第2話 召喚
声優の様なはっきり聞こえ、清楚してそうな声が耳に入ると、床に魔法陣だと思われるものが展開される。呆気に取られて俺は動けないが、セイヤが
「おい!早く出るぞ!絶対追い出されて・・・・・・ありか?」
一人で悶々としていた。その間わずか0.03秒
「でも死ぬ可能性あるから!ッ!めっちゃおめぇ!動かん!」
黙れ。さすがのセイヤにも腹が立つ。俺がそんなセイヤにガツンと殴るために起き上がると、世界が変わった。
先ほどまで机と椅子が並び、教卓、黒板が注目を浴びる設計になっていた部屋から、床には先ほどと同じ文様をした魔法陣に、周りを見渡すと六人の男女が囲むように立っていた。彼らは肩で息をしており全力疾走をしたような顔である。
奥を覗けば、どでかい椅子に座る王冠を被ったおっさん年を取ったのか白髪で白いひげ青い目をしていた、多分王。隣には赤髪で王と同じ目をしており、結婚式を連想させる、白いドレスで着飾った麗しい女性が立っていた。
「ようこそ、アリラド王国へ」
若い女性がそういうと、スカートを持ち上げお辞儀をする。なんとも上品な振る舞い。
俺が周りを見ると、ほとんどが困惑の顔を浮かべていた。当然俺もだ。
「貴殿らはこの世界、ロサスとは違う世界からやってきた者たちであっているか?あぁすまぬ。まずはわしらからじゃ、わしはこのアリラド国の王、シュールズ・アリラドじゃ。そしてこちらが」
「アリラド国の第一王女、キリア・アリラドでございます。」
そう自己紹介された。やっぱりここ地球じゃない、王様も言ってるし。
そこで口を開いたのが
「私は
クラス随一の美人、木坂さんだ。初対面は委員長タイプだが、どこか抜けており、今日だって遅刻していた。
木坂さんはいつも俺を守ってくれる、朝は木坂さんがいなかったから堂々といじめをやっていたが、いつもはバレない程度に俺をいじめている。
王は彼女の言葉を聞くとふぅと安堵のため 息を吐く。その表情は少しにこやかだった。
「では、なぜ貴殿らを呼んだのか、説明するとしよう」
「このロサスの世界は古より魔族と人間が対立しておった。双方の力は拮抗していたが、十年前に魔族が王を作った。それが魔王。魔王の登場により、わしら人間側は劣勢へと徐々に徐々に陥っていった。しかし、女神様からの助言を得た。異世界におられる人間を召喚すれば、魔王討伐へのカギとなるだろうと。そこでお主らだ。神の選別により選ばれた者たちよ、我が人間側の勝利の為にどうか、力を貸してくれまいか」
熱弁だった。本来であればこちら側が頭を下げ腰を低く構えるはずだが、その王は頭を下げており、助けてほしい、とその本気度が十分に伝わった。
周りを見ると覚悟の決まった顔が見える。セイヤは若干不安気だった。
「元の世界に帰れるんですよね?」
「あぁ女神様がそう告げたからな」
気になることを言ってくれてありがたかった。より一層みんなの覚悟が深まる。
「おい、例のものを」
王様が合図を送ると一人の使用人が、水色の液体が入ったガラス瓶をざっと百本は持ってきたと思う。その使用人が一つ手に取り説明を始めた。
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