真に迫った戦記。登場人物たちの心理描写や奥深い世界が見事過ぎる
- ★★★ Excellent!!!
ふたつの大国の戦い。
その片方の国でしか生まれないという魔女たちを主人公に描く戦争物語……なんですが、現在読書中の第四章あたりから「そもそも魔女って何だよ」みたいな世界の掘り下げも始まり、ますます深みに嵌っていく感じが実に良い。素敵な読書体験を現在進行中で楽しませてもらっています。
主人公たる「鉄条網の魔女」
鉄条網ですよ。中世にはない、だけど科学的でもないこの能力が物語の舞台背景を象徴しているようで、戦場をらしく彩っています。
敵対する帝国も、ちょいちょいオーバーテクノロジーめいた手段を用いつつ(これも徐々に設定が明らかになっていく感じで目が離なせない)全体の雰囲気は20世紀前半の銃器闘争が色濃く、そういった背景が好きな人には堪らないでしょう。
そして魔女たちの内面の葛藤、力に呑みこまれまいと抗う様、それを泥沼の戦争と組み合わせ突き付けてくる。何とも胸が痛いけど、それだけに響く。
百合タグは、まあお気持ちなのかなあと。それよりも他の魅力的な要素が多々あり、苦手な方でも全然スルー出来るレベルです(逆にこれを期待すると肩透かしになるかも。少なくても第四章あたりまでの感想ですが)
ともあれ、重厚な近代戦記モノがお好みなら、是非ともとお勧め出来る作品です。
是非、お読みあれ。