第28話地下に何やらありまする


シャンティーニに渡された書簡に広間の石を舐めるように這いずって掃除している豚の親の名前を封蝋に確認すると

「おい豚。この書簡の中身はなんだ?」


と小太りの腹を床に擦り付けて絞った雑巾で床についた足跡を擦りながら

「父上の封がしてあるものを俺が知るわけないだろうが、バカかお前」

ほんと、一言多い。それに口の利き方もなっていない。ブランはツカツカと足早に豚の尻に近づくと、ぷりぷり動く豚の尻を思い切り蹴飛ばした。

「プギヒィッ!プギュピイイイイイッ!」

四つん這いの高速蛙飛びでべったかべったか無様に跳ね飛んで廊下を超えて門の向こうに消えていった。

「半べそかいて逃げてったけどいいんすか?」

シャンティーニの問いに

「いいんじゃないの?多分海尋ちゃん宛よ。これ」

丸た羊皮紙に封蝋しただけの書簡である。マジで宛名がない。そうなると、持ってきた「使い」が誰宛に持ってきたのか口上で伝えねば分からない。

「あのホルモンとかいう「ボルモンでしょ?」名前の王には聖上様に意見するような度胸はないし、弟にもそんな度胸のカケラもある訳もなし。だったらここで文句言いやすくて、わざわざ書簡なんかにするのは極光商会の海尋ちゃんだけでしょう。人のセリフの最中に差し込むとは中々いい度胸じゃないの。上手くやっていけそうね」

ニコニコと楽しそうに笑いながら水桶を広間の隅に置き、耳元の空間を指で叩くと

「あ、ごめんね、さっちん。今しがた中央館一階広間に豚が入ってきてーーー」

事の次第を軽く説明すると「畏まりました。全て掃除をやり直しましょう。ついでにワックスもかけ直し致します。海尋様はオプティカでソリス川上空より調査中ですので、まずは執務室の聖上様にお伝えした方宜しいかと存じます」

「ありがとう。手間かけちゃってごめんなさいね」と通信を切る。以前モイチとロザリナが受け取った個人用通信機が近衛3人にも支給されていた。戦闘メインの役職なので軽装甲強化服としての機能も備えている。

執務室の机に向かった聖上様がなにをなさっているのかと言うと、極光商会から提出された決裁書類に目を通し、了承済みのサインを書きまくっている最中だった。

本来であれば決裁書類、与えられた予算の使い道や業者の選択、必要購入物品の目録と必要予算、発注、納期までの期間等々、工事、仕事やる前にこさえて発注者に承認印もらうのが先だが、今聖上様が目を通しているのは先渡しした工事代金の使い道を記した書類で、集計報告書みたいなものだ。普段であれば、こんな仕事はカッタルイだけで何の面白みもない。「書類を書く」のは専門の文字書き職人が一枚一枚羊皮紙に書き込まれるのだが、「印刷」という技術で全ての神が決められた書式で端から端までキッチリ揃った書類なので確認すべき所がすぐに分かりやすいため、わざわざ文字に目を走らせずとも非常にスムーズに内容が確認できる。

「のうペレやん。ぶっちゃけ中身見ずとも朕はサイン書くだけで良くね?むしろ全部丸ごめ「おっけぇ〜〜」で済むんでない?」

「こういった事はきちんとして書面に残しませんと。税務署の監査はそれはもう厳しゅう御座いますので」

「ペレやん」呼びはスルーなようだ。

「税務署」はまだ無いとは言え、徴税官吏に不正ちょろまかしはありませんよーと証明しませんと」

「ペレやんペレやん。「税金」なんて制度、まだまだ村単位の物品で支払う程度のぼんやりしたもんよ。所得税も消費税も相続税もなし。固定資産税っつーか、田畑家畜の面積頭数で割り出す程度のざっくりどんぶり、ぶりはまちってなもんよ。つうかこれ、「印刷」?ってのは便利じゃのう。紙もかなり上質で実に書き心地が良い。」書類を一枚手に取ってピラピラさせながら口にすると

「全て主の手書きに御座います。紙は石を切り出す際に出た石の粉より作っております。それと今聖上様が使っておられるのは主が愛用されている「LAMY」のサファリ、2016年限定色のライラックのコピーモデルで御座います」傍に用意した架台に回ってきたサイン済みの書類を見ながら飄々と答えると

「何!これ全部手書きなのか!?全部同じ大きさで揃った文字にきっちり四角い枠の線とか」

と、書類を見ながらおおげさな手振りで驚くと。

「では、次の書類です」とだけ言い、宮廷の需要書類であることを示す王家の紋章の入った木箱から、ごっそり書類を取り出して冷たく言い放つ。

「ペレえも〜ん、そりゃないよ〜。もう疲れたよ〜。少し休もうよ〜」

情けない声を出してだる〜んとして机に突っ伏して、落書き始める聖上様に向かってピシリと首根っこに冷水ぶっかけるような一言。

「ダメです。まだ、始めてからこれだけしか終わってません。まだまだ、おかわりはいっぱいありますよ」

すげなく返された。木箱に中に手を突っ込み書類の束取り出して順番に並べ替えて日付順にして聖上様の前に置く。まるで秘書のように手慣れた様子で、終わった書類に目を通して確認する。それれを日付順に並べ替えてクリップで閉じる。

先ほどからに海尋の侍女たる彼女が何をやっているのかと言えば、今までヴァンクス宮で使用したた石材やら、買い付けた木材やら色々他には些細些末な書類がわんさかある。

机がいくつ椅子がいくつ瓦が何枚。どこで買いつけて売値がいくらでと言った事が、気も狂わんばかりにつらつらと明記されている。終始こんな感じで事細かく書かれて入りモンだからたまったものではない。そして最後にサインして一枚がおわり。こんなものがあと何枚続くのか退屈で、面倒くさい事この上ない。

中身を一旦とり出して、目を通しだす。そして、無言で選り分けだして、頭を抱える。

机の向こうでは聖上様が「あっちゃー、しまった」って顔してペレスヴェートの方を見ながら目の前の書類にサインをしながら次の羊皮紙に手を伸ばす。その姿もだる〜んとして、一体どこが『聖上様』かと言いたくなる。

一方、ペレやんと呼ばれた侍女の方は、部屋の掃除をしながらテキパキと今し方の羊皮紙を、幾つかに分けられたトレイの上に乗せてまとめておく。

「ところで、海尋ちゃんは何をしとるんじゃ」

明るい室内をパタパタと掃除する音に混じってそい聖上様の声が通る。

「海尋様でしたら上空からソリス川の調査を行なっております」短く簡潔に答える。まさかここで、サボりかましてたアンタの代わりに上空から河川流流域を調査しております。とは言えんわな。心なしか言葉に棘があるような感じがしたが。気のせいだろう。

「悪いとは思っとるんよ、本来無関係の事だし、ヴァンクス宮だってほとんど好意みたいなものじゃろ」そこまで言ってため息をつくと、椅子の背もたれに体を投げ出して自分を中心に置いた執務室を見回す。ーー執務室と言っては申し訳ないほどの広さを持つ、真正面の扉まで一体何歩あるのか、真ん中に白い大きな黒檀の執務机、左右の壁には本棚がRを描いて真後ろの窓に繋がる。その大きさはほとんど壁と言っても良いほどで、エルベ湖とヴァルケルの森林地帯とアルカサム山脈を一望できるパノラマが広がる。今は侍女やら近衛やらが部屋の整理ともち出した蔵書なんかを見栄えのいいところに納めたりしているので多少の人の出入りがあるから良いが、これが落ち着いたら一体どうなってしまうのかこんなアホみたいに広いところで一人ぽつねんと書類仕事せなあかんのかと思うと、おっそろしくてたまらん。

なんてことをやってるうちに海尋の方はというと、オプティカの操縦桿を握って空からソリス川沿いにエンジンからの排気音を空に残してゆっくりと低速で飛んでいた。機首下側のカメラのような複合センサーに地形情報や高低差などの各種情報を余すことなくす収集しつつ、流れる街並みと緑色の風景に落ちる影を見ながらのんびりと飛んでいた。ヴァンクス宮、エルベ湖より飛び立ち、大きく旋回。王宮に隣接する高級住宅を眼下に、帝都の町並みを見ながらエルベ川に出ると密集した住宅街から、やや間隔の空いた住宅が立ち並び、やがて家と家の間が広く空き、ついには、柵で囲われた部分が大きくなり、柵の中では農業に勤む帝都民の姿が見られて、こちらを見上げる姿も見える。どれもこれも石造りであることは変わらないが、帝都というだけあってか、建物はほとんどが石造りだ。高級住宅街では屋根が赤い瓦で作られたおり、それが中流になると黒い石のスレート、農業地帯の木製の家になると。黒い樹皮で屋根を覆った家になる。そして、草原を抜けるとエルベ川に出る。川幅は1キロと言ったところだろうか、広くゆったりした流れでヴァウルキアの本土を流れている。カシスの話によれば川に掛かる橋は古代ヴァルキア人が建造したもので建造方法は知らんという事なので放っておくとして、それでも立派な橋がかかっている。古代ローマのアーチ橋そっくりのがいくつも川に掛かっている。じっくりと見たいところだが、今は河川の流れの方が重要だ、橋に枝や葉のついた枝が引っかかっているわけでもないし、そのまま飲み水として使うわけでもないが上澄も綺麗なものだ。では何が理由だ。流れが悪くてどんづまってるんじゃないとしたら、とは言っても流れは悪くないしどこかに流れが悪くなる要因があるのではないだろうか。もっと下流まで行ってみよう。そうしてオプティカの機首を、さらに下流のほうへ向けて風に乗る。しばらく川の上を進むと荒れた土地が見え出した、川を見ると流れが激しく、勢いも増して濁流となっている。どうやらこのまま海に流れ込むようだ。高度を上げてその行き着く先を見ると、やはり海だ。

「おかしいなぁ、流れが悪い所も、川が蛇行して砂や土が堆積するところもないし、・・・」

ソリス川沿いに飛んで「ん?なんだあれ」と牧草地隊から荒地に変わるところで、何やら井戸のようなものを見つけて暫し考える。

「井戸にしちゃぁ大きいいし、民家から外れてるなんて不可解だななぁ」

直径にして大凡3m位のレンガ積みの大穴が荒地にポツンと口を広げていた。

「映像記録照会」言うが早いか、今までのあし足取りを辿って似たようなものが次から次へと正面のディスプレイ右上のナビゲーションマップにに小さく浮かび、マーキングされる。

「えーっと、8箇所か、随分あるな、一番遠いのは街中か。等間隔じゃないから空気の取り入れ口とは違うか、穴も3メートルと大きいし、一体何の穴だろうな。」

 ウキウキしながら一番近い所に向けて舵をとると、付近に誰もいないことを確かめて開けた場所に着陸する。フロート下部に申し訳程度のタイヤが付いているためガタガタ揺れながらなんとか着陸出来た。左横の丸いガラスのドアからナチュラルに落っこちた。

「ッふぎゃん!あーいてて、タラップないの忘れてた。」着物姿で尻餅なんかついたら脚が丸見えで太腿、いや内腿まで見えてしまう。一分丈のスパッツ履いてるから、まぁ大丈夫っちゃぁ大丈夫なんだけど。

尻を摩りさ摩り起き上がるとフロートの上に身を投げ出して着物の裾を直す。そしてコクピットに潜りこみ、両足をバタつかせながら

「えーっと、ライトとカメラと・・・」

サバイバルキットの中から役にたちそうなものを物色すると岩が積み上げられた穴の淵に立つ。小石を一つ拾って真ん中めがけてあなの中に落とす。改めてよく観察するとレンガで丸く形を整えた後、そこいらへんの小山のように見かけたものが風化して周りの土塊と同化して目立たなくなっている。

「ふうん、ま、潜ってみりゃなにかわかるでしょ。」そう言ってライト、カメラと身につけた装備を確認すると穴の入り口から躊躇もせずに飛び込んだ。着物姿に草履とどう考えても探検とは思えない格好で、ひょーい、と気軽に飛び込んだ。あっという間の10m、特に変わったことはなし。20mを超えた辺りで重力制御をかける。落とした石の感触から深さはだいたい50m。そろそろかな、と減速、暗ければ自動的に暗視モードに入るか問題ない。そして50m。地中特有の湿っぽさもなく、辺りは乾いた土ばかり。妙だなと思いつつ、光の届かない地下に通路がある腰を屈めずに歩けるのだからそれだけでも昔の人に感謝だなと思いつつエルベ湖の方へと足を進める。何十年か前か、何百年前?おりた先は洞窟になっており、横幅4m高さ2m位だろうか、よどこまで続くかは不明だが半円状のドームの形に綺麗に煉瓦で覆われている。いつの時代に作られたものか不明だが相当な労力を注ぎ込んで作られた物というのが分かる。振り返れば、落ちた穴から僅かに光が差し込んでいるが、あれは明かり取りの穴ではない。となるとこの洞窟になんの役目があるのか、真っ直ぐ伸びた整備された通路の先には光が届かない。一旦出直そうと考え、来た道を戻る。通気口か何かいづれにせよ、当てがハズれた。一旦戻って大規模な探索をするべきか,ここの通路っちゅーかトンネルにはなんの反応もありゃしない。煉瓦の道が真っ直ぐ進み、流石にこの深さでは植物の根っこも見られないし、土竜一匹、どころか羽虫一匹いやしない。歩いたのが100m程だから、先を辿ればもっとあると考えて、落ちた穴から重力制御を使って登る。

「なんだ、化け物でもいるかと思ったんだけど、何にもって安全口にするにはまだ早いか、ほんの一部だし」

腕組みしたまま両足を肩幅に開いたままの格好で穴の様子を確認すると、煉瓦で隙間なく埋められた側面が見えるだけで、さながら大昔のエレベーターのようだ首の後ろ側を引っ張られれて腰が追従して背中から尻に抜けてズルズルと這うよな感覚を感じた後、穴の入り口が見えてきた。手を上に伸ばして、穴の淵に手を置いて、「よっこらせ」と這い上がって穴の淵に腰掛け足を出して胡座を描いて座る。

「穴はあっちに向かって伸びてるのか、って街じゃん」

後頭部を描きながら「うーん」と呻いてエジレイまで歩いて、コクピットに潜り込む。椅子に座るとコンソール脇のドリンクホルダーから水の入ったボトルを手に取り口元に運ぶと、柔らかな唇から喉に喉に流し込む。特に何も言わず険しい顔つきのまま口元を手で拭うとコンソールのスイッチを入れて最後にエンジンスタートボタンを押すが、ウンともスンとも言わない。

「あ、マグネトー忘れてた」

ポリカーボネイトで覆われたコクピットのフレームに手を伸ばしてキーをひねる。改めてコンソールのトグルスイッチをひねる。エジレイEA-7のミクーリンA M-42のV型12気筒47リッターエンジンに火が入り、ドロドロと唸りを上げると、荒れた大地を勢いよく駆け抜けて飛び立った。

「ん〜離陸の際にかかるGを申少し抑えたいかなぁx。でもエンジン換装し直しになるけけど」

それより地下のデータ入力だな、そう気を取り直すとコンソールの右半分、現在位置の表示された右上のモニター着陸点を入れて、後はダイレクトにと思ったが、このオプティカは非AIなので有線で入力しなければならない。そのためコンソール右下から有線プラグを出して自分の右耳の裏側にあるジャックに繋がなければならず、赤いコードをコンソールから出して耳の裏側に繋ぐ。と同時にエンジン回転数やら高度の情報やらが頭に入ってくる。コンソール左側にはアナログのメーターが9個、三つに並んでそれが三段。そして右側にはパネル表示の現在位置を示すGPSのようなもの、但し衛星がないので速度とジャイロから割り出した大体の場所、その下に無線の周波数、そして、その下に自分と繋げるためのパネルがある。余談だがその上には横一列に各種ライトやピトーヒーターなどのトグルスイッチがある。非常にわかりやすくできていて、必要最低限、どれがなんのメーターか、一目で分かり安い。

 そして機首をヴァンクス宮にに向ける。帰り道、竪穴に注意して飛んでいたのだけれども、行きに確認したのは除外し新たに七箇所、うち市街地にあるものをマークしながら市街地に入ると、蓋をされて潰し井戸にされているものがある。それらも含み地図上にし記した後を辿ると一本の線になるようだ。、まだ確定ではないが。何かしらの連絡用通路か、抜け道・・・いやそのどちらでもないだろうそうだとしても深すぎる。帰ってからカシスに意見を求めるも良し、多分、ナンもわからんだろうけど、あ、いけない、まだエジレイと繋いだまんまだったので注視していると、高度が低くなってしまう。完全に市街地に入り切る前に高度をあげておかないと。が、もう遅かった。大人は見上げる、子供は追いかけて走る、どの目も「なんだありゃあ」と言わんばかりに口をあんぐりと開けてぼけらっと眺めている。そりゃぁ人が乗って空飛ぶなんて珍しかろう。空撃騎兵なんてものがいるがあれはトカゲか竜か、なので鉄を纏って鉄の翼広げて空を飛ぶなんて、にわかにゃ信じられない事だろう。サービスで翼でも振っておくか。などとついつい思ってしまう。よく見ればもう城下の住宅街だ。時間も正午近くで人通りも多い。ダクテッドファンだから騒音はある程度抑えているけど高度が低すぎた。下手すりゃ屋根にフローター擦りかねない高度で、お貴族様の切り妻屋根に掠ったらどうなることやら。

赤い屋根が立ち並ぶ中高度を上げようとしたところ。大きなトカゲが目に入った。こんなところで空中戦なぞお断りだ。よく見ればトカゲの背中の大きな荷物が旅支度が見て取れる。そして乗ってる人間の格好といえば甲冑姿に剣を携えて何やら大声で喚いている。何言ってんのかわっかんねぇよ。後に付いてこいとでも言ってるんだろうか。大人しく機首を上げて減速してスピードを合わせて後ろにつく。が相手がのろい、もっと真面目に飛べ。こちらは失速寸前だ。ミクーリンAMー42のお陰で超低速でもなんとか失速寸前で持ちこたえてはいるが、いつまでもノロノロととんでいられない。グライダーじゃないんだから、いつまでも低い回転で飛んでいたら水平すら保てない。気がつけば横を挟まれ上下も抑えられていた。バックミラーに同じような出立ちのトカゲの群れが飛んでいる。とりあえず両脇と上下を飛んでるヤツを見れば旅支度姿で大きなリュックをトカゲにのでている。リュックの傍に大きな中華鍋が吊り下げられている所を見ると野宿でも繰り返したのか。トカゲの群れの混じってしばらく飛んでいると王宮の城壁が見えてきた。やっぱり翼にヴァルキアの国旗ぐらいペイント位しても良かったかなと考えると、トカゲの群れが下降を始めて、王宮にの庭に整列し始めていた。先をゆくトカゲが剣で下さして「降りろ」とジェスチャーで示す。ヴァンクス宮はもう目と鼻の先なので従って降りることにする。ただ、こちらは一応水上機なので、陸地に降ろしてもいいんだが、あれこれ面倒くさいことになりそうなので、ヴァンクス宮のエルベ湖に下ろす。機体が着水すると、今まであった浮遊感から波立つ水面に降りると腰の辺りに接地感が生まれる。水上をゆっくりと進み、桟橋の横にエジレイを横付けして機体から降りると、先ほどのトカゲに乗っていた甲冑が待ち構えていた。ここで事を構えうるのも得策ではないので相手の出方を見る。

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