第31話 リヘンの悩み
村の謎襲撃事件が起きた日からだいぶ経つ。村の生き残りであるリヘンは今後はルクス達と共に冒険すると強い意志で決めたものは良いものの……。
「はぁーはぁーレイラさん強すぎます……」
息を切らして前かがみになるリヘンと氷の空気を身に纏うレイラの姿が見えた。リヘンはルクスと共に冒険する事を誓ったがそれにふさわしい実力を付けないといけない。そのためにレイラの厳しい特訓を受けている最中なのだ。
「リヘン弱音は吐かないでね!」
「は、はい……」
(やべぇーレイラさん鬼だ……)
そんな事を思いつつも特訓を受けるがその域はもう人をやめているほどだった。もうリヘンは人間を卒業したのだ。
「リヘン前よりうんと強くなったわね!」
「あっありがとうございます!!」
「だけどそれじゃルクスには勝てないわよ!」
「え?」
リヘンはレイラの思わぬ発言を聞いて一瞬戸惑った。確かにリヘンもルクスが強いことが分かるがレイラがこんなにも強いのにレイラも凌ぐほどとは思っていなかった。そうするとレイラがリヘンに提案を持ちかける。
「一回ルクスと手合わせしてみたらどう? 次元の違さを味わった方が良いわよ」
一瞬だがリヘンは思考をよぎらせた。結果ルクスと手合わせをすることになった。
「ルクスあまり本気ではしないことだよ」
「わかってる」
「ではお願いしますルクスさん」
そしてレイラの開始の合図とともに二人は前に飛び出したが。その瞬間リヘンはその場で倒れた。それを見ていたレイラも驚いた。
「ルッルクス!何をしたの!!」
「え……パって行ってドカン!」
「いや分からん」
その場に倒れたリヘンをレイラは持ち抱えるとそのまま仮拠点である洞窟の中に運ぶことにした。数時間が経過すると気絶していたリヘンが目を覚ます。
「……僕は一体……」
「あら起きた?」
「なにが起きたんですか……」
「よく私も分からないがルクスが言うには……『パって行ってドカン!』て言っていたわよ」
「いや分からん……」
「それは同感ね」
そんな反省会をある程度終わらせて寝ることになり、三人は寝たが一人リヘンだけ外に出ていた。
「僕って、二人みたいに強くなれないのかな? はぁ……」
リヘンはいつもの訓練と共に心への負担が度重なっていた。今それを話せるものはいない、なぜならそれを聞いてくれていたのは妹のシエラだったから。
それを思い出すリヘンはなぜか自分も気が付かない間に目から涙がポツポツとこぼれていた。
「僕は……なんで……クスン」
「僕はなんでどうしたの?」
リヘンは気が付かなかった。後ろにはもうルクスがいた。リヘンはもちろんの事驚いたがリヘンには分かった。
「ルクスさん僕……なんで……強くならないのですか?」
その質問にルクスはいつもの感じを捨てて真剣な声に変わった。
「リヘン……きみは俺達みたいにはなるな」
「なぜですか?」
リヘンはルクス達を目標にして今まで頑張ってきていたのにルクスからの衝撃の一言で頭が混乱して涙をこらえていた。それに気が付いたのかルクスは勘違いをするなと声を掛ける。
「リヘンはまだ俺たちの素性を知らない。俺も記憶を無くした身であるが、あれだけは覚えている。聞く気はあるか?」
その問いにリヘンは大きくうなずく。
「俺とレイラは本当は守手だ」
「え……守手?」
リヘンは守手ぐらい知っていた。
「そして俺たちは1の大地ミルヘイムの守手だった」
「だった。ってことはもうやめたんですか?」
「違う。俺達が必要じゃなくなったんだ」
「それは……」
「そして俺は1の大地からは慕われていたが、ほかの大地からは悪魔と言われていた。理由は簡単だほかの大地を単独で破壊尽くしたからだ」
「え……」
リヘンは正直なことを言うとこんなにルクスが大物だったことはリヘンの今日一日に置いて一番の驚きだった。
「そして俺達を目指すなと言った理由だが……。今俺たちは神人に狙われている」
「神人は知っています。確か悪魔とか人類では勝てない相手をターゲットにしている聖王国の最強部隊……なぜそんな組織に……」
「さっきも言った通りに俺は悪魔と認定されている。運よくレイラは悪魔認定されていないそうだが……」
リヘンは勘がよく気が付いた、いまこの目の前にいる人物は世界にたった一人
正直リヘンは目を疑ったが今このようないい生活ができているのは神人から狙われながらも自分を助けてくれる命の恩人だということ。
「ルクスさん大丈夫です! 僕は足手まといかもしれませんが決してルクスさんの元から離れることはないです!」
「ありがとう……」
そしてルクスはその場で倒れるように寝てしまった。レイラに後に聞くとどうやら記憶を一部取り戻したらこんな風に倒れる風に寝ることがあるらしい……。
とりあえず移動しようか……この場所もそろそろ危ないルクス……
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