第5話 四死聖典

 「ハハハ、あいつが復活だと?」


 薄暗い部屋に鳴り響く稲妻、いかにも強者が居そうな城。そうここは魔人の王が統べる魔人の国 ヴァルムスゲルンのヴァルム城の王室に響き渡る高笑いの声。


 「ヴァルム様、あいつが復活したそうですがいかがしましょうか?」

 「ハハハ、どうやらあいつは昔ほど強くわ無いらしい……だからと良いお前らを相手にさせるのは苦だ」

 「それはそれは勿体無いお言葉、我ら四死聖典ししせいてんは予想以上の働きをしましょう……。もしよければ我らが相手を致します」

 「お前も言うようになったな……。良いだろう四死聖典隊長リブルヘルン」


 そして今俺は魔王ヴァルムが俺を倒そうと計画を立てているとは1ミリも考えていなかった。そんな俺が今行っている事は……冒険者と言っては過言ではない朝から酒場で飲み!。


 そんな俺に一つの稲妻が落ちる。


 「馬鹿か!」

 「いってぇー、レイラお前も飲めよ」

 「私はいらないわよったく……」


 俺の横に座っているこの青色の髪を腰辺りまで伸ばし、耳元の髪を一つ結びにしておろしているこのつれない美人。これが俺の仲間のレイラだ。


 このレイナってやつは俺の注いだ酒を飲んでくれない。俺はちょっぴり悲しい……がその奥に居るピンク髪の美貌のエルフこれが酒好きのシュリこいつは俺よりか酒が好きだ。


 「ルクス……私はあなたが注いだ酒が嫌いなのではなくただ私は飲めないだけです!」

 「そりゃ、うれしいぜ」

 「まったく……」


 こんな風に俺たちは日々の生活を送っている。そして最近だが俺も仕事というものをやっている。どうやらこの世の中では仕事をしないとこんなうまい酒も飲めないらしい。


 そうして俺は仕事を毎日こなしているのだが……雑魚ばっかりだ。以前理事長の元へ行った際に、冒険者協会と言うものに冒険者登録をして仕事をし、資金をためるように俺達は言われた。


 理事長の教え通りに俺たちは冒険者協会に行き、登録を行ったのだがやけに話が早かった。冒険者にはいくつか階級がある。最下級から……。


 ・カッパー

 ・ブロンズ

 ・シルバー

 ・ゴールド

 ・プラチナム

 ・コバルト

 ・スティリティアム


 この7階級に分かれているらしい。割合で言うと、カッパーからゴールドが冒険者の大半でプラチナムは全体の2%で、コバルトは全体の1%、そして最上位のランクスティリティアムは全体の0.001%らしい。限りなく低いな……。


 そしてこの俺たちはなんかシルバーからのスタートらしい、正直この俺ならもっと上のランク帯かと思ったが、なんかそこの冒険者協会の会長が、本当はスティリティアムにしたいとか言っていたけど……。


 向こうも俺たちに最高ランクになると何かと都合が悪くなるし、俺達にも迷惑をかけてしまうとのことでランク隠しでシルバーとのことだ。俺はそういう事にはあまり詳しくないので良いのだが……。


 「ルクス君!。くれぐれも暴れないようにね!」

 「そうです!そうです!。楽しみながら行きましょう!」


 「ククッ。こいつが例の奴か……」


 薄暗くて赤いカーペットが引かれている大廊下、私は今歩いている……。そしてこの私は四死聖典の隊長リブルヘルン、親しいものはリブルと言う。私は今我主で最高のお方ヴァルム魔王様に頼まれ、ある者の調査に行っていた所だ。そして今は中間報告をするために主の魔王城に来ている。


 あの方は至高のお方、たとえヴァルム様が手強いと言われているあいつでもヴァルム様には勝てまい。私は大廊下を歩き二人の幽騎兵タイナイトが立っている大扉の前に来た。


 私が到着してきた瞬間、幽騎兵タイナイトが武器の端を地面にたたき、「四死聖典隊長様のおなりです」と大声で言い、それと同時に大扉はガガガと動き始める。


 私が歩き始めると左右の赤色の炎はだんだんと光を灯していき、その炎は玉座の前で止まる。私は片膝を床につき顔を下げる。


 「四死聖典隊長リブルヘルン御身の前に馳せ参じました……」

 「リブルよ……調べた情報を教えてくれ」

 「っは!。まず今、例の者は酒場で酒を大量に飲み、毎日クエストをこなしている模様です」

 「ったく、あいつらしいな……」

 「それで、四死聖典配下の者に尾行をさせている最中です」

 「よかろう、引き続き監視するように」


 魔王ヴァルムはその場で配下であるリブルを奴の監視を引き続きさせるように指示をした。


 「ルクス君はいますか?」

 「ルクスねちょっと待ってて」


 トコトコと足音を立ててルクスを呼びに行くレイラ。シュリの顔には少し冷や汗をかいていた。


 「シュリ。どうした?」

 「大変です! このライトギニア王国の近郊に高位の魔族が出現したとの連絡が来ました。そしてその高位の魔族はルクス君を狙っているらしいです」


 シュリは焦ったようにレイラとルクスに報告をする。レイラもその瞬間冷や汗をかいたがルクスは「そんな事か……」と他人事のように振舞った。


 「そんな事……ですか」

 「あぁ、だってもう知ってるもん」

 『え……』


 俺は少し前の事を思い出した。だがそれはほんの一部にしか過ぎない。この世界の情報が全てなぜか俺の頭に流れ込んでくる……。どうやらこいつらは……。


 「魔王ヴァルムだな……」

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