第43話 昔話
暗黒の闇の中に無数に光る星々、これが異空間だ。極例はあきらめかけていた次元の違さに呆然としていた。もう目の前にエリアルの攻撃が見える。
「こんなところに異空間やはり君は俺の師匠にはふさわしくないな……」
その声はまるで窮地を救った勇者そのものだった。いや窮地を救ったのは事実だが。暗闇の中に光る一本の線が見えたその次の瞬間、無数の光の線がうつった。
「ほらもう大丈夫ここで休んで」
「え……」
男が出現させた青白い光の中に入るとそこは暗闇の中ではなくルクスを寝かせていた地下室だった。極例は思考停止した。だがそこにヒメカとユイが居て事の事情を説明した。
「そうか……英雄が覚醒したのか……よかった」
その一方ルクスはエリアルの前に現れていた。自身の黒翼を羽ばたかせて浮遊している。
「あらルクスちゃん。どうしたの?」
「あ? どうしたのじゃねぇよ」
ルクスは明らかに怒っていた。それは地上にいる者達もやばいと言う雰囲気を感じるほどに怒っていた。
「ルクスちゃんが私に勝てるの?」
「それはどうかな」
ルクスは自身の黒翼を羽ばたかせて黒い鱗粉をまき散らす。その鱗粉は連鎖大爆発を起こす。目に見えないほどの塵が突如大爆発したら流石にエリアルでも読めなかった。
「あたったか……」
「え? どうしたの?」
エリアルは煙の中で身軽に動きいつの間にかルクスの背後にいてそのまま武器をルクスの首に斬りかかるがその刃は決してルクスの首に届くことはなかった。
「え?」
エリアルが戸惑うのも分かる、ルクスの首にふるった刃はルクスの剣がフリールックで受け止められていた。その剣と剣が交わる音と共に周りに被害が出始める。ただの衝撃だけで建物が一刀両断され、山も抉れてその戦いは伝説そのものだった。
「ルクスちゃん早くなったのね」
「だまれ」
その斬り合いは速度を増していく。もうその速度は常人の目では追いつけないほど、その中でエリアルは交互に
「《
ルクスの周りに無数の触手が現れる。それはルクスを無限に追ってくるがそれを全て斬り捨てる。
「鬱陶しいな」
「ルクスちゃん早く死になさい」
「くそ女が俺は死なねえよ《
ルクスの頭上に褐色色の球体が出てくる。その中からは光の刃がエリアルを襲う。
「ルクスちゃんまさか覚醒したのか?」
「なにを今更……」
エリアルの顔に冷や汗が浮かぶ……。
「やはり私の読み通りだな……少し違いはあるけどね。ルクスちゃん少し話をしよう」
「なんだ……」
エリアルは自身の武器をしまった。そして地上に降りる、ルクスも続けて武器をしまい地上に降りる。
「話ってなんだ」
「ルクスちゃん単刀直入に言うね。君はこの世界に居たらいけないの」
「なぜだ」
「あなたは力が強大すぎるんだ。私は師匠として記憶の書庫にあなたの戦力を封印したが君たちはおそらく解除しただろう。まぁそれも予想がついていた。ルクスちゃんは昔の自分の事を覚えている?」
ルクスは自分の昔を考えた。そこで思い浮かべるのはかつての大戦争である最悪戦争の事しか頭に出ない。ぎゃくにそれしか思い出はない。だがそれはエリアルの口によって告げられた。
「ルクスちゃんの本当の記憶はもうないが最悪戦争の前の記憶があるんだよ」
「……」
「世界が誕生して数年がたったころ、そこは神の世界としてこの世ができた。そして神の国【オリンポス】ここの第一王子が今のあなたルクスなの」
「え……」
ルクスは混乱した。神の国?王子?全て意味が分からない。ルクスはエリアルに攻撃した。
「リミットオフ……」
エリアルは何かをつぶやきそのままルクスの攻撃をもろに食らった。だがエリアルには何もきいていない。そしてエリアルはルクスの目の前で指を左右に振った。
「うぅぅ。グハッ」
指を振った場所中心に前方に今まで感じたことのない波動を感じる。体が崩壊していく感覚にルクスは初めて恐怖を覚えた。それを確認したエリアルは話を続ける。
「この力強すぎるよね……」
「あぁ」
「だがこれはあなたの力なの」
「え?」
「そうあなたがオリンポスの王子としてオリンポスの秘術を受けた時に授かった力あなたは王子と言うがそれは表向きなだけで本当は戦闘員を作るために育てられた子がルクスなの」
ルクスはなぜかその時の記憶を思い出している。もうなくなっているはずの記憶が魂の刻みによって少し思い出す。どうやらエリアルは嘘をついていなかった。
「そして神々の世界を襲いに来たのが異界から来た異邦人たち。その者はこの世界の神よりも格段に強く圧倒的な魔力も持ちすべてにおいて神の上位の存在となった」
「その異邦人とは?」
「今の言葉で言うと悪魔が近いね」
ルクスの記憶がまた戻る。なにが起きているか分からないが今はエリアルを敵とは思っていない。
「私は天廊の女王としてこの世界を見てきたが懐かしの雰囲気を感じたの……。それは要するに悪魔の存在ね」
ルクスはもう戦意はなく人の話を聞くかのように立っていた……。
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