第24話 side 木坂美縁

 三階層にいるモンスターはゴブリンライダーと言って、イノシシの上にゴブリンが乗っている。


 動きが早くなるがイノシシは真っ直ぐしか進めないため、ゴブリン単体より倒しやすいそうだ。


 早速一体目を見つけた、ゴブリンライダーも私たちに気付いており、イノシシが走ってくる。わざわざ待ち構える必要はない。私たちは横に避けた。


 イノシシは途中で止まることができず、壁にぶつかり気絶した。ゴブリンも渋々降りて、私たちに剣を構える。


 ゴブリン単体なら慣れたもんで、体を裂いた。


 こんな感じで私たちが壁に近くに居て、敵が気付いて走ってくるがイノシシは勢い余って壁にぶつかり、ゴブリン単体となり殺す。とっても簡単である。


 ゴブリンライダーが複数いたとしても壁の近くにさえいれば勝手に倒れてくれるしゴブリン複数でもに改装の経験が生きてくるため、楽々と攻略することができた。


 四階層への入り口が見える。


「ここまでだね、もどろっか」


 ヒリスさんに言われたところまで到着したため、後はモンスターに注意して戻るだけだ。


 ゴブリンを倒しながら戻っていると、次のパーティーたちが見えた。

あれは……、前の世界で五十嵐君にいじめをしていた主犯格の、日野冬馬だ。


 私たちには気付いておらず、モンスターの居るダンジョンで大声を上げていた。


「ちゃんと前歩け!もし罠に俺がかかったら、どうなるかわかってるよな?」


「ヒィッ?!」


 あれは、田中君。この世界でも弱い者いじめをしているようだ。しかもアホなセリフだ、罠にかかったらそのまま死んでしまえと思ってしまう。


 日野はこの世界に来て益々性格がひん曲がった。それはこの世界に来て授かった、ステータスのせいだ。職業は魔法剣士でスキルに剣術と火魔法を扱うことができる珍しいステータスだった。


 それを王様たちがもてはやしたせいだ。できることなら、五十嵐君とステータスを逆にしてほしかった。それで、知らないところで勝手に野垂れ死んでほしい。


 私は頭を振った、さすがにこんな考えをしていてはだめだ。弱い者いじめをしている日野を見過ごすことはできない。


「何をしているの?!」


「あん?あー木坂さんか、なんでもねぇよ」


「何でも無い訳ないでしょ!これは報告させてもらうわ、一緒に帰りましょう田中君」


「う、うん」


 怯えたような表情をしながら私たちのほうへとくる田中君、日野が田中君を少し睨むと、日野が言い放った。


「そんな無能居ないほうがましだ、気楽にモンスター倒せるぜ」


 私たちは無視した、話しているだけで無駄である。日野と話しているとIQが下がるような感覚だ。


 田中君を連れてダンジョンの入り口を出る、そしてヒリスさんとオリエルさんに日野のことを報告した。


 みんなが帰ってきて、無事に城に戻ることができてなによりだ。


 風呂やご飯を食べ終え、今日もパートナーのスキルをタップする。


 ちゃんと五十嵐智也と記されているため、ちゃんと生きているんだなと確認していた。これがこの世界に来てからのルーティーンだ。


 また会えるといいな。

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