第40話 走る走る俺達

 アリラド王の暗殺を決めた俺達、思い立ったが吉日ということでミムノアの王様がぐっすり寝ている間にセイヤと共に走り出した。


「たまにさ、夜に散歩したくなる時ない?」


「あーわかる、でも親にバレそうだからって思って結局行かないよな」


 アリラド目がけて一直線に走る。なんというか早く殺したいって思う衝動が抑えきれない。


 どうやって殺そうかな、指を一本ずつおっておっておって苦しい痛い早く解放してくれって思わてあきらめたところでやるとか、方法はいくらでも思い浮かぶ。


 成功を前提に考えすぎて騎士にやられないか?と思われるかもしれないが調子乗っているという訳ではない。


 あの暗殺者のステータスをセイヤから聞いたのだが、ミムノアの騎士より強いらしい。もちろん王様の近衛騎士とかは暗部より強いのだとか。ほらビョーテルさんとかデハテスさんとか。


 そしてなんといっても俺達とのステータスの差が天と地ぐらいの差とも言っていた。もちろん俺達が天だ。


 どういうことかと言うと、ミムノアの騎士は王を守る仕事だ。ある程度の実力なくて王を守れるわけがない。そしてその騎士よりも強いアリラドから派遣された暗部、さらにそれよりも圧倒的に強い俺達。


 このことから成功間違いないことがわかるだろう、きっとそうだ。


 しかし騎士がミムノアの近衛騎士よりつよかったら?と思うかもしれないが大丈夫だと思う。


 ミムノアは魔大陸に一番近い国だ。魔大陸には人体陸に比べはるかに強いモンスターがうじゃうじゃしている。


 もしそのモンスターたちが人体陸にお邪魔すると真っ先に狙われる国はミムノアだ。


 そのモンスターと渡り合える実力がないと王や民を守ることができないだろう。そのため他国の騎士に比べるとミムノアの騎士の方が強い訳だ。


 だから心配していない。セイヤなんて復讐を果たした後、この世界をどうやって周ろうかなんて相談してきたぐらいだ。


 きっと大丈夫。俺も復讐が終わったらどこを周ろうか検討するのだった。



「ミムノアって結構でかいんだな……」


「それな、やっと壁に着いたよ」


 俺達がミムノア城からでて真上にあった月が、地平線へと傾き始めたぐらいになっている。


 全力ではないが、それでも1kmをだいたい20秒で走ると言うかなりのハイスピードだ。


 50mは優にあるであろう壁をひょひょいと上ってまだ地面に落ちる。


「ミムノアとはおさらばだな」


「またこれるさ」


 今度はあの王様にちゃんと挨拶をしようと心に決めた。


 別に疲れてはないので、休憩もせず次に近い国「ヨタリ」を目指して走り始めた。


 壁の外であるのと、モンスターが活性化する夜も相まって壁の中にいるモンスターとは比べ物にならないほど強くなっていた。


 まぁ大体が俺の雷魔法かセイヤの魔法によって、攻撃を繰り出す前に命の灯を消す。


 残酷だと思うなら異世界に来ないほうがいいだろう。命をベッドする戦いが常とするこの世界に、平和ボケした日本の常識は重りとなるのだ。


 ってこの世界に来て1か月ちょっとのやつが何を偉そうに言っているのやら。


 普通の人よりは過酷な人生を送っているつもりだ。このくらい言わせてくれ。



 太陽と月が睨み合いをする時間となった。毎日毎日同じ時間に睨み合いをするのはつまらなくないか?とは思うも、本当は仲良く話しているのかも、そんな一生理解できない議題をやめて、瞳に映る今を脳に刻んだ。


「ここがヨセフか」


「結局変わんねーじゃねぇか、50mの壁」


 どこの国も一緒なのか?確かに夜になるとモンスターは活発になって力も昼に比べ強くなる。


 でもわざわざ壁を作らなくて堀を掘るとかないのだろうか?もう少し頭を回してほしいものだ。


「門も空いてるし、正規の方法でヨセフに入るか」


「そうだなそれより、中どうなってるんだろうな」


「楽しみだ!」


 朝一番過ぎて誰も並んでいない。見張りの人に身分を証明できる冒険者カードを見せびらかして門をくぐった。

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