第22話 side 木坂美縁

 私たちが召喚されてから一か月がたった。

 職業にあった訓練を経て成長スピードには差はあれど皆確実に成長していった。


 そして今日、実践形式の訓練だ。訓練会場となるのは、この王都を守る壁の外にあるダンジョンだ。


 初心者向けのダンジョンの様で、冒険者に成り立ての新人が大体そこで経験を積むという比較的安全なダンジョンだ。


「ここでとまれ!」


 聖騎士団長であるヒリスが皆に届く大声で言った。この人は自分たちに近接戦闘系の訓練をしてくださる方だ。大体の武器を扱うことができ、模擬戦の時も両手を使わせたことがない、アリラド最強の騎士だ。


 そして団長の隣にいる女性が宮廷魔法使いのオリエルだ。主に魔法や座学と言った頭を使う分野を担当してくださっている。魔法に関しては正に変幻自在、魔力量も凄く、連続で一時間もポーションなしで使うことができる人。


「では今朝発表したパーティーでまとまれ」


 ダンジョンを三十人近くで攻略するのはさすがに人数が多すぎるとのことで今朝、ヒリスさんとオリエルさんが話し合って決めたパーティーで行動することになった。


 私のパーティーは魔法使いの千佳ちゃん、重戦士の西田くん、盗賊の江口くんの四人。それぞれ四人ずつで組み順番で潜っていく。


「まずは、勇者の居るミヨリのところからだ!三階層までだからな」


 私たちのパーティーは勇者がいるってだけで先陣を切らされた。ということで一歩目を踏み出しダンジョンの中に入っていく。


「外と違ってひんやりしてるね~」


「しかも自分たちの声が反響してる、トンネルみたいだね」


 初めは別にモンスターはおらず、江口くんが「そこ罠」って知らせてくれるお陰でまだ命の危険はない。そう思っていると


べちゃ、べちゃ


 と聞こえる。見ると、自由研究とかで作られそうなスライムが動いていた。拳ぐらいのサイズで可愛いとは言えない。


「私がいくね」


 他の三人にそう告げると、剣を抜き、スライムに構えた。移動は遅く、こちらに気付いても攻撃してくる気配はない。


 剣先を下に、スライムを捉えると真下に思いっきり力を入れた。変な感覚ではあったがパリンとスライムの核を壊れる音がした。


 スライムは核をつぶせと言われていたが忘れていた、まあ丁度核にあたったしいっか!


 スライムが光り、私のもとへ一直線。体に受けるとなんだか強くなったと思う。そこでステータスを確認した。



木坂美縁 勇者 LV1

筋力=24

防御=16

俊敏=28

器用=34

魔力=27

【スキル】

光魔法 聖剣 剣術 鼓舞 逆境

【ユニークスキル】

パートナー



元々ステータスは上がっていたがレベルが上がるだけでこんなに上がるとは思わなかった。


「レベル上がった!!」


「まじ?」


「次俺!!」


「いーや僕だね!」


 レベル上がったと報告すると少しの小競り合いが起きた。みんなが皆強くなりたいのだろう。しかしここは魔物の住まうダンジョンいついかなる時も何が起きるかわからない。


「順番ずつだからね!ここはダンジョン、皆うるさいわよ」


「「「すみません」」」


「よし!」


 油断は大敵なのだ。ここはたぶんリーダー?の私がしっかりしないと!

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