125kgの俺、体重変換で最強になる話

でもだよ

第1話 見た目大事

 知ってるか?人は初対面の相手だと見た目で九割決まるらしい。しかもその印象が半年も続く。なら、俺がいじめられてるのも、ちゃんとした根拠があるそうだ。


 俺の名前は五十嵐智也、15歳の高校一年生、おデブな陰キャで、クラスからいじめられている。先ほど紹介したおデブで陰キャって言うのは、いじめられるのはもってこいの属性である。


 入学式が懐かしい。俺は初対面が大の苦手である。ちょっと仲良くなれば、愉快なおデブだ。しかしクラスのやつらは俺を標的にした。


 クラスの委員長を決めるとき、俺は押し付けられた。そこが始まりである。そこから俺は、弁当箱の中身をゴミ箱に捨てられたり、女子の体操着をカバンの中に入れられたり、酷いときは俺をサンドバックだ。


 その為、俺の初対面だけコミュ障が長らく続くことになった。


 今日も学校である。行きたくない。どうせそこへ行ってもサンドバック生活が待っているだけだ。


「・・・・・・行ってきます」

 

「いってらっしゃい」


 母に挨拶をしてから外に出る。あぁずっとここにいたい。母には愛されている自覚がある。俺の家は母子家庭で女手一つで俺を育て上げた。父はどこにいったのやら、10年前に行方不明のまま消えた。


 でもそんな母を一つだけ恨んでいることがある。いや、恨むというほど恨んでいるわけではないが、母は俺を滅茶苦茶甘やかしてくれる。ほんとに。そのせいで、俺がこんなぽっちゃりになったのではないかと思っている。もちろん自分で我慢しなかったのもあると思う。でも、確実に母も絡んでいる。


 まぁ愛されているのがわかる為にうれしいがな。


 そんなこんなで学校につく。さぁ今日も最悪の時間が始まるぞ。


「お、やっときたぁ」


「じゃ、俺含め14人分の課題、やっといてねぇ」


 ギャハハハ、と俺を馬鹿にするように笑うと自分たちの話に戻っていった。俺の机に置いてある課題を見る。


(終わるわけないだろ)


 心の中では反抗できるのだが、実際やろうとするとかなりの勇気がいる。しかし今日は、なぜだかその勇気が肥大化していた。


 「い、いやだ!俺はやらない!やらないぞ!」


 ふり絞ったなけなしの勇気。しかしこれは最悪の手、そのあとはいつもよりも酷く殴られるのがオチであった。


 四時間目が終わり、昼休みとなった。


「トモヤ、飯食おうぜ」


 彼は刈水誠也、幼稚園からの幼馴染で、他クラスだが昼休みでは一緒に食べる仲であった。唯一優しくしてくれる存在で本当にありがたい。


 しかし俺のせいでセイヤはこのクラスから変な目で見られている。セイヤになにかあったらどうしようと思いつつ、疎遠になったら、学校じゃ誰も味方がいないのは嫌だった。


 俺は弁当の中を見る、ホッ、今日は弁当は無事のようだ。それを確認した後セイヤのところへ歩く。すると声が聞こえた。


『おめでとうございます!あなた方は選ばれました!これから神の施し《スキル》を与えます。これらを駆使して魔王をぶっ殺し、住まう民を救ってください!』

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