第10話 レイラと書庫

 私はルクスの記憶を呼び起こすために試行錯誤している。ところで私とルクスはどのような関係かそう思った人は少なくはないだろう。私とルクスは簡単に言えば……って今はこんなことをしている場合ではない。


 私はやるべきことがある。そう私は先ほど王城でギニア王にある場所へ立ち入る許可をもらったばっかりだ。私はその場所に非常に行きたい……。


 「レイラ殿はなぜそのような場所に行きたいのですか?」

 「はぁ、ギニア王よ私の事はレイラで構わないよ。今あなたは王様って言ったでしょ?」

 「まったく、レイラは変わっておらぬな……」


 安心したような様子でギニア王は一息をついた。


 「ところでレイラはあの子とどんな関係なのか?。昔から一緒に過ごしていたのは分かるけど……」


 そう聞かれたレイラはほっぺを膨らませながらそんなことは関係ないでしょっとギニア王に答えた。


 「ところであの場所に行く理由は何なのじゃ?」

 「それは私の知りたいものがあるからよ」

 「知りたい事?」


 ギニア王は腕を組み深く考えている。王の様子を見るにどうやらその場所に行く理由が思いつかないようだ。それを見るレイラは困った顔でギニア王の顔をのぞく。


 「まったくあなたは変わっていないようですね。《四大英雄 心眼ハートアイのギニア》は」


 そうこのギニア王はかの四大英雄の一人なのだ。心眼ハートアイと言うのも、このギニア王は相手の心境や心情、考え全てを読むことができる伝説技レジェンドスキルを保有している者だ。


 「レイラその名はやめてくれませんかのぉ~、わしはもうあの名前を捨てたいのじゃ。だがなぜだろう……あなたとあの子だけはわしの心眼が効かないのじゃ」

 「あの子を基準にしたらいけませんよ」

 「そりゃそうじゃな」


 そう笑いながら言うギニア王にレイラもつい笑ってしまう。そうしながらも少しずつ歩いていたレイラ一行は小さなドアなのに頑丈に警備されているドアの前に着いた。小さい割に兵士が4人体制で警備をしている。ギニア王は兵士たちにドアを開けるように指示を出した。


 兵士は王の指示でドアの横に並びドアを開けた。ドアの先は薄暗くて階段が下に続いている。レイラたちは階段を下りレイラが目指していた場所に着いた。


 「そう私が来たかったのはここ、ライトギニア地下大書庫」

 「わしも薄々気づいていたがまさか地下大書庫とはね」

 「そう、ここなら伝説を作っているあの子の事が禁書の中に書かれているはず……」


 レイラは禁書棚の列に行き本を沢山取り丁寧にすべてを見事に読み上げた。その中にはルクスと関わる物もあったのだがそれが直接的にかかわるとは思えなかった。


 だが一つだけ確信ついたものがあった。それは、昔ルクスが私に言っていた言葉。


 「俺よりも強いものがこの世界には存在するだろう……」


 この言葉が今確信ついたのだ。私が見ていた本の一つ種族に関する本だった。この本には今までかかわりがなかった種族の強さなどが明らかにされている物だったのだがこれがまたルクスより強いとは思えなかったが、あのルクスが口を鋭くして言っている物だから嘘とは思えなかった。


 「ルクス……助けてあげる……この私が……」


 ギニア王もさすがに私の事情は知らないが、それをギニア王に教える気にもなれない。だがギニア王は私の事情を知りたいらしくてうずうずしている。これもこれでまた良い日ですな。あいつらが来るまでは……


 「ひゃっは、あいつら大英雄だよね!」

 「うるさいメルシィ少しは静かにしてろ」

 「わかったわよ、だけど確かに四大英雄は強いんだけどさぁー。魔人のトップ組織四死聖典だったら勝てるくね?」

 「うるさい。黙っておけ」


 シンエイと言うものとメルシィと言うもの、こいつらは魔人族の最高組織四死聖典さいこうそしきししせいてんの幹部なのだろう。


 そんなことも知らずに私は禁書棚で未だに禁書の解読をしている。どこからか監視されていると私が気づいていればあんなことにはならなかったのだろう。これは私の慢心さが起こした問題だろう、いつもの私なら気が付いていたのだが……。


 その頃一方シュリは、城の招集から解散した後、王国内の観光をしていた。シュリは何かの異変をその時察していたらしい。今思えばシュリも大概にものすごいスキル持ちだったんだなと思った。


 「ひゃっは、そろそろ行って良いかなシンエイ……私楽しみで体が震えているよ!」

 「あともう少しだ……。四大英雄の二人でいる中俺ら二人で戦ったら分が悪い。だが一対一なら未来は全然あるむしろ勝筋しか見えない」

 「行くときは暴れていいよね?」

 「その時はたくさん暴れるがいいさ。決してヷァルム様の期待を裏切らないようにしないとな」

 「それはそうだよ~いくら私でもそれは分かるよ!」

 「では行くか……」

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