第32話 腐食の残留
ルクスらは、神人の新たな動きを警戒すべく新たな拠点を探し旅立っていた。森林や密林を抜けてリヘンが暮らしていたという村の近くを通ることになった。
「リヘン大丈夫?」
「は……はい……」
リヘンはやはりあのトラウマが残ったらしい。これはしょうがない。村を通り過ぎてまた森林に入る時だった。
「レイラ、リヘンなんかおかしい……」
ルクスはある一か所に指を指しそう言った。
「え……」
「これは……」
二人がその光景をみると目を瞑り何かを見ないようにしていた。そう二人が見た光景は普通の冒険者の顔が半分抉れていて、さらに異臭を放つ死体が数十体と地面に立ったまま死んでいた。
なぜ立ったまま死んでいるかはルクス達にも分からなかった。三人はその場を早く去るためにすぐに早歩きをしだした。
「ルクス、リヘンさっきの何だと思う?」
「僕は……おそらく腐食王だと……」
「俺もリヘンと同じで腐食王だと思っている」
どうやら二人の答えはおんなじもので少しほっとした。そうしていると空が緑色にみるみるうちに変色しだした。
リヘンは大声で叫んだ
「ルクスさんたち! 腐食王が来る時の予兆です!!」
リヘンのアドバイスにより残り二人は戦闘モードに変わった。どうやらここで戦わないといけないらしいが肝心の腐食王の姿が見えない。どこにもいない。
ヒュンッヒュンッヒュンッ
何か聞こえるそれは今では恐怖にしか思えなかった。音はするがどこにもいない。見えないそんな音の恐怖は凄まじいものに変貌する。
「レイラとリヘン。これはおそらく腐食王の先遣隊だ。あいつらは動きが速いから目では目視できない」
ルクスがアドバイスをすると三人はすぐさま【
腐食王、その名は神々の世界の時代に、一国をたった一夜で滅亡させたと言われる【
こいつは
「一夜で国を滅ぼした天災……」
「でもどうしてあいつほどのものが人間の領域に足を踏み出しているのかが私の中では不安かな?」
ふだん
「とりあえずやるしかないでしょ」
ルクスはそういうと高速移動している腐食王の先遣隊を一刀両断にする。それは常人に出せるはずのない紛れもなく神技だった。
まだ腐食王の本体は見えないが先ほどよりも先遣隊の数が多いし、湖の水は腐食が進んでいる。間違いないここにあいつは近い。
先遣隊は先ほどと違い、人型だったものから魔獣型に状態変化している。魔獣型に変化した先遣隊は先ほどよりも圧倒的に強くなっている。どれぐらいかと言うと、サリエス教国の三色の塔の全員体こいつら一匹で勝てるかどうか、本当にそれぐらいだそんな強さをもつ魔獣型が無数にいる。
「これが一夜を滅ぼした前兆か……」
「すこしやばいね……」
もう空は緑色から紫色に変化している。そこから考えられることはおそらくだがリヘンの村を襲ったのは腐食王の余波だろう。そしてルクスはリヘンにやさしく声を掛ける。
「リヘン、今は無理をしなくていい。相手が相手だ隠れた方が良いかもしれない」
リヘンはその問いに決意のこもった声で投げ返す。
「僕はルクスさんたちから離れない。そして今復習を果たす時でもあります。歩く天災……聞いてるだけでもかなり興味が湧きます」
(リヘン……お前は変わった、リヘンは強くなれる)
「分かった一緒に戦おう。だけど死ぬな、危なくなったらレイラを頼れ。これは恥ずかしくない。相手が悪い」
そう三人は、戦う決心がついた。そして先遣隊はレイラとリヘンに任せてルクスは本体に直行する。手前から人型、魔獣型……と来ていたがそこからはこちらの次元には存在しないような超次元生物型が周りにいた。
魔獣型でかなり強いから多分超次元生物型はもっとやばいのだろう。それを考えると腐食王はかなり近い。紫色の霧で見えにくいが薄っすらと見える。
「何だあれ……コウモリ?」
そう腐食王はコウモリの形をした巨大な生物だ。その羽は一振りしただけで周りの空気が腐りコウモリを中心として周りの動植物が腐って行っている。
「うげぇ~。これを相手にしないといけないの?」
「まぁ~でもやるしかないよね?」
ルクスは人類初歩く天災と戦う最強の戦士と化した。
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