第25話 やっと外でなにかできる
俺達はこの世界を回ってみたい、これはセイヤとも確認済みだ。セイヤはラノベ好きでこういう展開はあるあるだと言っていた。しかも俺達追い出されたほうが主人公であることが多く、勇者たちよりも強いそうだ。
魔大陸に転移したときは王たちへの復讐心が強かったが今ではどうでもいい。もしなにかちょっかいを出してくるのであれば殺しに行くまでだ。
ここは草原でミムノアの近くと言うことはわかっている。どちらに進むべきか適当に歩いているものの、中々道らしき道を見つけることができない。
「しょうがない。【
このスキルはファトムさんから譲り受けたマイナス補正:肥満を対象に与える効果を持つ杖を使って入手したスキルだ。
スキルの効果は探知と違い、そこにいると感覚だがわかるのだ。ダンジョン内でだとこのスキルを伸ばすことはできずレベル1ではある、しかし確実に便利なスキルだろう。
近いところに複数の人間とモンスターが対峙しており、人間の数が徐々に減っていることがわかる。
まだレベルが低いため何のモンスターかがわからなかったが、助けに行ったほうがいいのは事実だ、探索でしった情報をセイヤに伝える。
「人間とモンスターが戦ってるっぽい助けにいこう!」
ほんの少し笑みを受けべると、「あぁ」と了承してくれた。
「「【身体強化】」」
スキルではないが毎日魔力を体中に循環させていたため、自然と行うことができるようになった。
身体強化を発動すると、身体能力が爆発的に向上するため、いち早く助けるために全力疾走だ。
もちろんステータスの上がった俺達の全力疾走で700mぐらい離れているところだと一瞬だ。
わずか数秒で到着すると、砂埃が舞う。つく手前で止めりゃよかったと考えたが、もう遅いし早く助けようと思い、人間に話しかける。
「助けに来た!あとは俺達に任せろ」
何が起きたかわからないといった表情だが、とにかく助けが欲しかったのだろう。「お願いします!」と大声で言われた。
その返事を聞いた俺達は目の前の敵を瞳に映す。
目の前にいるのは狼の群れである。そしてボスであろう赤い毛をした狼がリーダーなのだと思う。
とりあえず一瞬で終わらせようと思い、居合の構えを取る。狼は何もしてこない俺を倒すチャンスだと思ったのか一斉に飛び掛ってきた。
「あぶない!!」
「大丈夫ですよ、トモヤは」
俺の居合に入ってきた狼どもを一閃。次々に分断された狼たちの体が宙を舞う。その先に居たのは刀についた血を払うトモヤの姿であった。
最後は赤い狼だが、セイヤが戦っていた。大丈夫だろうと刀を鞘に納め、眺める。
どうやら赤い狼はある程度の火はくらわないらしい、それを知ってっか知っていまいか、大きい大きい炎を作る。目の前の狼が直接喰らい、灰となった。
「終わりましたよ」
俺が生きている人間の方に言った。顔を見ると信じられないと言わんばかりの顔だ。
「あ、ありがとうございます。えと、あなた方は?」
そういえばちゃんと見ていなかったが、豪華な馬車がありそれを守るように戦っていた、騎士なのだろう。全身に動きにくそうな装備をしており、腰に剣を備えている。
「俺はトモヤです」
「俺はセイヤです」
「まずは王女様をお救いただきありがとうございます。私らは、ウィフィス・ミムノア王女の近衛騎士です、私がビョーテルそしてデバテス」
ぺこりとお辞儀をした。ちょうど自己紹介を終えたところで、豪華な馬車の豪華な扉が開き、綺麗な美少女が頭をひょっこと出した。
「なにがあったのです?そしてそちらの方々は?」
たぶん王女なのだろう、事態を把握できておらず、ビョーテルに現状を聞いていた。聞いている限りもろもろの説明が終わったのだろう。王女様がスカートを軽く持ち上げお辞儀をした。
「わたくしは王位継承権第三位ウィフィス・ミムノアです。この度は命を救っていただき誠にありがとうございます。」
丁寧で綺麗なお辞儀であった。
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