訳あり冒険者が世界を歩む

あげもち

プロローグ

 そよ風が立ち込める静かな草原にポツンと一人で立っている男……。男の周りには魔物がたくさんいる、男は魔物に何一つ同様する気配を見せずに男が静かな声で一言を発した。


 「俺は誰だ……。確か……俺の名前は……」


 その男はどうやら自分の名前を忘れているらしい。男は少し困った顔を作り近寄ってきたオークを手刀しゅとうで一刀両断にした。


 「なんだ……オーク? なのか?」


 オークを斬った感じがしなかったのであろう男はまだ困った顔を作り立ち止まる。10分ぐらいたった今、男の周りにはオークの死体がたくさんできていた。


 男の頭の中で急に誰かが話してきた……。


 「(ルクス……ルクス……。 貴方の名前はルクス……。 この世界の手助けになりなさい)」


 そう男の頭の中で語ってきた超生命体の言葉を信じその男は自分の事を「ルクス」と言いながらその場から歩き始めた。


 「俺は……ルクス……自分なりにこの世界を助ける者」

 「そうです。ルクス……。 そして私はあなたの脳内で手助けをする者。私は妖精の《レイラ》と申します」


 ルクスの脳内で語っていた者は妖精族のレイラと名乗った。ルクスはこの世界の絶対的なルールや常識を全て忘れている……。そしてこの妖精はそんなルクスの記憶を取り戻し世界の混沌を沈ませに行く旅が今始まる。


 「ねぇーレイラ」

 「何でしょうか?」

 「君は僕の体からは出てこないの?」


 ルクスの素朴な疑問に妖精のレイラは少し寂しそうな声で答えた。


 「ルクスの自動魔力障壁オートマインドが強過ぎで出てこれないのです……これを直すためにはまず魔力制御を覚えないとですね!」


 ルクスにそう答えるとルクスは「へぇ~」と言いながら歩みを続ける歩き続けて3日たったのであろうルクスの前には中世とも言える巨大な門が現れた。巨大な門の前には四人の騎士であろう人物が仁王立ちをしている。


 「ルクス、少しお待ちください」

 「あぁ」


 レイラは何かをするために一時的に脳内念話を中断させて騎士たちの元へ向かった。ルクスは騎士の前に行き「入りたいんですけど」と言葉を掛けると騎士たちは、『どうぞ!』と息を揃えて門を開けた。


 門の中をくぐるとそこには綺麗な赤レンガで作られた屋根を中心に隙間なく建物がびっしりと立ち並んでいる。それと相応に人々もかなりの数だった。


 「わぁ~きれいだな」

 「そうですねルクス」

 「そういえばさっきなんで騎士は通してくれたんだろ……」

 「それは内緒です!」


 そんなルクスとレイラは何気ない会話をしながら街を見学していた。少しお腹が空いたのであろうルクスは近くにあった《酒場 銀狼》という酒場に足を出向いた。


 「あらいらっしゃい!」


 親しみやすい声と共にお出迎えしてくれたこの酒場のローレイと言う者。ローレイはルクスにとても親切にしてくれた。一応脳内念話でルクスはこの世界の常識が分からない者とレイラは説明はしてくれているので、ルクスは気軽に話せるようになった人の一人だ。


 「それにしても、ルクスくんはかなり可愛いね……」

 「俺が?」

 「そーよ、顔も小柄で目が綺麗な赤色の瞳それに少し子供っぽさがある」

 「それって、可愛いの?」

 「ルクス!君は可愛いよ私が保証する」

 「そりゃありがと」


 《酒場 銀狼》の主はやはりすごく親切で、この世界の常識を知らないルクスに対して衣食住を与えてくれた、ルクスはかなり銀狼が気に入ったらしくて、レイラに毎日のように話してくれる。


 「それで……ルクス。あなたにはこのライトギニア王国の王立学校に入学してもらう事にするね」

 「なんで?」 

 「いまルクスに必要なのは友達、勉学だと思うの……大丈夫私も脳内に居るから!」

 「なら……良いけど……」


 そして……ルクスはライトギニア王立学校に入学する決意をした。


 「ふむふむ、記憶を全て失った人間……ルクス……。もしこれがあいつならかなり面白いな……」




 

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