概要
第一次世界大戦をモチーフにした戦争で魔女が活躍するファンタジー戦記です。書き溜めはありませんが結末は決めているので、気長に読んでください。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!血と硝煙と泥と諦観。リアルにクソな戦場での魔女たちの生きざま
もうね。
圧倒的です。
レビュワーも魔女が出てくる戦記物書いているんですが、完敗を認めます。
魔女が圧倒的な力を有する兵器であると同時に、一人の女の子であることを見事に描いている筆力に舌を巻きました。
主人公アメリアは戦っている最中は正義も何も無くてただ敵を無慈悲に倒します。
そうしないと自分や自分が守りたいものが死んだり傷ついたりするから。
でも、完全に人の心を失ったわけではなくて、悩んだり葛藤したりします。
戦争の酷さや愚かさをきちんと描きながら、そこで悩み傷つきもがく人は美しいという矛盾したことを成立させているのが凄い。
そして、繰り返し提示される「銃後はない」というテーマ。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本能で惹きつけられたなら、泥と血に塗れた戦場から目を逸らせはしない
ストーリーや文章の巧みさについては、他のレビュワーの方が書かれているので、少し異なった切り口でこの作品の〈強さ〉を語ってみたい。
純然たる事実の持つ力というものがある。
過酷な環境で行われるペンギンの子育て。
長い距離を旅する渡り鳥。
肉食獣と草食獣の駆け引き。
全てを破壊する巨大なトルネード。
ドキュメンタリーというのは、純然たる事実に近づくほど、攻撃力が上がるようなところがある。
その点、動物や自然現象は有利だ。なんせ、演技を仕込むことが難しい。やらせの可能性が低いのだ。
探査機はやぶさが大気圏突入により幾つもの光跡となった映像は、多くの人々の心を打った。あの美…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦場の魔女は女神か死神か
戦争映画の情景や映像が頭の中に浮かぶ作品。
魔女と呼ばれるうら若き少女たちが兵器として扱われることを受け入れ心を殺し現実を見据えそれぞれの大切なものを守るため前線で黙々と職務をこなす姿が、読者の心を激しく揺さぶります。
初めはストライクウィッチーズのシリアスな感じかな?と軽い気持ちで読み始めてみましたがとんでもない、前述した「戦争映画のような」メッセージ性のあるストーリーと息を呑む緊迫した戦闘シーン、魔女たちの複雑な心情描写に引き込まれ、時間を忘れて一気に読み進めてしまう奥深い作品でした。
とはいえ、戦争をモチーフとした凄惨で重苦しい雰囲気がずっと続くわけではありません。登場する魔女…続きを読む - ★★★ Excellent!!!可憐な魔女がその身を削り、血と泥に満たされた塹壕を這い進む
ちょっとこの作品は別格です。読んでいて寒気がするほどの没入感を味わいました。
アメリアちゃんはまだ少女と呼ばれる年齢ながら、最後の砦ジャバルタリク要塞線の戦線を支える「鉄条網の魔女」。小柄で弱気で可憐な容姿の彼女の戦いは……有刺鉄線を操り、数多の敵兵を無惨な肉片と化せしめる凄惨なもの。敢えて恐怖と憎悪を掻き立てるその姿は、強い意志とともにどこか儚さを感じさせます。
彼女とともに戦場を地獄に変える魔女戦隊の面々もまた魅力的です。圧倒的な火力で敵兵を薙ぎ払うもどこか破滅的な「炎の魔女」リタ、淡々と任務を全うするも人と竜の境が曖昧になる「竜の魔女」ケイリー。皆それぞれの思いを抱えつつ絶望的な戦争…続きを読む