第28話 メティス

 「メティスだと……!」


 リッカの顔は驚きが隠せていなかった。百知と言われるこの世を支配できる能力それがメティスだ。


 「百知を扱える人物がいたとは……。まぁいいお前は殺す」

 「いいよぉ~来てよ!」

 「いつまでもなめているとお前が死ぬぞ!。《獄黒炎メガブラックフレア》」


 周囲に黒い煙と共に現れた炎の色もまた黒色を増していた。その炎は燃やしたものを腐食させる効果もついており、それは百知の英知でルクスにも分かっていた。


 「これ、触れるだけでも危ないんでしょ?」

 「なぜ知っているんだ!」

 「わからない」


 ルクスはそのまま別の技を多重で展開してきた。


 「《自動魔力障壁オートマインド》《絶望障壁ラストマインド》」

 「お前はなぜ二つ同時に結界を張れるんだ!!」

 「知らない」


 その言葉を発した時にはもうルクスはリッカの背後にいた。


 「では死んでくれ」


 ルクスの軽い斬撃をリッカは紙一重で受け止めたがその斬撃は一見軽そうに見えているがその力量はリッカを100m以上飛ばした威力だった。


 「(軽そうに放つ斬撃はとても重い斬撃か……これ、どこかで見たことが)」


 リッカは見覚えがあった、それは昔リッカの師匠から言い聞かされていた言葉。

「世界には別次元の強さをした少年がいるんだ」リッカの師匠は他の大地でも名が渡るほど強い方だったがその人でも別次元の強さと言うのはそのころは謎に思っていた。


 「もしかして……」

 「なに?」

 「ねぇ、ルクスお前本当の実力隠しているでしょ?。俺じゃあんたに勝てないから見せてくれない?」


 その言葉はルクスの頭に響いて何かを呼び起こした。


 ――今この時お前自身の剣を心から抜き出せ――


 その言葉がルクスの頭で流れたその時だった。ルクスを中心とした円形の形に魔力が固まっていった。


 「初めて見た……魔力が……浮き出て形があらわになる事……」

 「お前の願いを聞いてあげる。《武装魔王悪魔剣ブルンクルス》」


 ルクスが自身の剣を抜いたことにより周りの魔力が紫色をして浮き出てくるこれを遠目から確認したレイラとユイはすぐさまルクスの元へ向かう。


 「やっぱりだな……。お前が《神聖級レクイエム》に選ばれた者か……。そして最悪戦争で俺の師匠を一瞬にして殺した奴か……」


 リッカは昔の事を思い出し少し涙が出ている。


 「確かに戦争だ、自分が殺さなきゃ相手に殺される。これは自然の摂理だが、それを許すほど俺も甘くはねぇ。たとえ神聖でも俺は倒す」

 「へぇー。頑張って」


 その頃レイラとユイはちょうどルクスが見える塔の屋上まで来ていた。漆黒色のした剣、あれを見てレイラは確信した。


 「ユイ……心して聞いて、ルクスは暴走した」 

 「え……」

 「あの漆黒の剣ね、ルクスの複数ある伝説技レジェンドスキルの中でかなり精神力を持っていかれる技なの。昔はあの剣ごときに暴走しなかったけど今は記憶を失っている身、あの力を抑えることは不可能なの」

 「それは……」

 「だからユイこれは命令よ、今すぐ自軍を門の外へ退避させて!」

 「わ!わかりました!」


 ユイは急いで自分の軍を門の外へ逃がしに行った。そしてレイラはルクスの様子を遠目で見ていた。


 「来るんだルクス!。お前のその斬撃をこのリッカが止めてあげよう」

 「……死ぬんだ」


 ルクスの軽い一振りは完全にリッカを消滅させた。そしてその影響で、サリエス教国の半分以上も一緒に消し去ってしまった。武装魔王悪魔剣ブルンクルスを使い終わったルクスはその場で膝から倒れた。


 (あれ俺今どこにいるんだ。たしか、俺は最悪戦争で何者かに俺の力を……)


 「ルクス起きて!」

 「ッん?。なに?」


 ルクスが目を覚ましたらそこにはレイラとシュリとユイともう一人知らない姿がそこにはいた。


 「そこの人はだれ?」


 当然の反応だ、レイラはそのルクスの質問に自慢げに答えた。


 「この人は赤の塔の支配者だよ!」

 「え?。なんで殺してないの?」

 「あの……私ユイ殿の親友です」

 「え?」

 「そうです。ヒメカちゃんは私の昔からのお友達です。今回はあまりにも暴君化していたリッカにいろんな事を邪魔されてきたので今回はその仕返しに殺したのです!」


 どうやらルクスは勘違いをしていただけだった。なぜかルクスを赤の本拠地に攻め込ませなかったか、それはもし行ってしまうとヒメカを殺してしまうからだ。ルクスはため息をして今後について話し合うことにした。


 「君らどうするの?」

 「私は本当はルクス様と旅をしたいのですがこのサリエス教国の統治をしないとですし……」

 「私もここの統治とあと消滅した場所の修復をしないといけませんね」

 「では俺達も何か面白いものが起きるまでこの国に滞在しよう」

 「そうねルクス!」


 「この報告が正しければこれはこの世を変える存在となりましょうと」

 「でもこれは虚偽ではないか?」

 「確かに、最強の炎帝と言われている赤の支配者をこんなあっさりと、しかも一振りで国の大半を消滅……」

 「私は、虚偽ではないと思いましょう。神人である心力が嘘をつくとも思えん」

 「しかも今、心力は見た光景が恐ろしくて部屋から出てくる気配もありません」

 『確かに』

 「でもまぁ、死者が40万人これをたった一人で……」

 「これはいつもより念入りに作戦を建てなければね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る