第36話 絶対なる死

 大剣を扱う黒髪ロングの少女これは神人の中で一番強いとされている。強すぎて表に出れないぐらいだ。今ルクスはそのような相手と矛を交えている。


 「私はあなたと戦えることを誇らしいと思っているは、あと私の目的は子だわ」

 「子?」

 「そうね。強い者同士で生まれる子はさぞ強いでしょうね」

 「そうか……俺は早くお前を倒して記憶の書庫に行きたいのでね」

 「へぇ~じゃあ戦おうか」


 そして始まったルクス対極例完全なる死との戦いは想像を絶するものだった。


 「最初はこの手だね《死の手トゥルーデス》」


 極例はルクスに手を差し出した。一般人なら自分から手を差し出したら切り落とすものだが、これが死の手の発動条件だからだ。それを斬ってしまったら最後自身の魂が食われると言ったトラップスキルだ。


 「へぇ~斬らないとはね。まるでこの子の効果を分かっているみたい」

 「俺をなめないでもらいたい。《冷酷斬りサラスティック》」


 ルクスの斬撃は極例の顔ギリギリまで当たったがその刃は顔に触れることはなかった。それにカウンターで極例が攻撃してきたがそれも全てルクスがかわした。


 「なかなか強いね。私こんな相手初めてだよ」

 「そうか。お前が弱いだけじゃ?」

 (これは挑発だね。これに乗ったら負け)

 「そうかもしれないね。《死之宴会デスマーチ》」


 極例が放ったスキルは、一瞬で周囲の雰囲気が変わった。今までにはないような別の恐怖だ、近いものなら昔のあいつに近いだろう。そして少女の纏っている魔素の色が変わっている。


 「私が死之宴会デスマーチを使わせるってなかなかよ?」

 「もっと奥の手出したらどうだ? じゃないと俺には届かないね」


 死之宴会デスマーチこれは昔、風帝フェンリルから貸してもらった本で見たことがある。最悪戦争のもっと前の時代で世界を混沌の渦に巻き込んだ最悪のスキル世界一面に恐怖を与え続けた悪魔のスキル


 「やっと見えたね……。まさか聖王国が悪魔の子に手を出すとはね」

 「悪魔? 何を言っているの? 私は人間よ」

 「そうだね。君人間と悪魔の交配実験の産物でしょ? 聖王国はそんな国だからね」

 「……」


 極例は図星をつかれたのだろう無言になっている。そして次の瞬間ルクスの背後に立ちルクスの首に刃を振るう。


 「危ないね……」


 極例は驚いている。圧倒的に有利な状況で一撃入れたがそれが無に変わった事を……。


 極例はルクスを見た、そして異変に気が付いた。先ほどルクスの目が赤色だったはずなのに。その赤目が赤く綺麗に光っていることに……。


 「あぶない……。俺が裏を取られるとはね」

 「お前は……」

 「敬意を示してお前に教えてあげる。これは【最神之王オリンボス】 まだあまり見せてこなかった伝説技レジェンドスキルだよ」

 「最神之王……。いにしえ原初の技げんしょのスキル……」


 原初の技げんしょのスキルとはかつて太古に存在した6個のスキルの一つである。そのスキルは膨大な力を持っている。それは一般人には扱えない代物だ。6個のうち一つが最神之王オリンボスだが、残り5個は伝説上たった一人の人物が保有していると聞く。


 「あなたとんでもないスキルを使うのね」

 「《次元死熱砲タイムズデスブレス》」


 ルクスは砲撃系のスキルを撃ち見事に極例に攻撃を当てた。もちろんのこと遠くに吹き飛ばされる。それはレイラ達の所でもはっきりと見えるぐらいに。


 「ルクスはどんだけの強さを秘めているのか……。私も初めて見ましたよ完全なる死が追い詰められているのを。ここから見てもはっきりわかります。あの子は自身が出せる最大の力を出している。そしてルクスの方はまだ3割しか力を出していない」

 「よくわかったわね」

 「神人じゃルクスさんには勝てないです!」


 煉獄の創造主は笑う。


 「それと私たちは聖王国の命でこちらに来ているものでね。私たちの意志ではない。あわよくば殺そうと思ったけど気が変わりました。三人失ったのは痛いですが決して戦力が落ちたわけではなく我ら二人で十分なだけです」

 「そしてどうするの?」

 「私は神殿に戻ります。記憶の書庫にも行ってもらって構いません」


 神人隊長煉獄の創造主はその場で極例完全なる死を呼んで退散した。レイラ達は腰を落とした。強者の風格に驚いていたのだ。


 「あれが神人……」

 「やばいですね」


 そうしている二人にルクスが向かってきた。そして極例と戦っていたことを話した。どうやら退散するときにしれっと耳打ちで記憶の書庫の道を教えてくれていた。そのおかげで今からでも迎える。


 「今日は色々あったしねようか!」

 「そうですね! もう神人は戦いを仕掛けてきませんし」

 「そうだね。寝る。明日の朝出発だ」

 『了解』


 ルクス達は夜の星空の下で優雅に寝ていた。世界を一度崩壊させた幻の人物が三人を狙っていることを知らずに……。


 「あの子あれだけ制限を掛けてもあの力か……」

 「でもなんであのような事を?」

 「いい質問だね。私はねあの子に経験を積んでもらいたいだけだったんだ」

 「ほう……」

 「でも気が変わった。私が消滅させてあげる……」


 薄暗い部屋の中で女性の二人の声がしたと思ったらその場から消えていた。

  

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