第12.5話湯けむり事情 欲情 Watch Out
就寝前に通された客室は階段を上った2階の奥、場所的には一階ロビーの上だろう。透明な壁からはロビーから見た景色の少々上からの景観が見える。まだ建造中とのことで壁は磨いた白い石のままだが、ヴラハやヴァルキアの宿屋にあるような寝台並べただけの部屋と違い
景観を楽しめるような配置の幅広の二人がけの椅子とテーブル。その横に一人がけの椅子がならび、床には青っぽい生地に白黒の糸で刺繍を施した柔らかい絨毯が敷かれていた。
特に荷物もないので通常ならそまま寝台に寝転がるところだが、案内してくれたオトヴァージュヌイと名乗った髪が薄桃色の侍女が「こちらが浴室になります」と浴室を案内してくれた。てっきり湯を沸かして盥で体を拭く程度のものかと思ったら、低く積み上げた石の内側を滑らかに削り、底には幾何学模様を描いた小さな四角いタイルが敷き詰められて、そこに
並々と湯気の立つ湯が張られている。
「ありえねぇ!」それが率直な感想だ。浴槽に湯を張れるなんて一体どっから水持ってきたんだ?それが湯に化けるなんてどっかで沸かしてから移したのか?そんな疑問をオトヴァージュヌイに投げかけると、敷地内に大きな湯沸器があって、居住区画にはその湯沸器で沸かした湯を好きな時に使えるんだそうな。「こんな感じですね」と壁から生え取手のついた下を向く管の取手を捻ると水が流れ出した。温度に調節はこちらですと示された先に壁に埋め込まれた仕掛け、そこに映る数字?と言うもので現ンァいの温度がわかるそうだ。私には全くわからないが、ダリアとブランが読み方を知っていたので、いや、今の状態から弄らなければ問題はないだろう。排泄に使う「といれ」と言う備え付けの器具も用を足したらレバーを引くだけなので不便はないだろう。不便どころか便利且つ清潔だ。こんなところで生活してたら今までの生活に戻れなくなる。遠征の野宿なんて穴掘って用を足したら埋める程度だし、
船なんて船尾の仕切りかそのまま海に落とす方式だからもしかしたらモイチはこの辺で何かやらかしてたんだろうか。それはともかく、オトヴァージュヌイの説明聞いてる間にダリアとブランは二人とも全裸でお湯流して体洗ってるし。
私が唖然としている間に洗体用のブラシやら洗剤と一通りの説明を受けていたようだ。
「リルも早く脱いでこっちに来ないか」
ダリアから声をかけられワタワタと服を脱ごう・・・にも脱ぎ方がわからない。トイレで用を足す時も実は大騒ぎだった。捲り上げてしゃがめばいいわけではないのでこっそりヴィータ女史に聞いて途中まで脱がせてもらったのだ。歩き始めたばかりの子供じゃあるまいに、あんな情けない思いをしたのはいつ頃ぶりだろう。男はいいよな、簡単で。
浴室から顔を出してオトヴァージュヌイを探すと、幸いまだ室内にいたので服を脱ぐのを
手伝ってもらう。着る時もまた頼まにゃならんのだろうか。
「なんだ、リルは服は脱がせてもらうのが好きな派か?だったら私がこのてで脱がしてやったのに」
半分冷やかしでダリアがからかってきた。二人ともすでに衣服を脱いでいるので・・・
何だあれは!二人とも胸甲をつけていたのでわからなかったが、かなりの巨乳だ!
くそう、裏切り者めぇと涙目になる。
「そのような趣味はございません。借り物なので着方脱ぎ方がわからんのです」
「そっかーブランのような巨乳もいいが、君のような慎み深乳房も愛撫してみたかったんだが」
あんたそっちか!そっちの趣味のお方なのか!?これは怖い。処女だとバレたらどんなオモチャにされるかわからんし、剣の柄で処女膜破らかねんので注意しよう、気をつけよう」あ、念の為寝床は離してもらおう。
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