第6話 実験

 スキルの実験が始まった。

【認識阻害】は居るとわかっていたら効果が発動せず、いったん瞼を閉じてもらった。すると「どこだ?」とわからなくなり、「ここだよ」と声を出すと見えるらしい。つまり集中すれば見えるってことだ。


 【聴覚強化】は石を投げて検証した。たしかにちょっと耳よくなってることがわかる。

 【気配察知】は俺が瞼を閉じた状態で行う。使用したとき、脳が近くに居る、となぜか方向までわかってしまう。


 そういえば【気配察知】は、緑の巨人のときに勝手に反応していた。やっぱり殺意あったんだな、とか今更ながら考えていた。


 【探知】に関しては名前でも種族でもできるらしい。「人間」と考えながら探知を発動すると、セイヤが光り、「刈水誠也」と考えながら探知を発動すると、セイヤが光った。20mぐらい離れると光りが消えたため、レベルが足りないんだとわかった。


【武具適正】に関しては武器がないため実験できずにおわった。


そして【体重変換】を使おうとしたが、「メインディッシュは最後だろ」と言われセイヤのスキルの実験を行う。


 俺の制服の尻が汚れていたため、【洗浄】を使うと綺麗になった。


 【火魔法】を使用すると、指に触れない程度に少量の火が現れた。「熱くないの?」と問うてみたが、熱くないらしい。


 【鑑定】に関しては、ステータスを同じものが見えているらしい。しかしレベルがついてるってことは、そのレベルを上げるともっと詳しく、対象の情報を知ることができるんだろう。


 【アイテムボックス】は、セイヤが自分のネクタイを取って入れた。思わずその姿に見惚れそうになるが、集中する。セイヤがネクタイをなにもない空間にひょいっと離した。するとネクタイはどこかに消える。「どこにやった?」するとセイヤは驚く表情をするが察したのだろう。「多分俺以外見えないんだ」と自分にも説明するように話した。


 【鋭さ】だが、得物がないため断念しようとしたがセイヤが、「得物と決めたやつならなんでもいいのか?」と言ってまたもやネクタイを取り出し【鋭さ】を発動した模様。するとさっきまで重力に従っていたネクタイが、ピンっと定規のようにまっすぐなった。近くにある石を切る勢いでぶつけるとカキンと鉄同士がぶつかったように、火花と音が鳴る。因みにONOFFはできるようで解除するとまたぐでっとなった。


「よし、次は【凝固】だな!」


「俺の【体重変換】は?」


「だからメインディッシュだって」


 結構楽しみにしていたんだが、仕方ない。セイヤのユニークスキル【凝固】を見る番だ。


「液体だったらなんでもいいんだよな」


 といって地面に唾を垂らす。結構な量のつばを垂らし後、指で唾に触れ【凝固】を発動した。


 すると結晶のような塊ができる。唾の結晶、文字にしてもリアルでもキモイがそれを手に取り、壁に投げつけた。しかし唾の結晶は強固なもんで大きな音を立て、跳ね返ってきたのだ。


 「すげぇ」と俺が手に唾の結晶を持ち、じろじろと眺めると、唾の結晶が本来の形である唾に元通り。俺はセイヤの唾を持っているのだと自覚した。


「きったねぇぇ!」


 それを見たセイヤはげらげらと笑う。畜生、最初から分かってやがったのかよ。


 一通り笑い終えたセイヤは、手に、少し残った唾を【洗浄】で綺麗にしてくれた。便利だなぁそのスキル。


「次は俺の番だよな?なぁ?」


「あぁそうだよ。次はメインディッシュの【体重変換】だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る