夢夜の国編

第16話 夢夜の国

 早朝のやわらかなそよ風が吹く草原の道を馬車でガタゴトと砂利を踏む音を立てながら進む馬車。その馬車の中には黒いロングコートに身を包む黒色の目をした少年ルクスと、ピンク色のショートスカートと白い半袖を来た美人妖精のレイラと。ピンクの髪が特徴のエルフのシュリがそこにはいた。


 「へぇーシュリちゃんってあの国の出身なんだ!」


 そんな驚いた声で反応するレイラの姿をみて、ルクスは何の話をしてるの?て言わんばかりに近寄って聞いてきた。


 「ルクスはサリエス教国って知っているの?」

 「俺は聞いたことない」


 レイラが言っているサリエス教国とは通称【夢夜ゆめよの国】と言われているらしくて、あの教国には夜にしか出入りができないらしい。そんなレイラがルクスを連れて行くのを懸念していた理由は簡単だった。


 あの国は売春をすることで教国を作っている。そう言わば夜の街だ……。どうやらシュリは父がエルフ族で母が夢魔サキュバス族なんだとか……。


 「へぇー。どおりでシュリは角を隠していたんだー」


 ルクスのそんな発言で頭を恥ずかしそうに隠したシュリはルクスになんで気づいたのかという顔をしながらルクスを見つめている。


 「なんで知っているのですか。私隠していたのですけど!」

 「なんか僕には薄く見えるんだよ……なんかごめん……」


 ルクスは少ししょんぼりした顔でシュリに謝ったがルクスのそんな顔を見たらつい罪悪感に見舞われてしまってついついルクスに謝った。


 「でも、私的にはお二人が守手なのもかなり驚きましよ!」

 「あ……それはごめんなさい!。隠してて……」

 「全くですよ。守手があんな学校に通っているのだからだれでも驚きますよ!」


 そんな会話をしていたルクスとレイラとシュリだがもちろんの事ルクスは何の話をしているか全くわかっていなかった。いやそれでよかったのだ。


 レイラの最終的な目標は昔の実力に戻ってほしいのだがもう一つは今度こそルクスには楽しく暮らしてほしいというのが目標だ。そうしているうちに濃い霧の奥からうっすらと巨大な門が見えた。


 城壁の奥からはデカい塔が三本見える。


 『着いたわよ』


 二人の声が重なる。ルクスは寝ていたらしくて少し寝ぼけていた。ちょうど時間は夕暮れに近い夜だ。これなら入れることを確信したレイラとシュリはルクスをおんぶして門の前まで行く。


 門には兵が居なくて入り放題だった。どうやら夢夜の国は周りの周辺国家からは凄く需要があるらしくて絶対に進軍してこないらしい。


 「ねぇ、おろして」

 「ダメです」

 「シュリ助けて」

 「……あー。頑張ってください!」


 ルクスのヘルプコールは軽くかわされた。


 「レイラさんはルクス君の事を思っているのです」

 「俺、そんなに心配?」

 「心配だよ!!」


 レイラが言うのも分かるレイラにおんぶされているルクスは道を通っているだけでいろんな店の夢魔サキュバス族の人たちや狐人キュウビ族の人たちいろんな種族の人たちが皆一斉にルクスに目をやっている。


 これは女の感と言うものだろうレイラとシュリはシュリの実家である店に住まわせてもらう事にした。


 「お母さん帰ったよ!」

 「え!」

 「私この方たちと冒険者やっているんだ!」

 「あらぁー。そうなの……いつもお世話になってます!」

 「いえいえ私らこそ……」

 「あら。後ろに背負っている子は誰なの?めっちゃ可愛い!」

 「おかあさんやめてね!これは私たちの冒険者のリーダーなの!」


 シュリと会話する女性、見た目はかなり若いレイラと同じぐらいだが実年齢はかなり上だろう。


 「あら自己紹介まだだったね!。私はシュリの母のミシェリーと言います!」

 「私はレイラと言いますそしてこの寝ている子がルクスと言います。すみませんルクスは長旅の末寝てしまっているようです……」

 「あらあら気にしないでもらっていいよ!。ここの宿は実家と思って暮らしていいからね!」

 「ありがとうございます!」


 ルクス、レイラ、シュリの三人はミシェリーさんの案内で部屋に案内された。


 「若い者同士、夜を一緒に過ごすといいわね!バイバイ!!」


 シュタタタタと言う擬音が正しいような小走りでその場から出て行ったミシェリーレイラとシュリは一旦ルクスをベットに寝かせ。レイラとシュリは顔を見つめ合った。


 「ルクス君と寝るの?」

 「なんだかそうみたいね……」

 「でも……ルクス君なら良いかな?」

 「私もルクスは変なことしないと思う……」

 『寝るか!』


 翌日、ルクスの大声が宿中に広がった。ミシェリーさんはタタタと階段を駆け上がりルクスたちの止まっている部屋の前まで来た。


 「何かあったの?!?!」 

 「なんか二人がこんなとこで寝ている……」

 

 ミシェリーはルクスの耳元で昨晩は楽しめましたかいな?とルクスの耳にささやいたら。さらに大声でレイラを揺さぶり起こした。


 「んぁーなにルクス……」

 「何か知らない人いる……」

 「んぁーあぁ。シュリちゃんのお母さまだよ」

 「シュリのお母さま?。ぁあよろしくお願いします……」

 「あら可愛いねルクス君は……」




 

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