第11話 宝の持ち腐れ?

 体重変換で最強になるはずだったんだが、ステータスに沿った肉体を手に入れてしまった。本来であればうれしいことなんだが、体重をささげるだけでどうやって入手するかわからないスキルや、どのモンスターとも戦わずにステータスが上がるという魅力がなくなり、完全に宝の持ち腐れとなった。


 セイヤは自分のステータスに興奮しながらも、俺に話しかけてくる。


「トモヤ!お前はどうだった?」


「強くなった、強くなったけど」


「ん?」


「体重変換の意味・・・・・・」


 俺がしょんぼりしていると、セイヤは俺を慰めようとしていた。


 セイヤがミミックの死体のほうへ歩き出す。ミミックがドロップしたと思われる綺麗な石を眺めては、俺のほうに駆け寄ってきた。


「これ!お前にやる」


 実際に見ると拳にちょうど収まるぐらいの大きさだ。


「これはスキルの宝玉って言ってな。割るとスキルがゲットできるんだ!スキルに関してはわかんないけど、やって損はないぞ!たぶん」ボソッ


 おい小声で言ったたぶん聞こえてるぞ。しかしまぁセイヤが俺を慰めようとしてくれた善意なんだ、ありがたく受け取ろう。


 割るって普通に割っていいんだよな?そう思い、少し力を入れると簡単に割れた。体の中に何かが入ってくるような不思議な感覚だ。


 俺はステータスオープンと唱えた。そこには新たなスキル【魔力弾】があった。詳細を見るためにそこをタップする。



【魔力弾】LV1

魔力を指先に集め、放つことができる



 試しにやってみた。俺がピストルのような構えを取ると、セイヤが「どんなスキルだ?」と言ってきた。発射と共にその名を告げる。


「【魔力弾】」


 空気砲みたいだが、弾筋は見えない。しかしとても大きな音を立てながら進む。どこまで飛んだかわからないが多分消えた。消えると当時に音がなくなったからな。


「すげぇ、それ俺も欲しかったわ」


「お前が譲ってくれたんだろ、そのサンキューな、」


 そう言うとセイヤが二カッと笑って満足したような顔だった。


「そういえばお前、スキルのレベル上がった?」


 ミミックからドロップした武器を拾いながら俺に問う。


「いや、上がらなかった」


「なるほどな、俺は【鑑定】【火魔法】【鋭さ】と【凝固】が上がったからたぶん、モンスターを倒した時に使用したスキルはレベルが上がるんだと思う」


「確かにそうかもな、俺の職業の暗殺者のレベル上がらなかったし」


 ちょっとずつだが、スキルに関してわかってきた気がする。


 そしてミミックからドロップした武器だが、短剣である。「お前が使ったほうがいい」とセイヤに言われて貰ったが、手に馴染む感覚がある。シャドウで振り回してみたが、様になってると言われ気分が良くなったのは言うまでもない。


「そういや体重変換のことだけど体重増やすスキル作ればいいんじゃねぇのか?」


 盲点だった、確かにそれすれば実質無限にスキルやステータスが上げることができる。早速上げてみるよといったがセイヤに止められた。


「今したらお前の体重38kgになるだろ、ひょろひょろのがりがりで死ぬかもしれないぞ」


 そういわれ納得した。しばらくは我慢の時である。


 この洞窟も危険だが、外よりましだと思いそのまま奥へと足を進める。


 セイヤの「使いづつければレベルは上がる」を信じて、常に【聴覚強化】と【気配察知】に【認識阻害】を出し続けた。体に負担かかるかなと思っていたが、あまり感じないのはステータス様様だと思う


「セイヤ、敵おる。多分相手は気づいてないけど角に曲がろうとしたタイミングで出会うと思う」


 曲がり角で死角になるが、聴覚強化と気配察知でいち早くモンスターに気付いた俺は、セイヤに報告する。


「それなら俺囮になるから曲がるところでトモヤが待ち伏せして、背後から攻めるのはどうだ?」


「セイヤちゃんと生き残れよ」


「大丈夫に決まってんだろ」


 心配はあるがセイヤを信じる。少し足早に角につくと足音がだんだんと近づいてくる。


 もちろん俺は覗かない。スキルレベルが低いため格上にすぐにばれると思ったからだ。セイヤにアイコンタクトを取るとセイヤが大声を出す態勢を取る。


 「かかってこいやぁ!」


 二度目の戦いが始まった。

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