第13話 中を進む

「あとちょっとでパンパンだわ」


 ミノタウロスからドロップした斧と肉をしまい終えるとセイヤがそう告げる。明らかに斧のせいだろうが、そこまでアイテムボックスの容量はなさそうだ。


 【気配察知】と【聴覚強化】そして、【探知】を常に発動しながら移動する。なぜ探知を発動するのかと言うと「罠があるかもしれない」とのことだ。罠で自分の人生終わらせたくない。


 結構探知は便利だ。「罠を探知」とちょっと曖昧だが、ちゃんと機能してくれている。結構な罠の量にビビった。もし探知のスキルがなかったら、ここでゲームオーバーである。


 ミノタウロスをはじめとする、様々な敵と戦った。全身骸骨だが、その骨の色は真っ黒なブラックスケルトン、足に炎を宿し、頭上に一本だけ角の生えたユニコーンのような馬、毒を周りに漂わせ、毒を吐く蝶、などこの洞窟に入ってから30匹は敵と対峙したと思う。


 その間にドロップ品でセイヤの武器を入手し、俺も短剣ではなく刀を得物とした。刀はどっちが持つか軽く言い合いになった。日本人として、いや男の子として刀に対する憧れは強い。


 最終的にすべてを解決する、公正公平なゲームじゃんけんで決まった。


 もちろん短剣は捨ててはおらず万が一として腰に備えている。あ、そうそう服装についてだが、もともと大きいのを着ていたためちょうどよいサイズである。足や腕は肌が見えていたが、元々裾上げしていため、その糸をといてぴったし丁度よくなっていた。


 やはり下に進めば進むほどモンスターが強くなっている。そのおかげでステータスの上り幅が大きい。


 俺の今のステータスはこうだ。



 五十嵐智也 暗殺者 LV200

 筋力=7500

 防御=7000

 敏捷=7300

 器用=6500

 魔力=7500

【スキル】

認識阻害 聴覚強化 気配察知 探知 武具適正 魔力弾 弱点看破 無音 毒操作  連撃 眠りの魔眼

【ユニークスキル】

体重変換


もちろんステータスも高くなった。しかし一番はスキルが増えたことだ。どうやら職業レベルが50上がることにスキルを入手することができるのだ!これのおかげで【無音】【毒操作】【眠りの魔眼】を入手。【連撃】に関してはスキルの宝玉のおかげである。


 二つ目はセイヤに譲った。【五感消失】と言うなかなかに強力なスキルでセイヤは喜びの舞を披露してくれた。


 【連撃】は三つ目でどっちが使うかは正々堂々のじゃんけんでまた俺の勝ち。じゃんけんに関しては最強である。スキルの詳細は以下の通り



【無音】

相手に自分の音が聞こえなくなる。

【毒操作】LV4

毒を操ることができる

【連撃】LV5

使用すると相手に与えたダメージと同じダメージを負わせることができる。

【眠りの魔眼】LV1

目を合わせた相手を眠らせることができる


【五感消失】LV1

対象を五感のうち一つを機能停止させる。持続時間10秒


 そうそう、俺もスキルレベルが上がっている。俺は結構なスキルを持っているためまばらとなっているが、セイヤに関しては料理人という非戦闘職なため、スキルが少ない分持っているスキルを鍛え上げることができるようだ。


 実際はあまり変わらないけどね。


 セイヤのユニークスキル【凝固】のレベルが10になってMAXと表示されたらしい。どうやらスキルレベルに関しては10が限界のようだ。


「大分慣れてきたな」


「そうだな、当初は死ぬんじゃねぇかと覚悟したがなんとかなったよ」


 入口から五回ほど階段を下ったとき、目の前に大きな扉がある。


「ボス部屋か?」


「開けてみないとわからないが、ちょっと休憩しね?どのくらい時間たったかわからないし」


 そう、ここまでずいぶんと時間がたっていることはわかるがどのくらいかわからない。もしかしたら日を跨いで連戦しているかもしれない。


 そんな疲れ切った状態でわからないけどボスに挑むのだ。やられる可能性が高い。


「それもそうだな、しかし安全なところ・・・・・・」


 周りを見渡してもなさそうだ。


「ボス部屋の中が一番安全そうだ」


 こいつは何を言っているんだ?疲れて頭おかしくなったのかもしれない。これは速球に睡眠が必要だ。


 俺がセイヤに意味が分からないと言いたげな表情を浮かべたため、弁明する


「違う違う、倒しちゃえば中は安全だよねって話」


 俺も疲れていたのであろう。正確な判断ができていなかった。また、これまで危うい場面が一つぐらいしかなく驕りもあったのだろう。


 覚悟を持ちながらも心では大丈夫と思う自分がいる。


 邪念を持ちながら、その大きい扉を開ける。

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