位置づけとしては「汝、暗君を愛せよ」のアフターストーリーなんですが、異世界転生前の男の物語でもある、現代日本が舞台のお話。
……女性陣、重っ!!……まぁ分からなくもないけども……。
何も知らない男はドン引きしながらも、何とか折り合いをつけようとして悩みまくるけど、やっぱり死んで転生?……と思いきや……
まぁ、事前に彼女達と出会っていたら「暗君」に影響が出ない訳がないので、本当の前日譚でないのは分かるんですが。
"もしも"の世界線か、あるいは?……それを決めるのは読書一人一人、かな?
先に「暗君」を読んでから楽しむべきお話だと思います。
本作は同作者著の『汝、暗君を愛せよ』の既読前提の方が面白い作品だと思われる。いや、ただ楽しむだけなら「男はおおよそ異世界転生する直前の主人公であり、ヒロインたちは男が異世界転生したのちの妻たちが現代転生した作品である」程度をわかっておけば十分楽しめると思う
この作品は『汝、暗君を愛せよ』(以下暗君)ではわかりづらかった、わからなかった主人公「ぼく」の現代日本での思想、主人公死後の妻や同志者の機微が本人たちの口によって語られる。そこにさらに妻たちが夫のやりたかったことの意味を知ったらどう思うか、主人公の代わりに成し遂げた同志者がこの時代知ったら何をするのか、そういう暗君の読者が思うもしもが詰め込まれているファンディスクだ。
暗君のみではわかりづらかった部分のフォローがありつつも、ラブコメティックホラーテイスト仕上がりになっている。そして、暗君では半ば死んでしまった「ぼく」が本当は何をしたかったのか、その解答篇でもある。