天廊

第38話 天廊

 俺は知っていた。みなが記憶の書庫と繰り返し笑いながら言う事を、笑うのは大事なことだが無知が過ぎた。俺は一番最初から記憶の書庫のありかを知っていた。全てだ。俺はなぜ記憶の書庫に記憶を保管されているかは分からないが……。


 「ここだな」


 ルクスはある場所に着いた。あいつら達がいや、人類が誰も知らない場所、秘境。この世のことわりは全てここが解明する。そうここが【天廊】


 ルクスは重厚な鉄の扉をガシャっと開ける。なぜかさび付いていない。天廊は最悪戦争より前からあったもので、戦争の被害は多大にあったけどなぜかこの場所だけは傷一つつかなかった。


 「俺がもう一度この場所に来るとはね」


 天廊第一階層はもちろんのこと全身鉄装備フルメタルアーマーに身を纏う者がたくさんいた。ルクスは難なく倒していく。ルクスが歩くたびに行く先のランプが光ってくる。


 そして天廊第二階層。ここは少しギミックがあった。本当は仲間を一人犠牲にしてその血肉でゲートのカギが入手できるが……。


 「破壊演算ロークレイジング……」


 重厚な魔銅鉱石で作られた最硬度の金属ドアを破壊してしまった。でもよくよく考えると自身の仲間を生贄にするって結構えげつない事をしていたもんだ。


 そして天廊第三階層。個々には階層主が居る。頭部がイノシシの頭で胴体はライオンそして背中にはユニコーンの羽がついている。これは見かけによらず超一流の冒険者でも倒すのは困難だが……。


 「うぉぉぉーーーん」

 「うるさい。《絶望障壁ラストマインド》」

 「うぉ……ん」


 バタっとその場で複合生物の階層主が倒れた。ルクスにとってこの天廊の試練はそれほど簡単なのさ。実際にこの天廊にはかつて3000人の超一流冒険者が攻め込んできた。だがそのすべては次の階層である天廊第四階層で全滅してしまった。


 「ここだな、少し戦わないといけないか……」


 第四階層は不気味だ今にも死ねそうなほど不気味少しでも気が抜けてしまえばその瞬間体が崩壊してしまう。それぐらいこの階層はヤバイ。


 「我の前に現れるとは……この天廊もくさったもんよ」

 「まぁ~そうかもね」

 「うむ、この声は……さっきの発言を撤回しよう。お前なら難なくここまで来ることは容易だろうよ」

 「久しぶりだね【死之王 デスシリンガー】」

 「お前こそな……ルクス」

 「そういえば俺もうこの天廊のメンバーではないからお前を討伐してこの先に進むけどいいよね?」

 「もちろんだ。我に勝てればな」


 そう言うとデスシリンガーはその場で黒い煙を解き放った。その煙は周りに居たモンスターを一瞬で殺してしまい。その魂をデスシリンガーは回収した。そうすると先ほどの骸骨の見た目をしていたデスシリンガーが肉体付きのデスシリンガーになった。


 「まためんどくさい事を」

 「ははは、これぐらいしないとお前には勝てないからな」

 「そうだね。最初から最終形態になり、それで勝てると思っているお前もかなりの無知だな」

 「我が無知だと?」

 「あぁ。ほらだって俺をライバル視しているならなんで俺なんかに裏を簡単にとられている? 俺には分からない」


 ルクスがデスシリンガーにそういうと、自身の前にもうルクスの姿がないことに気が付く、デスシリンガーはすぐさま距離を取るがなぜか毎回後ろにルクスが居る。


 「《巨岩石像ガルガンチュア》」


 ルクスの後ろに召喚される石像は見た目では一般的な召喚獣だと思われるがなぜかルクスが召喚したものは全て強さが違う。ガルガンチュアもかなりのバケモノだ。


 「ルクス我はお前に嫉妬していたんだよ。だが気が変わった《絶死之覇気じゃくりゅうりゃこう》」


 死の手がデスシリンガーからガルガンチュアに向けて伸びる。どうやらこの手に触れた物は即死するらしいがガルガンチュアには魂が無くその場で跡形もなく手は消えた。そして手が消えたと同時にデスシリンガーも消した。


 「相手にならない」


 そして転移門が開く。今までの門とは違くこの門は強い青白い光が浮き出ておりその光の中心に入ると転移されるわけだ。ルクスは何も躊躇なく入った。


 シュンと言う音と共にルクスは長い廊下の場所へ転送された。宮殿よりもでかい廊下はまさに現実世界にあるとは思えないほど。まぁ実際この場所は異空間だがね。赤い地面の特徴で両手を広げた感覚に金色の装飾品が綺麗に均等に飾られている。そして廊下を進むと両端に今までの最強と詠われてきた人の石像が置いてあった。


 「隻眼……龍神……地底王……死之覇者……そして雷帝」

 「いろんな人がいるな……」


 ルクスが知っている者も少ないがそこには居た。そして奥に連れてこの人らの強さが分かる。未だにルクスはいない。


 「邪眼……隻腕……百龍……そして俺か……」


 ルクスの全盛期の強さはまだ使えないが石像が一番奥に置かれていた。


 「うそだね」


 ルクスはそうつぶやいた。ルクス自身自分より強い者がいることを知っている。そしてこの石像たちは歴代の神聖級レクイエムだ。この世界には神聖級レクイエムは一人しかいないと言ったが。正確には一人出来たらそのもう一人は自然の摂理で消される。そんなものだそして雷帝エンブレムは違う。あいつは確実に神聖級レクイエムはあったが立ち位置は俺の戦友だったため消されなかった。


 そしてルクスは歩くと先ほどとは違う雰囲気を放つ廊下と同じぐらいでかいドアがあった。


 「着いたか……」


 ルクスはその扉を開けた……。

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