第26話 ミムノア
やばい、王女救ってもうた。確かに人助けだが、王女様より普通の人間救いたかった。とりあえずこの状況をどうにかするためにセイヤに目配せをした。
しかしセイヤ、俺に憐みの目を向けるだけで何もしてこない。クソっ!こうなったら
「じゃ、俺達急いでるんでサヨナラ!」
身体強化してたぶん人の道であろう道をまっすぐ進んだ。これでミムノアにつくのであれ万歳だ。
セイヤも遅れて身体強化を発動。なんとかトモヤに追いつくために全力である。
「まだお礼もできてないのに……」
ウィフィスは、いきなり逃げてった名前も知らない恩人にお礼をすることができなかったことを悲しんでいた。
それを見つめる近衛騎士のビョーテルは城に無事に王女様を送り届けたら、あの二人の探索を提案してみようと決心した。
しばらく走っていると、大きな門と大きな壁が見えてて50mはありそうだ。それが見えた瞬間に身体強化をやめた。
トモヤがいきなり止まったことに慌ててセイヤは止まるも勢い余って通り過ぎてしまった。
「いきなり止まるなよ!」
「すまんすまん、だけど多分ここミムノアだぜ」
そういって俺が門に指をさす。セイヤはそれにつられて指されている方向に顔を向けると「ほんとだ」と声を出していた。
「緊張するな~」
「確か、ここに入るには身分を証明できるものを出すか、金が要るんだな?」
「おう、ファトムさんが言ってたんだよな確か銀貨一枚だっけ」
この世界、なぜか通貨が共通なのだそうだ。便利だが少し疑問に思う。そしてお金の価値としては鉄銭、大鉄銭、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、そして白金貨となっている、日本円に直せればらくなのだが、そこらへんは実感するしかない。
門を通ろうとすると、見張りに止められた。
「身分証明できるものを提示してください」
「ありません」
少し怪訝そうな顔をしたがすぐに
「では銀貨一枚提示してください」
ファトムさんからもらったお金を使わせてもらう。銀貨一枚を提示すると見張りの人が入ってよしと言ったので堂々と通ることにした。
「「うわぁ~」」
本物の異世界だ。セイヤはともかく俺だってアニメぐらいは見たことがある。やっぱり中世ヨーロッパ風の景色で、たくさんの人で賑わっている。
「トモヤ、トモヤ、多分俺達の恰好目立つから早めに着替えない?」
「そ、そうだな」
周りを見渡して、なんとか服屋がないか探す。それらしきものがあったので動きやすくてあまり目立たない服を選んで店を後にした。
もちろん制服はセイヤのアイテムボックスに入れてある。
目立たない服を選んだと言っても黒髪黒目は俺達ぐらいしかいない。青い目をしてたり赤い目だったり緑だったり、本当に色とりどりの人間達だ。
「手始めに冒険者ギルドだな」
「まぁそのうち見つかるだろうし、ちょっと観光がてら飯にしない?」
どこかおいしい出店ないかなときょろきょろしていたら、おっさんから声をかけられた。
「そこの兄ちゃんたち!オークの串焼きどうよ?」
一本のオークの串焼きを掲げながら俺達を呼ぶ。美味そうだ。一見現実世界にある串焼きのようだがオークなのだそう。セイヤが言ってた。
オークと言うのは豚の頭を持つモンスターで、数が多くそこまで強くないことから一般人に普及している肉だ。
豚肉にしか見えないオークの串焼きをかぶりつく。美味い、そして豚肉だった。しかしなにか物足りないような気がする。どうやらセイヤもおいしいはおいしいが、なんかほしいと言った顔だった。
そしてセイヤが気付く
「トモヤ!【さしすせそ】!」
「あ!」
そう、やっぱり何か足りないと思ったら調味料だ。食事は体をつくり維持し、そして娯楽だと思う。ミノタウロスの肉を食ったときおいしかったが塩を入れるともっとおいしかった。
そのため、わざわざ太って【さしすせそ】と言うスキルを入手したのだ。
「【さしすせそ】」
塩が出てきた。よし!あとはこれを串焼きに振りかけるだけである。
塩を振った肉を思いっきりかぶりつくとほっぺが落ちそうだ。油が多く、そして柔らかい。
幸せそうに食べる俺達を見ていたおっさんが「食べっぷりがいい!安くしてやんぜ!そしておまけだ」
10本買って、2本貰った。さすがにあの量を買うとは思っていなかったらしく、めっちゃびっくりされた。
買い食いしながら目的地の冒険者ギルドにつく。たしか登録すると身分の証明になって国の行き来がしやすくなるそうだ。
俺達は賑わいを見せている冒険者ギルドの中へと入っていった。
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