第3話 やっぱりここでも

「こちらはステータスポーションと言い、まだ中身は解明できていませんが、飲むと自分の能力を可視化することができるステータスを表示するポーションでございます」


と説明しながら、ほかの使用人とともにそのステータスポーションを配り始めた。

 使用人が配り終えたのを確認すると、「ステータスオープン」と唱えた。


「このようにステータスオープンと唱えると自分の能力が表示されます。私の職業ジョブは執事、LV《レベル》は71、この仕事も長いですからね。LVに関していうのであれば職業の技術が上がると考えてください。必ずしも強さに直結するわけではありませんので、まぁここからは実際に見てもらったほうが早いでしょう。では皆さん、ステータスオープンと唱えてください」


 みんなが一斉に「ステータスオープン」と唱えた。俺のステータスは



 五十嵐智也 暗殺者 LV0 マイナス補正:肥満

 筋力=10

 防御=5(ー5)

 敏捷=3(ー5)

 器用=5

 魔力=10

【スキル】

認識阻害 聴覚強化 気配察知 探知 武具適正

【ユニークスキル】

体重変換



 暗殺者とは、そそる職業だ。マイナス補正があるのか。肥満、大丈夫なのだろうか。まったく大丈夫じゃないと思う。せっかくの異世界だし、痩せてなろう系にある主人公にでもなってやる。


 しかしこの【体重変換】というスキルは何だろうか。後になったらわかるだろうとあまり深く考えなかった。


 セイヤが自分のステータスを確認したのかこちらに近づいてくる。


「どうだった?ちなみに俺料理人」


「生きていけるか?」


「なんとかな、俺いいスキル持ってるから。お前は、ふむふむ暗殺者か!いいじゃねぇか!しかも体重変換?なんだそのスキル」


「お前わかんのかよスゲーな、もしかして【鑑定】?」


「おう正解」


「えぇずる。後体重変換のことだけど俺にもさっぱりわかんない」


「見てやろう、えーとこのスキ「おぉ!そなたが勇者様か!」


 王様が大きな声を上げる。みんながそちらのほうに目をやると木坂さんだった。


 どうやらスキルや職業の確認のために王様自ら周っているようだ。別に俺は外れスキルなわけじゃないので復讐系にありがちな追い出すということはなさそうだ。

 フラグじゃないはず


とうとう俺の番が周ってきたと思いきや、隣のセイヤだった


「そなたの職業は?」


「料理人です」


 ハァ、と明らかなため息。先ほどした安堵のため息ではなく、ちゃんとした意味でのため息であった。


「さて、スキルの確認は終わったが・・・・・・」


 あれ、俺は?

まるで別人のような不気味な笑みを浮かべ、こちらへ顔を向ける。


「二人追放者がでてしまった。これも能力主義、貴殿らを死なせないために戦場から遠ざけるとしよう、おい」


 俺たちに指をさし、またも使用人に合図を送る。するとこちらの世界に召喚された時も周りにいた六人の男女が何かを唱え始めた。馬鹿にするようにこちらを見てくる。特に俺をいじめていたやつらは声に出して大笑いしていた。


「動けないっ!」


セイヤはこの魔法陣から脱出を試みるも動くことができないらしい。俺も動いてみたが動けない、あぁこのままどこへ行くのやら。一周周って冷静だった。


「ダメ!私も行く!」


木坂さんがそう叫んではこちらに走ってくる。しかし間に合わない。


「じゃーな無能ども」


 最後に聞こえたのは、俺をいじめていた主犯格の日野冬馬の声だった。

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