第22話 おっぱい談義
ちなみに南条家の母なずなと南条家の良心眞由美はキッチンに味噌汁を取りに行っている。
その間も蓮華はまだ麻香麻と言い争いをしており、歩人はそちらの収集に向かう。
「そもそも蓮華姉さんのが大きすぎるだけです! なんですかHカップって! ウシですか!? ホルスタインですか!? そんな無駄に成長させて脂肪細胞に申し訳ないと思わないんですか!? 悔しかったらミルク出してください!」
「誰も小さいなんて言ってないだろが、あたしは中途半端って言ってんだよこの半端乳娘(はんぱぢちむすめ)が!!」
「なんですかその半端って、変な呼び方しないでください! わたしの胸は半端なんかじゃないです! 自分の胸がハンパ無いからって~~」
柳眉(りゅうび)を逆立てる麻香麻(あさがお)の反論を聞くと蓮華は背筋を伸ばし、ありもしないのにメガネをくいっと上げる仕草をして右の人差指を立てる。
「つまりだな、AAカップとAカップは誰が見ても貧乳だ、BとCは平均だ、そしてE以上は誰が見ても巨乳だ……しかし! お前のDカップというサイズは昔は巨乳と言われていたが日本人女性のバスト平均のアップに伴い、人によって巨乳半球と巨乳じゃない半球に意見が分かれるようになったんだよ!」
「なぐッ!!」
一歩さがり、言葉を失う麻香麻に蓮華が畳み掛ける。
「あたしの乳が無駄? バカ言うんじゃないよ、あんたのその巨乳好きにも中乳好きにも需要が無ければ貧乳好きからも需要の無い胸が一番無駄なんだよ!!」
「ひえええええッ!!」
ピシャーン と雷が落ちて麻香麻のライフはゼロになり、その場に腰を落とした。
フェニックスの尾が無ければ立ち上がれないだろう。
「蓮姉のザラキ半端ねえな、待ってろ麻姉、今すぐ俺が慰めの言葉(ザオリク)を」
「ごめんなさいあゆ君、わたしは死んでもFF派ですから……」
その様子を笑って眺めるワイルドア○ムズ派のあずきとテイルズ・オ○派の蓮華。
そしてゲームをやらない桜が顔を引きつらせながらその寸劇を眺めていた。
「まったく、大学生にもなって朝から妹いじめるなよ、それと蓮姉、胸が邪魔ならあっちのナイチチニャンコ抱いて寝ろ」
「にゃにおー!」
「いや、あずきは体全体が小さすぎて抱きにくいから駄目だ」
「あーちゃんのバカー!」
蓮華が言い終えるのと同時にあずきが跳躍、歩人に噛みかかる。
「あずきちゃん」
歩人とあずきの間に割って入ったのは眞由美。
その眞由美があずきの襟首を空中でキャッチしたのだ。
「はいはい、いつまでも騒いでないで早くご飯食べないとみんな遅刻しちゃうよ」
そのまま子猫を運ぶようにして食卓テーブルのイスに座らせると一言。
「こら、桜ちゃんも早く食べる」
自分とあずきの胸を見比べてから自分にガッツポーズを取る桜の頭をこづいて他の姉妹達と歩人を食卓テーブルに着かせる。
しかし、眞由美のお母さんぶりは止まらない。
全ての準備を整えて制服を着た歩人達が玄関へ向かうと、眞由美は歩人を呼び止める。
「ちょっとあー君、お弁当忘れているよ、それから今日は降水確率高いから折畳み傘もちゃんと持たなきゃ駄目でしょ」
「あの、眞由姉……」
「ああもう襟よれてるよ、後ろの髪跳ねてるし、ハンカチティッシュ持った? あー君すぐ忘れるんだから」
「…………」
あれこれと口やかましく言いながら自分の支度をしてくれる眞由美に辟易した事が無いと言えばウソになる。
ただ…………
「はい、服も髪も全部直したし忘れ物も無いね、学校についてから何か足りなくなったら携帯で電話して、今日はお姉ちゃん講義少ないから届けられると思うよ」
「お、おう、ありがと……」
蓮華(れんげ)、眞由美(まゆみ)、麻香麻(あさがお)、あずき、桜(さくら)、歩人(あゆと)の六人は途中までは通学路が同じである。
そのため、途中までは姉弟六人で仲良く連れ立って歩いた。
そして大学と高校への分かれ道へ着くまでの間、眞由美は無理矢理車道側を歩き、あずきや蓮華が歩人に抱きつこうとする度に「エッチなのは駄目」と言ってそれを阻止してくれた。
眞由美の世話焼きに辟易(へきえき)した事が無いと言えばウソになる。
ただ…………歩人は自分自身の事をそっちのけで世話を焼いてくれる時の眞由美が一番好きだったりする。
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