第39話 静かな決意
「そんなことがあったとは……」
ふぅ、最初は勘違いされていたけど鑑定スキル持ちの人がいてよかった。
「我々の警備の甘さが今回の事態を招いてしました、本当に申し訳ございません」
「いやいいですよ、結果返り討ちにできたんですから」
そういうと、ほっとしたように見えた。まぁこのことがばれたら首が飛ぶかあるいは降格だろうな。
個人的に、こいつらは近衛騎士にバレたくはなかった。なんかいろいろとめんどくさそうだし。
「ではこの三人については陛下に報告した後、牢に閉じ込めておきます」
そういえばどうやって情報の交換をしていたのだろう。俺達がミムノアに来てから三日四日ほどしかたっていない。ファトムさんに教えてもらった地理を思い出してみるとこの城からアリラドへは馬車で2か月はかかると言っていた。
暗部が勝手に動いたとも考えられない。なにか情報手段を持っていたか、あるいは魔大陸に俺達を飛ばしたようにテレポートできる手段を持っていたかだ。
……魔族のことと言い、スピーディーな情報伝達と言い、めんどくせぇなぁ。
どうやったらこの問題をあまり手のかからず、確実に終わらせる方法はないか。
あ、あの王様ぶっ殺せばこんなことなくなるよな?よし決めたわ。
「「なぁセイヤ(トモヤ)」」
「「お前から言えよ」」
「「……」」
きっと考えていることは同じだろう。思えばこの世界にきて初めはまたかよと思ったが心も体も強くなり、地球よりもいい思いばっかしている。
足りないものと言えば母からの愛情とかかな……懐かしい、もし帰れたらお母さんのご飯いっぱい食おうと決意した。
って違う違う。たしかにこれも一つの決意だが俺達の第二人生(?)の邪魔をされるのはつまらない。
つまり俺達の邪魔をするアリラドの王様は殺すってわけだ。
ついでに冬馬たちも殺りたいとちょっとした私欲が出たが、もし自分たちより強かったらと考えると怖い。
第一にアリラドの王様殺して冬馬たちのステータスをセイヤに確認してもらってからだな!って勝手にひょいひょいって決めてるけど多分セイヤも同じこと考えてるだろう!
「セイヤ」
「なんだよ」
「アリラドの王様、殺らね?」
「……王様だけじゃ残ったやつらが復讐しに来るんじゃないのか?」
「それもそうだな……じゃあどうすれば」
「簡単だろ証拠も残さずに、関係者全員殺す。お前のスキル【体重変換】があれば簡単にできるだろ?」
「もちろんだ」
端から見れば王様とその関係者を暗殺すると宣う愚者に見えるかもしれない。
だけど俺らからすると緻密で完璧な計画なのだ。
俺らは静かに拳をぶつけた。
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