第33話 バレた

「ゴブリン107体討伐で大銀貨一枚に大銅貨三枚、銅貨一枚

ハイゴブリン7体討伐で大銀貨一枚に銀貨二枚

メイジゴブリン3体討伐で大銀貨一枚に銀貨二枚、大銅貨五枚

ゴブリンキング討伐で金貨一枚

ファイアーリザード討伐で金貨一枚

ブラックユニコーン討伐で白金貨十枚ですね……えっと合計して白金貨十枚、金貨三枚、大銀貨一枚銀貨四枚、大銅貨八枚銅貨一枚です、お受け取りください……」


 すごい言葉の羅列だ。しかも白金貨という言葉も聞こえ、それだけじゃ足りずに10枚も聞こえた。恐ろしい。


 ブラックユニコーンはそこそこの強さであったがまさかこんな大金をもらえるとは思わなかった。


 てかあいつ《ブラックユニコーン》あのダンジョンのボスより強かった。もしかしたら魔大陸から渡ってきたモンスターか?


「えっと、ギルドマスターがお呼びです……緊急命令権を使って、お呼びです」


「緊急命令権って何ですか?」


「緊急命令権と言うのはギルドマスターに与えられる権限で、緊急事態であると判断した場合、所属する冒険者を操り人形のように自由に命令することのできる権利です」


 なんだその独裁者みたいな権限は、俺は危機感を持った。


「しかも、それを使う判断はギルドマスターが独自に決めていいので、帰ってほしくない冒険者にはたまに使ったりするんですよ、しかもですよ?もし緊急命令権を従わなかった場合、冒険者カードの剥奪や金貨10枚の罰金等、おもーいペナルティが待ってるんです」


 ヤヴァイ、この世界の冒険者ギルドどうなってる?権限持ち過ぎじゃね?俺達に緊急命令権を使うギルドマスターの性格が気になってしまう。


 てか冒険者ギルドと言うより、この国の政治が気になって仕方ないんだが。


「あ、安心してください、緊急命令権を持っているのは本来国のお偉いさん方だけです、このミムノアは魔大陸から一番近い国なのでもしモンスターが押し寄せてきた場合、対応が遅れてしまう場合がありますのでギルドマスターに持たせているってわけです、あとギルドマスターの決め方が冒険者ギルドのスタッフで一番ギルドマスターに相応しい人を投票で決めるので、人柄に関しては安心してください」


 安心なのか?多分大丈夫だろうとは思うようになったが、金で買収することだってできるのではないだろうか。


 やっぱ怖いよ異世界


「到着しました」


「開けよ」


 女の人の声?扉が開くと、女性が立っていた。赤色の髪に鋭い目つき。背筋がピンと伸びていて一切の隙を感じさせない、キャリアウーマン的な、上司にいそうである。


 めっちゃ美人でびっくりぽんである。解体屋のナスエさんみたいに超ごりゴリマッチョのスキンヘッドが待っているかと思ったら、美人のおねぇさん。胸にはスイカを詰めていると言われても信じてしまうほどの爆チチ。でけぇ


「よくぞきてくれた。そしてすまない。緊急命令権を使ってまでここに呼んだのを許してほしい」


 腰を曲げて謝罪の体勢。話に聞いてた通り信頼できる人なんだと決めつけた。


「いえいえ大丈夫ですよ」


 セイヤがそう言うと、ギルドマスターが顔を上げた。


「ありがとう。私の名前だがフェセだよろしく」


 握手を求めてきた。手袋をしていたので手袋を外して手を見せると傷があった手に。剣できられたような爪で引き裂かれたような。


 手を取ると、ごつい。この人強いと思うにはそれだけで十分だった。


「名前は聞いているよ、セイヤとトモヤだっだか、しかし君たちはパーティーなのかい?」


「そうですね。ですがまだパーティー名は決めていません」


「そうかい、これを機会に決めておくといいよ」


「わかりました。それで今回呼んだのはなんでですか?」


「それはね、二うほどあるんだけど、まず一つ目魔大陸の調査かな」


 ファトムさんが受けた任務か。確かこれによってパーティーが全滅したんだよな。


「これのクエストは昔からあるんだけど、中々達成されなくてね。まぁされないと言うより、できないが正しんだけど、昔名のあるSランクパーティーがこのクエストを受けて帰ってこなくなってしまったんだよ。それから他のSランクパーティーも怖気づいたのか、誰もクエストを受けに来ないんだよ」


 そして机を叩いて俺達の方を指さし、目がきらりんと光る。


「そこで君たち二人だよ!私が角を鑑定したところ、レベル800越えの魔大陸からのモンスターと予想できる、それを討伐できるほどの実力の持ち主なら魔大陸での調査もできるんじゃないのかと思ってね、どうだい、受けるかい?このクエスト。お金の方は白金貨1000枚は出ると思っていいよ?」


 いっぱい金貰えるんじゃんけ、どうする?この世界をいろいろと旅したいと言う俺とセイヤの願望がある。


「どうする?」


「俺はいろいろ周ってからでいいかな、てかどうせ魔王倒しに勇者たちが行くんだし、俺達が調査しなくてもよくね?」


「金はどうするよセイヤクン!」


「金は今でも十分あるだろ」


「それもそうだな」


 セイヤに話してよかった、確かに俺達がわざわざしなくても勇者である木坂さんが倒してくれるさ。


「すみませんけど、その話お断りさせていただきますね」


「そ、そうかぁ」


 明らかに落胆した目。申し訳ないが俺達を優先させてもらう。


「で、二つ目って何ですか?」


「そうだったね二つ目は、この国の王女ウィフィス様が二日前、ウルフどもに襲われていたところ青年二人に助けられたそうだ、お礼をしようとしたけどその恩人たちは助けてすぐに走っていったらしく、今それを捜索中なんだそうだ」


 冷や汗だらだら


「そ、そうなんですか」


「それでね、特徴としてはこの国では珍しい黒髪黒目で片方は刀を備えていたんだって、そして何より、トモヤとセイヤって名乗ってたらしいんだよ」


「へ、へェーソンナグウゼンアルンデスネェ」


「君たち、王城に呼ばれてるから」


 バレた。





☆あとがき☆

アウェスさんがちょっとだけ愚痴口調だとはおもいませんでしたか?


実は緊急命令権を使用する際、報告書を書いてお偉いさん方に報告しないといけないんです。報告書の作成に移動を含める仕事が大変面倒で、しかもボーナスも出ず、給料が変わらないと言うことに何も知らないセイヤとトモヤに愚痴を吐いていたんです。


腑に落ちてくれると助かります。

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