第30話 ちゃんと強い
朝起きておはようをした。体の所々に違和感がある。まるで何かに包まれてるような、既視感と言うか既体験と言うべきか、とにかく体が拘束されている。
目を開けるとそこには美少女が……なんて展開もなく、只のイケメンが目の前にいる。もし俺が女性だったらこんなイケメンと同じベッドで寝てると考えると惚れてしまってもおかしくはない。たぶん
とにかく、セイヤの拘束を無理やり引きはがし窓を開ける。うーん!太陽絶好調!
てかなんで同じ別途で寝てるのかと疑問に思うかもしれない。この理由は単純明快、節約である。
ファトムさんからは金貨15枚と言う大金をもらった。この金を使えば二部屋借りるとか、二つベッドがあるところで寝るとかできたが、セイヤがケチ臭いもんで「男同士だし一緒のベッドで寝てもいいだろ!」とか言ってきやがった。
まぁそんなことはどうでもいい。今日は本当にゴブリンキングを倒したのかという疑いを晴らすための大事な日。
あのゴブリンの量にゴブリンキング筆頭の上位個体も複数いる。そして今回討伐する……名前なんだっけ、まぁそいつを倒せたら金がガッポガッポでセイヤと体を寄せ合いながら一夜を共に過ごすことから卒業できる。
「ふわぁ」
どうやらセイヤが起きたようだ。呑気な顔しやがって。早く離れたい。
「あ、きましたね」
「おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」
「はい!必ず成功させてください!昨日は疑いましたが、もしゴブリンキングを討伐できるぐらいの力を持っているのなら、期待のルーキー登場で他の冒険者の方の負けん気が発動しますからね。この国の平和の訪れも待ったなしです!!」
受付さんの瞳には赤い炎が滾っている。そういや名前なんて言うんだ?聞いてなかった気がする。
「あの、お名前なんて言うんですか?」
「それは失礼しました。私の名前はアウェス!以後お見知りおきを」
「アウェスさんですね、よろしくお願いします。では今日は何の討伐に?」
「今日はゴブリンキングと同等のBランクのモンスター、ファイアーリザードの討伐ですね」
ファイアーリザード、火のトカゲ?名前的にも炎を扱うのだろうか、しかしゴブリンのキングは火を吐くトカゲと同等に並べられるとは可哀想に。
早速門をくぐり、ファイアーリザードの居るというヒグラム森林へと向かう。アウェスさん情報によると、ヒグラム森林は比較的強いモンスターが多く、過去には竜の亜種と言うか劣化版であるレッサードラゴンが現れたそうだ。
劣化版と言っても強い魔物には変わりなく、その場にいたSランクパーティーが討伐してくれたそうだ。
もしかしてファトムさんがいたパーティーとかかな?
ヒグラム森林の目の前につく。とりあえずファイアーリザードを探しますか。
今回は超便利スキルの掛け合わせ。
「【
もちろん探知を忘れずに。
あ、いた。しかも三体は居る。しかしファイアーリザードがゴブリンキングと同等に数えられるぐらいだ。何体居てもあまり変わらなさそうだ。てか同じランクに分類されてはいるが、ゴブリンキングの方が頭周りそうだし厄介そうだ。
「こっちです」
「?はいわかりました」
そうだろうそうだろう。何せこのスキルは俺が【体重変換】で入手した俺だけのスキルなのだから!
とりあえずここからは気配察知と聴覚強化で探る。探知よりもいち早く見つけられるし。
「あ、いますね三体」
「え?どこにもいませんけど、しかも三体なんて冗談がお上手ですね」
と失笑。くそ本当にいるのに。だがもうすぐ開けた場所につく。俺の言ってることが本当だと思い知るがいい。
ちょっと歩いくと開けた場所、そこに三体のファイアーリザードがむしゃむしゃと草を口に入れていた。
「え?!本当にいた」
むふふ、どうだ?俺凄いだろう。褒めてもいいんだぞ褒めても。
「トモヤ、いっちょやるか」
「おうよ!」
これは認識阻害をかける必要もないだろう。そんな雑魚に俺の刀に血を付けることを許そう。
居合に近いが居合じゃない。これは猪のような技で、俺が独自に編み出した、最強の技。
「
きっと、アウェスさんには瞬間移動したように見えただろう。俺は真っ直ぐ、只速さを求めた技。猪に墨汁を付けて紙の上を走らせたとするなら、それは真っ直ぐな線なのだろう。
本当のことを言うと、一閃とかだと在り来たり過ぎておもんなくね?と思って付けた技だ。要するに中二病である。
さて、後二体。どうしようかしら。
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