第33話 決戦 腐食王ギルブレラ

 先ほどよりも明らかに周りの雰囲気が変わっている。超次元生物型の魔物もかなり増えている。うっすらと見える大きな影はじわじわとこちらの方に向かってきていたルクスは自身の武器を手に出す。


 「やるだけやるか……」


 一瞬で超次元生物型の魔物に近寄るルクスはそのままの勢いで斬りつけるがそれは弾かれてしまった。そのままルクスは弾かれた方向から逆の方に剣を振り落としそのまま一体を両断した。


 「俺の斬撃を弾くか……」


 ルクスは今まで自身の斬撃を弾いた人物はたった一人しか知らなかった。ここでルクスの無知が分かってしまった。


 「俺はまだまだ無知だな……」


 ルクスはため息を一回つき、また自分の周りに無数にいる超次元生物型の魔物をスキルを使い殲滅することにした。


 「《祖毒轟雷ソドム》」


 ルクスがそう唱えると、自身の周りに雷鳴が轟く。その音は凄まじく当たらなくても音だけで切り裂けるほどすごかった。それだけのものを放てばさすがの超次元生物型の魔物もあっさりと消滅する。


 ルクスが次の攻撃を仕掛ける時だった。自分が立っていた地面から黒色をした波動が3か所から噴き出した。ルクスは早く受け身を取ろうとするが次は何もない空から黒い波動が6か所から降り注ぐ。


 「マジかよ……」


 ルクスは避けれないと思いその場で結界を展開する。その結界は最弱のものだったがルクスが使えばそれは最強となる。ルクスは冷静に考えた黒い波動を撃つ正体はそしてルクスは何者から覗かれている事を感じた。


 「やはりか……」


 ルクスは少しまずい反応をした。


 「師匠……」


 ルクスから師匠と言う言葉が出た。どうやらこの惨劇を見ているのはルクスを育てあげた師匠と言う人物らしい。だが師匠が聖王国に手を貸すはずが無いと思っていたので今回の件は聖王国の関与はないと見た。


 「確かにな……師匠ならこれぐらいのものなら使役するのは容易だろう」


 ルクスはそう思い自身のリミットを解除することにした。


 「しょうがない……能力解放!!《百知之王メティス》」


 今この時ルクスの能力の一部を腐食王のために開放した。ルクスはその場から腐食王に向けて波動烈波を打つ。その攻撃は多少だが腐食王をひるませた。その間に武器を持ち猛スピードで羽を斬る。


 だが確かに斬ったのだが再生してしまった。


 「どうやらこいつは一撃で殺さないといけないらしい」


 一方レイラ達も僅かだが腐食王の影響を受けていた。人型から魔獣型へと変わっていたのだ。その対処はレイラなら問題ないのだがリヘンには少し身が重かった。


 「リヘン大丈夫?《氷結之壁アイスウォール》」


 リヘンが倒しきれなかった魔物型はレイラが後方で倒してくれているし、もし食われそうになってもレイラが守ってくれる。その安心感はリヘンの覚悟を変えた。


 それはレイラにも分かった。確かに何かが変わったそれは目に見えるほどにだ……。


 リヘンの周りに突如として黄金の雷撃が降り注ぐ。レイラはそれから守ろうとしていたがその雷撃はレイラの力量では防ぐことはできなかった。


 ドン!ドォーン!!


 「レイラさんありがとうございました……僕はやっと自分を変えることに成功しました……今からは自分の身は自分で守ります!」

 「なにが起きたの……」


 レイラには理解ができなかった、でも確かに変化した。いや進化した雷鳴の影響でリヘンは進化して雷神となったのだ。そこからリヘンは周りに無数にいる魔獣型をたった一人で全て消滅させた。そのままリヘンはその場から遠くにいる腐食王の元へ一発の雷を放つ。


 「ルクスさん今助太刀を……《雷神神成レイジングフィード》」


 レイラは一瞬自分の前で何が起きているか分からなかった。ただ一本の雷撃が腐食王の頭を貫いたことはルクスには伝わった。そのままルクスは墜落していく腐食王を確認してレイラに連絡を入れる。


 {どうなっているのよルクス!}

 {やっと覚醒したか……}

 {ルクスはこうなると予想していたの?}

 {もちろん。リヘンには隠された力があることも知っていた}

 {その隠された力が雷神の力}

 {この力は神人を倒せることができるけど。今回の犯人を倒すことは不可能だな}

 {今回の犯人?}

 {うん。戦っている時に確認したけど。今回の犯人は俺の師匠だ}

 {え……}


 そこで連絡が切れた。レイラは謎の人物【師匠】存在が知らない。ルクスの過去に影響した人ならかなりまずい。その理由は明白だ、それはルクスより強い力を保持しているからに違いない。


 聖王国の会議が始まり1時間がたった。内容はルクス討伐計画。今回の計画は神人も入っている。


 「神人隊長はどう思いますかね?」

 「ルクスとやらは知らないが我らが負ける未来が見えない。お前はどうだ?」

 「え……私? 私は強い者との子供が欲しいから今回のこの作戦に乗っただけ」

 「全く……。 でもお前ならルクスには勝てるのか? どうだろうね。聞いている感じなら強いが私ならいけるかもね」

 「でしょうな……」


 聖王国は着々と準備をしていた……。

 


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