」のような冷たく響く音ではなく、軽くて鈍い音がした。耳元には周りの音と無機質な次女の声で、今頭に被っているのは暗闇でも見えるようにする兜なんだと聞かされる。


耳の下辺りから顎を回るように湾曲した丸い棒の所で声を拾えるので会話の際は大声を出さなくてもいい事、顔を覆う膨らんだ部分の下側、顎先辺りを上に押し上げれば顔がむき出しになって肉眼で目視できる事等々、もっと便利な使い方があるのだが、今は割愛致しますだのと教えられると、どのみち一回程度じゃご理解頂けませんでしょうから、覆いの上げ下げが出来るという事だけ覚えてくだされば結構ですとえらく小馬鹿にされた感じで少々カチンときたが、次女の毒舌にいちいち腹を立てていては大人気ないというものだし、この程度でキレる小物と思われるのも癪だ。


バンゴ達が捕えられている場所までは歩きで暫く、ミヒロが言うところの「コイチジカン」ってのは散歩気分程度の距離らしい。時間の単位と計り方も違うようなので面倒だが、軽く打ち合わせができるくらいの時間があって、尚且つこの被り物をしていれば、よほど大声出さない限りは空撃兵三人に聞かれずに済むって事だ。俺たちの向かう所とその経路、他にも色々目の前に映し出された時に、情けなくも大声出して驚いちまった。


おかげで空撃の三人に不審な目で見られ足元の鼠にでも驚いたのかと軽口を叩かれた。耳に集中すれば空撃三人が小声で話している内容もしっかり聞き取れるので、こっそり口にしたものでも筒抜けだ。どこらへんでトンズラするかと部下の二人から持ちかけられて、リル・リーメイザースはヴァルキア王直属として内部の謀叛の疑いを検分して陛下にご報告すべきであろうとの考えで、こいつらの戦力を確認するのも今後のために必要であろうとか、色々お考えでいらっしゃるが、ミヒロちゃん曰く「身代金払いにきました」で済ますつもりなんて事聞いたらどんな顔するやら。

 空はぼんやりと緑に明るく、森の中に入ると真っ暗とは言わないが、せいぜい木々の隙間から入り込んだ淡い緑の光で完全な暗闇ではなく、近ければお互いの位置ぐらいは分かるので安心はできる。森の奥へ奥へ進めばそれもなくなり、目の前の影が木だか人だかわからなくなる。そんな中に置き去りにされるのかも知れないと言った不安が空撃兵の口から漏れる。


木々の隙間から漏れる淡い緑の光が月光の白い光になりつつあるので、真夜中近くになってきているのだろう。視線を上空から地面へ移すと、いきなり目の前に魚の腹に湧く白い虫がのたくっている文字と矢印のようなようなものが視野の隅に流れてきた。それとほぼ同時に


「あ、ちょっと止まって下さい」


とミヒロが手の甲を後ろに向けて制止をかけるとしゃがみ込んで

地面近くで何やらゴソゴソやってると、

「間抜け罠です。足を引っ掛けたら鉄片とか撒き散らす殺傷能力の高い危険物です」

「警報代わりにしてはいい物使ってますね。有難く「使わせて」貰いましょう」


と侍女が続く。金属で作った波瓦を重ねたような僅かに湾曲した長方形のブロックをゴソゴソと背嚢に納めながら


「断線警報の配線もあるんだ、面白くなってきた」


「何がおもしれぇんだよ、単に厄介なだけじゃねぇのか?」そう返すと


「相手がそれだけ高度な作戦を組めるということです。我が主人はその裏をかいて負かすのが大好きなのです」


子供っぽいっちゃぁ子供っぽいんだろうけど、紙一重で性悪なのか?実は結構な戦略家なのかもしれん。素性はわからんが見た目の歳相応の子供なのだろうか、ただし性別はいつかこの目で確認しなきゃならんのだろうなぁとモイチが考えているうちにそこら辺の罠を解体し終わったようで、一行は前へ進み出した。進み出す前に上着のポケットから取り出した小さいキノコの出来損ないのようなものを空撃兵三人に渡し、それぞれ耳に入れるように指示した後少しして、


「おい航海士、聞こえるか?」とリルの声が耳に入って来た。


「おう聞こえるぞ」どうやら離れた相手と連絡を取り合える物のようだ。これで全員が全員に連絡取り合うことができるようになったのだが、こんな便利なものがあったら世の中ひっくり返るぞ。全くわからん連中だ。


 緩やかな斜面をいくつか登って降りて、を繰り返し、同様の罠に細工をして、下り斜面の中程でバンゴ達が囚われている場所が見えてきた。道中、小さな木の枝を折っては歩いたとに投げ捨てるミヒロからの指示で頭を低くして低い茂みに隠れながら近づくと、多分木樵きこりたちが使う仮設住居だったのか、考えたくはないがもしかしたらこの辺りは木樵達が仕事をする際の仮説住居だったのかも知れない。被り物を通して見ている俺とミヒロと侍女の三人には見えているが、空撃三人には暗い影しか見えないだろう。あちこちに破壊された廃屋点在していた。その中の一軒、小屋の側面から裏側に回り込みながら一番大きな小屋を観察すると

 平屋の山小屋が横方向に長く増築されて、その裏側に、地面に敷いた布の端を地面に立てた棒で持ち上げただけの陸上の行商人がやるような簡素なテントが張られている。


その簡素なテントの中にバンゴ達の檻がある。目の前に文字っぽいのも矢印っぽいのも現れないって事は、道中の罠っぽいものはないって事だろな。山小屋の正面には篝火が焚かれているがテントや檻の近くにはない。歩哨も篝火の付近に完全武装(フルプレート)の正規兵が二人、剣と「ヴァー」とか言う空撃三人が持ってた武器を大きくしたような得物を担いでいる。

 

「モイチさん、僕とサーシャで歩哨の気を引きますからその隙にバンゴさんの檻まで行って助けに来たことを伝えて下さい。リルさん達は待機で。あ、くれぐれも手出し無用でお願いします。顔バレして、手引きしたって言われたくないでしょう」それじゃぁ」


「行動開始」


と言うと、侍女がミヒロに木製の持ち手がついた太い筒を一本渡して、同じものを自分も構え、同時にポンッ!と音がすると、二筋の煙が空に消える。筒の部分を前に倒すと、筒の後ろから中ちょうど筒と同じ太さくらいの短い筒が飛び出し、地面に転がる前に素手で受け止め、後ろ腰にある口の開いたポーチに落とし込む。侍女も同じように飛び出した筒をポケットに仕舞い込み、二人揃って次の筒を倒した筒の後部に入れて筒を戻す。その筒を後ろに担ぎ、二人揃ってテントの合間を縫って小屋の前、歩哨の前に立つ。両手を挙げて何も持っていない事を示して


「材木商人バンゴの身代金を持って来ました。こちらの隊長さんにお取り継ぎ下さい」


と被り物からミヒロの声が聞こえると、とって喰われそうな物凄い形相で空隙騎兵の筆頭さんに睨まれた。


「「身代金」どう言う事だ航海士?後できちんと説明してもらうぞ」


言葉は穏やかだが、語気には怒気が、睨みつける視線には殺気が含まれていた。ガルルルルと威嚇の声も聞こえそうだ。


こちら側からは見えないが、歩哨の一人が小屋へ入った時に俺たちの上空が突然明るく光だした。

空撃3人の時よりもさらに明るく、あたり一面を真昼のように照らした。


「モイチさん、今です!」


鎖を解かれた猟犬のようにテントを避けながらバンゴの檻まで走り抜ける。

檻の柱、縄で結ばれた柱の一本に掴まり勢いを殺し、手を伸ばして一番近くにいた誰かを掴んで引き寄せる。

「テュルセルのモイチだ、バンゴはいるか、助けに来た」

と小声で引き寄せた奴に捲し立てる。どうやら寝入った直後らしく、「モイチィ、助けぇ?ああん?」と半分寝ぼけてやがるので掴んだまんま揺すって頭を柱に打ち付ける。

「いて、いて、いて、おい、なんだ、誰だ、ちくしょう・・・・・え?うあ?うわぁっ!何だ!誰だお前!」


やばい、前面の覆いを跳ね上げて


「静かにしろ、テュルセルのモイチだ、助けに来たんだ」次女の姉さんが額抑えてうなだれている様子が耳に聞こえるため息で分かる。


「お、お・ぅ、モイチの旦那? リコです。大将の世話んなってるリコ・オルケスです」

「よしきた、リコ、いいかよく聞け、今からお前達を助ける。気づかれないように静かに動け、まずはバンゴを起こして来てくれ」


「へい、がってんだ」


そう言ってリコは檻の隅っこに向かった。


 しばらくして、リコとバンゴが四つん這いで近寄って来た。

「よぉモイチ、いい夜だな。馬鹿野郎が。なんだってお前がこんな所まで、なんだその奇妙なヘルム」


「新しい友達からの借り物さ、後で紹介してやるから驚くなよ、今その友達がヴァルキア兵の気を引いてる。合図があるまでここで待て」


バンゴと合流して檻の中にいるバンゴとその雇人達に事の次第を知らせて、合図があるまで待てと

伝え終えた頃、リルと部下二人が場所を移して小屋の正面に回ったようだ。


「筆頭、動いちゃまずいですよ」

「構わん、手を出すなとは言われたが動くなとは言われていない。ここじゃ指揮官の顔も見えん」


藪の中を匍匐前進で進み、小屋の正面が見える位置まで移動すると既にミヒロと侍女の周りをぐるりと兵士が取り囲み、正面の入り口にはヘルムを外した|巨大い図体の完全装備(フルプレート)の装甲兵が突き立てた剣に両手乗せ、入り口を塞いで威厳を見せつけるようにに立ちはだかっていた。普通の人間の倍以上はあるかと言う身長に、分厚い鋼板を巻いたような鎧。胸と首元を覆う装甲から人間の顔が生えている。


空に打ち上げられ、下降していた光の球は消えてしまって、正面の篝火のおかげでヘルムのない顔が僅かに確認できる。しかし、ミヒロから受けとり、耳に入れたキノコの出来損ないから聞こえてくる聞き覚えのある声で

「ヴァンダル家のアリアッカか、なんであんな地方貴族が・・・」と考え中に、そこから先はアリアッカの下衆な言葉に遮られた。


「身代金だぁ?バッッッッッッッッカじゃないのお前ら。まぁ「そこそこ」見てくれはいいか。

よし、お前ら服を脱いで 四つん這いになれ、このアリアッカ様が直々に下賤のお前達に高貴な胤を恵んでくれる。おいお前ら、俺が犯ったら好きにしていいぞ」


「いいんですかい、こんな上物、垢まみれの小娘とババァばかりで溜まってたんすよ!」


下衆の部下もまた下衆か。怒りに愛用の得物を握る手が震え出す。あの薄荷頭、船を出る時、馬鹿正直にこちらの武装を返してくれた。ご丁寧に抜き取った「弾倉」と予備の「弾倉」に「弾」まで詰めて。


「万が一の時はこれで自分の身を守って下さい」と付け加えて。

ここからあの下衆の頭を吹っ飛ばしてやろうか、それとも「コストゥルツィオーラ」(空撃騎兵の空飛ぶトカゲ)を放って強襲してやろうかとしたところで


「ああ、やりたきゃどうぞ。その間に後続の控えがあなた方がやってる事と情報を持ち帰る時間が稼げます。何の用意もなく「小娘」と「女」二人で前に立つとお思いか?」


毅然とした態度でそう言い返すと


「なんだ、エラそうな口ききやがって生意気なガキだぜ面白くもねぇ。泣き喚いて命乞いくらいしろよ、膝まづいて許しを乞えばその大層なことほざいた口で俺の逸物しゃぶらせた後その口で俺様の靴を磨かせてやるぜ。 人質なんざいくらでもいるんだよ!」


アリアッカが吠える。次女とミヒロを囲んでいたヴァルキア兵がテントの前に一列に並び得物を構えたその時、

「リルさん伏せて!」と耳の中にミヒロの声が響いたので、頭を抑えてその場に伏せた。それから直ぐにテントのある方向から多数のドンッ!と空気と地面を震わせる大きな音がして、テントの前で得物を構えていたヴァリキア兵が全員後ろに向かって倒れ込んだ。なにが何だかわからないが、伏せたその場から起き上がって様子を見ると、テントとテントの隙間から白い煙が立ち上り、夜空に消えていった。


「モイチさん、リルさん、もう普通に動いて大丈夫ですよ」


ミヒロが言ったのでミヒロの方へ向かう、アリアッカは無様にも頭を抱えて四つん這いで先程とは全く逆のみっともない言葉を吐いて慈悲を乞うていた。

目の前で手下を全員、一瞬に殺されれば戦意も何もすっ飛ぶだろう。にしてはちょっと怯えすぎじゃないか?まぁ、元々貴族の義務で軍役に就いてる臆病者の代名詞みたいな奴だし、手下が全滅した今、後に残るは恐怖と自分の保身だろう。さて、私はこのみっともない下衆野郎をどうするべきかと考えて、身内の不祥事として身柄を確保したいところだが、それは軍人としては正しかろうが、事を解決したのは性別の疑わしい薄荷頭と一等航海士だ。ここは大人しく引くのが人の道だろう。

「リルさんリルさん、これの処分お願いしてもいいですか?」

「はあぁっ!?ちょっ!、おまっ!、人がせっかくいい人っぽく独白流したのに、何だよそりゃ?」


「いやぁ、聞きたいことは全部勝手にしゃべくってくれましたし、後はヴラハの港湾事務所で貰ったこの書類があればヴァルキア王室に責任追求出来ますし」


「なんだ、それは!見せろ、いや、寄越せ!」

手を伸ばして「この書類」と言って取り出した書簡入れの筒を奪おうとするも、いいようにあしらわれてしまう。まずは頭を抑え込んでしまおうと片方の手を頭へ、もう片方の手を筒へと伸ばす。

なんかこう、わちゃわちゃと母親が子供のおもちゃを奪い取るような寸劇のようになった所へ、


「なんだお前ら、いつの間に仲良しになったんだ?」と変な被り物を被った航海士が後ろにゾロゾロ人影を引き連れて現れる。


「バンゴは少々衰弱の気があるんで船まで担架で運びてぇんだが、遊んでるんなら先に戻っていいか?」


「遊んでるわけじゃないっ!」


「失礼致します」


侍女がバンゴと呼ばれた男に駆け寄り脈を見ているが、この侍女は医術の心得でもあるんだろうか?


「脈拍、血圧共に安定、バイタル一部を除いて正常。単なる疲弊と空腹状態ですね、拷問等暴行の後はありませんので、可愛く言えば腹ペコです」


「何だ、ヴァルキアってのは捕虜に満足な飯も食わせねぇのかよ」


航海士が避難の目でこちらを見るが、それは状況次第だろう。「おい、|薄荷頭、どこへ行く?」


書類の筒を腰のポーチにしまい小屋の入り口へ向かうミヒロに声をかけると


「まだ夜明けまで時間ありますし、ここで何やってたか知りたくありませんか?」


おいおい、無様に転がってる下衆しか残ってないにしても気ぃ抜きすぎじゃないか?

後に続いて小屋の入り口へ向かうと、部下二人もついてきたので


「お前達はこの下衆見張っててくれ、それと周囲の警戒を頼む」


と少々早足で|薄荷頭の後を追う。小屋の中は暗くて悪臭が酷くわずかな間だというのに目も痛くなってきた。この悪臭の中よく平気なもんだ。


「おいミィーロ(ミヒロ)、せめて灯りを」と声をかけると、


「リルさん、戻って外に出ましょう。陽が登るまで、明るくなるのを待った方が賢明です。あ、火使っちゃ駄目ですよ」


「なんら、ほれは?(何んだそれは?)」

何だ、呂律が回らん、おまけに頭も朦朧としてきた。

振り返ろうとして一歩下がって体を後ろに向けた瞬間、上下左右の感覚がなくなり、その勢いのままぐらりと視野が回った。危うく倒れそうになったところを何かに支えられると、刺激臭に逆らってふわりと微かな柑橘系の甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


「いけない、早く出ましょう」


脇から支えられてふらつく足取りで小屋を出ると、


「ぐおうりゃぁああああああっ!」「うぬうううううううっ!」


と雄叫びをあげ、ヘルムのないフルプレートのアリアッカと航海士ががっちり両手を組み合わせて力比べのような体制で啀み合っており、その傍に私の部下二人が倒れ込んでいた。背中に背負っていた

「らいふる」でアリアッカを撃とうとすると、体に力が入らず私を支えていたミヒロにのしかかるように倒れ込み膝をついてしまった。鼻から頭に抜けるような刺激臭のせいか?頭が朦朧として意識が沼に沈んでいった。



「軽い有機溶剤中毒です。動かずに安静にしててください」


駄目だこりゃ。陸揚げされて力尽きたタコのようにヘニョったリルさんを入り口横に座らせて壁にそのまま持たせかける。サーシャはどこだろうと周囲を確認するまでもなく、倒れているリルさんの部下を手当てしている。どうやら背中を切られたらしくかなりの血が流れている。


「おいミヒロ!侍女連れて逃げろ。コイツは何とかすっから!」


とモイチさんから声が飛んで来る。

が、モイチさんの方も相当にやばい様子で、ひしゃげた暗視装置のヘルメットがころがっている所を見ると、相当強力な一撃を喰らっているのだろう、にも関わらず果敢にも組み合った手の指が親指小指を覗いて関節からへし折られて逆方向に曲がっている。それでも負けじと両足で踏ん張り、渾身の力で両腕から背中にかけての筋肉が破裂しそうに盛り上がり、ゆったりした服を着ているので服がちぎれそうにはなっていないが、服が引きちぎれる寸前の「超人ハルク」みたいな事になっている。


「陸の兵隊風情が船乗りナメんじゃねぇぞオラァッ!」

と威勢よく激を飛ばし、押さえ込まれた両腕を逆手に回し、強引に持ち上げようとしても力比べで押し負かされて却って動きづらい状況にしてしまった。


「どぅうおうるあぁああああっ!」


咆哮一発。起死回生狙いの頭突きが激しい音を立てて決まると、モイチの割れた額から飛び散った血が

アリアッカの額に降りかかる。


「離れろ下賤がぁっ!」


アリアッカが組み合った手を解き、モイチの腹に蹴りを入れて突き飛ばす。


「あああ、汚いっ!汚いっ!ギダナ”イ”イ”イ”イ”イ”ッ!」


マントの裾で額の血を拭いながら少し離れた所に落ちていた剣に手を拾い上げると、大きく上段に振り翳し、蹴り飛ばされながらも起きあがろうとするモイチの方へと斬りかかった。


「おのれ、おのれ、おのれぇぇぇぇぇぇっ!下賤の分際でよくも高貴な顔を汚したなぁぁぁっ!」


立ち上がるのは間に合わないので転がって上段からの振り下ろしを避けようとしたが、蹴られた腹部の痛みで身を捩ることができず、咄嗟に振り下ろされる大剣から頭を庇おうとした腕で視界を遮ってしまった。咄嗟に「ヤベェ!」と後悔したが、腕で遮った視界の向こう、小さな影の、肘から先が丸太のような左腕で振り下ろされた大剣を受け止めていた。ガキィィンッ!と鉄と鉄が激しくぶつかり合う音が響き、その反動と衝撃でアリアッカの体が揺れる。


「うあ、うあうあ・・・うあっきゃああああああああっっ!!」


小動物の鳴き声のような咆哮をあげ、トドメの一撃を遮られた丸太のような左腕めがけてめちゃくちゃに大剣を振りかぶり、なん度も何度も何度も叩きつける。


「うきゃうきゃうきゃきゃあっ!!うきっ!うきっ!うききききききいっ!きいっ!きいいいーーーーっ!!!」


歯を食いしばって開いた口の両端から泡を吹き出し、見開いた眼は充血して焦点は動かず、ヒステリー起こして激情のまま棍棒打ち下ろす狂人にしか見えず、「えぶばっ」っと息が上がったその隙を狙って手の甲を相手に向ける形で両腕を縦に並べて防御に徹していた海尋の右腕を肘が後ろに突き出す形で腰から捻り、鍛冶屋の分厚い革手袋のような拳を固く握りしめ、静かに息を吸い込み腹に溜め、「ッ」と溜めた息を押し潰すように腹に力を込めると同時に右足ので地面を踏み締め、捻った体で肘を前に押し出し、アリアッカの下腹目掛けて下から上に向かって振り抜いた。


腰を捻った状態の上死点と振り抜く直前の下死点の二箇所で肘からガキン!ガキン!と金属が噛み合うような音が、拳が腹にぶつかった時にドスン!と船と船が衝突するような音がして屋根にも届きそうなアリアッカの巨体が、小屋の屋根くらいの高さまで打ち上げられ、背中から地面に叩きつけられるように落ちた「ぐがはっ!」背中から落ちた衝撃で肺の空気を吐き出し、一緒に胃袋の中もぶちまけたようで、ゴボゴボと喉が鳴っている。


起きあがろうとする巨体を地面スレスレの失踪で駆け寄ったミヒロの左腕が胸の装甲に一撃入れて地面と水平方向に殴り飛ばす。

その時にも「ガキン!」とか「ドスン!」とかの音がしたんだが、鉄で鉄をブン殴る音じゃない。

吹っ飛ばされて後ろ向きにでんぐり返りを何度か繰り返し、写せ伏せになって起き上がる事も出来なくなったアリアッカに近いて、足を持ってずるずると引き摺って篝火の近くまで戻って来ると、

大きく息を吸い胸に溜めて、その直後に首の後ろやら腰の辺りから「バシュー」と音がして(蒸気)が吹き出した。カシャカシャ、カチャカチャと左右の肘下が割れた陶器を擦り合わせるような音を出しながら小さくなって、元のほ細っこい腕の形の戻る。


ミヒロががアリアッカとやり合ってる間、侍女の姉ちゃんが俺の左手、アリアッカと組み合った時に折られた骨や限界超えて活躍した筋肉の様子を診てくれていた。

「サーシャ、何があった?」低く静かな声で侍女に発端と状況の説明を問いただすが、ここは俺が説明すべきだろう。

「いや、待ってくれミヒロ!侍女の姉ちゃんは悪くねぇよ、お前とリルが小屋に入った後、アリアッカがリルの部下に飛びトカゲ(コストゥルツィオーラ)持ちはあの女だけか?と聞いたんだが、飛びトカゲは日中しか使えないと答えたんだ、そしたらいきなり「ならば恐れることなどないわ」とイキリだして大剣に飛びついて鞘ついたまま部下の兄ちゃんを殴り飛ばして、もう一人を後ろから切りつけやがった。

で、剣を放り投げて侍女の姉ちゃんに飛びかかっったんで俺が間に入って侍女の姉ちゃんに怪我人を頼むと言ったんだがでそのまま横殴りに頭を殴られてあの手洗い鉢が吹っ飛んでその場で取っ組み合いになって、俺が侍女さんに怪我人頼んだんだよ」


「負傷兵の容態は?」小さくなた篝火に照らされた沈痛な顔がとんでもない事をしでかしたと、自分を責める様が痛ましく、なんと声をかければいいのかわからねぇ。


「空撃兵の一人は頭蓋骨破砕で即死。斬られた方は肩甲骨と背骨にまでの刀傷。肺は無事です。暫くは安静が必要かと。「モイチ様」の方は左手手首下親指と小指を除き関節から粉砕骨折、両腕両足背中と両足の筋肉の破断が見られます」次女が澱みなく淡々と告げると

「そう、ありがとう。よくやってくれました」と血で汚れた侍女の手を取り感謝のことばを口にした後、つま先立ちで頬にキスしやがった。可愛い顔して女殺しの気もあんのか、無敵じゃねえか、羨ましいぞ、コンチクショウ。


「そういや、筆頭様はどうしたんだ、入り口で座り込んでぐったりしてっけど」


「よく平気な顔してられますね、その手、結構重症ですよ、リルさんなら有機溶剤の中毒です。命に別状はありませんが、暫く休ませて回復を待ちましょう。さて、」と言った所で


「お話中、誠に恐れ入ります」


バンゴのところのリコが恐る恐る口を挟んで来た。


「旦那方、労役の連中が騒ぎ始めております。陽も登り始めて来ましたし、今後の処遇を教えていただけませんでしょうか?」


そう不安を隠さず尋ねてきた。苦虫潰したような顔したミヒロがくるりと背を向けて、バシバシと両手で顔を叩きそのまま顔を押さえてグニグニとこねくると、先ほどまでの神妙な顔もちから一変して凛とした顔つきで振り返り


「じきに皆さんを運ぶ箱が着きます。先にヴァルキアの方をヴァルキアへ、その後、バンゴさんの関係者の方をテュルセルまでお送りします。そのようにお伝え願えませんか」


そうリコに伝えると、木々に囲まれた、まだ完全に明けきららない空にテュルセルで耳にしたあの

バタバタと空気を震わす喧しい音と巨大な空飛ぶ船とそれよりも小さい船が姿を現した。


やや離れた地面に後ろを向けて降り立った箱の方は中型3本マストの軍艦並みくらいの大きさで、丸々と太った寸詰まりのトドが氷上でくつろいでるような図体で背中を中心に垂れ下がった8本の細長い板を生やし、小さい方は丸い目玉を縦に二つ並べた異様な姿で横に並んで地面に降り立つと同時に巨大なトドの後ろが左右に開き、左右に開いた扉の下側が地面に向かって開き出した。俺たちと反対側から侍女と同じ濃い蒼色の服に身を包んだ女達がこちらに向かって一斉に駆け出してきたかと思えば、俺たちをぐるりと囲んで各々手にしている空撃兵の持っていた「ライフル」と言うものよりも細身で

湾曲した金属の箱を下から生やした得物を俺たちを警護するかのように外側に向かって構える。

全員同じような格好で顔は磨いた鉄鏡で覆われていて顔はわからないが、細い肩に張り出した胸、

これ全員女か?と凝視していると、取り囲んだ一部、ミヒロの正面が左右に割れ長身でウェーブがかかった金髪がツカツカと子供を叱る直前の険しい顔した、確か「ヴィータ」って呼んでた次女がミヒロの前に跪き、臣下の礼をとる。

「ロプーチャ級強襲揚陸艦ペレスヴェート只今参上仕りました。」

「ご用命通り人員輸送のMi-26wを輸送仕様、Mi-24D クラカヂールを救急仕様にて控えさせております」

そこまで言うとスッと立ち上がって


「負傷者と戦死者をクラカヂールへ、主のご友人殿である、丁寧にお運びしろ!」

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