第44話 その後……

 4の大地ガランヘイムはもうボロボロだった。そして大きな大穴に座る二人の姿そう、エリアルフォンアルフィードとルクスの姿だった。ほかの周りの人達は先ほどまで敵だったエリアルを前にして殺したい気持ちはあるがこの場を邪魔すると逆に殺されてしまう。など、この雰囲気を邪魔することなどできん。などいろいろな思いがあった。


 「私は何百年も天廊の女王として世界を見ているけど。ある時懐かしい雰囲気がしたの」

 「あぁ」

 「悪魔の存在が懐かしかった」


 エリアルが少し暗い表情を浮かべながらその続きの言葉を話した。


 「その懐かしい悪魔の正体は魔王ディアブロス……」

 「まじかよ……」


 もはやほぼ全ての記憶を取り戻しているルクスの脳内にディアブロスと言う名が浮かび出てしまった。


 魔王ディアブロスは最悪戦争が始まる数百年前に誕生した世界最凶の魔王。この世の万物を見ることができ、すべての魔術を使う事ができる。この時の世界はスキルというものが無くすべて魔術と言われていた。魔王ディアブロスは今は無き伝説の大地【5の大地 エスカレード】と言う国の地下深くに自身の国を作っていた。そしてその上に位置していたのが伝説の国通称、神の国【オリンポス】だった。


 ルクスはオリンポスの王子、それらの機密情報はたくさん握っていた。そしてその頃からルクスの力は常人を越していた。


 一度ルクスはその魔王ディアブロスが納める国に訪れたことがあった。そこには綺麗な街並みに、いろんな種族が同じ家に住んでいる状態をみてかなり感動していた。


 「すごい……」


 ルクスの頭にはこと一文字しか浮かんでこなかった。だがその魔王ディアブロスの思惑はそんな幸せな国を作ることではなかった。


 魔王ディアブロスの本当の目的は……


 「そうルクスちゃんも知っている通り、『民を全て食らいつくしオリンポスの秘術を受けている者を排除する』と言うのが本当の理由だね」

 「確かにあれは懐かしいな」


 オリンポスの秘術はその受けた者だけで大地を滅ぼせる能力を単体で持つことができると言った効果だ。このオリンポス秘術を受けた者は世界に数少ない。


 「そうね。全員、帝が付くもの達ね。そして私がそのもの達を殺しまわっていた理由は、その魔王ディアブロスは死んでもなお他人に呪う効果を持っている」

 「それはね……」

 「そう。そして先ほどまではルクスちゃんの体の中には魔王ディアブロスの魂が宿っていたの」

 「先ほどってことはもういないのか?」

 「うん。ルクスが覚醒した際に出た高濃度の神聖エネルギーで綺麗にいなくなった」


 魔王ディアブロスの消滅が確認でき誰ももう戦う気力や戦いたいと思う者はもうこの世にはいない。そしてサッと立ち上がったエリアルはルクスの方を見て最後の一言を話した。


 「ルクスちゃん。いや、神の国オリンポスの王子様、今までありがとうございます。そして今私の命を持ってあなたの邪悪なる存在を永久に封じ込めます……」


 この言葉を聞いてルクスは涙が出ていた。そしてルクスは止めようともしていた。仲間思いのルクスが仲間を殺したエリアルに向けて死ぬなという最後の命令をだすがその時のエリアルは涙を一粒だけ落とし「さようなら」と言ってその場から消えた。


 神聖なる光がともりその光はルクスの体の中に入っていく。周りにいた人たちはその光を見て膝をついている。決してエリアルが嘘をついてなかったことがその光の神々しさで分かった。


 すべての光がルクスの体内に入りつくしたらルクスの記憶の全てが完璧に元に戻った。


 それから数年が経ち……。


 「おい。お前もうすぐ王が見えるよ!!」

 「マジかよ! 早くご尊顔いたしたい!」


 一人の兵士が大声で民衆に言い放つ。


 「我らアルフォード国の国王ルクスフォンアルファード様のおなり!!」


 民衆は何十万人も入るような大きな広場にあふれるほどの人達が膝をつき頭を下げる。


 「みんな顔をあげてくれ。私から言いたいことは一つこの国は我の師のおかげで出来た国だ。その気持ちを心に収め日々の生活を楽しむように!」

 『ハ!!』


 赤いカーペットの上に高級な宝石で飾られたソファーに三人が座っていた。一人は綺麗な青髪を垂らして綺麗な耳がついてありそれはまるで天使みたいな女性。そして残りの二人は青色の綺麗な髪と真紅の瞳を持つ小さな子供がいた。年は5歳ぐらいだろう。


 「ねぇねぇママ! パパの話はこれでおしまいなの?」

 「そうだ! そうだ!」

 「そうね。パパの話は終わりだよ。でもねパパは誰よりも強くて誰よりも優しいまさにこの国で一番誇れる方なんだよ」

 「パパつよい!!」

 「パパつよい!!」


 無邪気な子供と天使みたいな女性の部屋にノック音が響き渡る。その音がやむとドアがガシャリと開いた。


 「また俺の話かレイラ恥ずかしくなっちゃうよ」

 「パパだー!」

 「パパだー!」


 ルクスはもう一国の王となっておりそして、レイラは女王殿下となっていた。ルクスとレイラの子供はルクスに近づいてルクスにレイラが教えてくれたことを話した。


 「パパは凄いんだね! 草原て場所に居てから記憶が失ってそこから魔人を倒してサリエス教国と言うとこにもいって!」


 そうレイラは今までの冒険譚を子供たちに話していたのだ。


 「でもまぁ~懐かしいな。あの頃は」

 「そうですねルクス」


 そしてこれからもアルフォード国の一国王として今後の余生を歩むのであった。

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訳あり冒険者が世界を歩む あげもち @agemo1

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