第48話 蓮華姉さんSUGEEE
(だから蓮姉学生時代何してたんだ!?)
男達は全員揃って土下座すると床に額をこすりつけた。
「そうとは知らず挨拶もせずに申し訳ありませんでしたー!」
「先ほどはとんだご無礼を!」
「どうか命ばかりは助けてくださいぃ!」
「殺してペットの虎の餌にするのだけはどうか!」
「いいいいい今はこれしか持っていませんが、なにとぞこれで穏便(おんびん)に!」
悲鳴と涙を垂れ流しながら男達は自分達の財布を蓮華に差し出した。
「おいおい、こりゃなんのつもりだい? あたしゃ金よこせなんて言ってないし、一部のヤクザとか腐った金持ちとか、悪党以外を相手に喝上げした事なんか一度も無いんだからな」
(蓮ねえぇええええ!!)
「そ、そうなんですか? でも南城蓮華は喝上げで生活していて政治家からも金を巻き上げ金を渡さない者は一人の例外も無く血祭りに上げるって……」
「うちの姉さんがそんな事するわけねえだろ」
「そうだ、政治家だって法の手が及ばない悪徳政治家の力を削ぐためにやっただけなんだからな!」
(蓮ねぇえええええええ!!!)
「とにかく、そういうことだから、あたしはあんたらが馬鹿やらないうちは何もしないから安心しなって、でもそんな噂初めてだな、一体誰から聞いたんだ?」
「ドクダミ高校の楢塚(ならづか)っていう坊主頭の……知ってます?」
男達からの情報に、蓮華の眉間には深いシワが刻まれ、背後に鬼の影がチラつく。
「楢塚ぁあ? あいつかぁ、あんの野郎! 全裸の精力剤漬けにしてから花咲(はなさき)女学院(じょがくいん)の更衣室に閉じ込めてやるから覚悟しろよぉ!」
あまりの迫力と復讐内容の残酷さに店長と歩人を含めた全員が震え上がる。
「ままま、蓮姉さ、今日は遊びにきたんだからそう怒らないで」
歩人にそう言われて殺気を抑えると、蓮華は嬉しそうに歩人の手を引いて次々に他のゲームを回った。
レースゲーム、シューティングゲーム、ダンスゲーム、音楽ゲーム、その全てで自分のベストスコアを更新、最後に格闘ゲームで対戦して歩人にボロ勝ちして、カラオケで二時間歌ってからやっとゲームセンターを出た。
「いやー、それなりにいい汗かいたな」
「蓮姉がダンレボとドラマニの最高難易度最高速度でやるからだろ?」
それに付き合わされた後で無理矢理熱唱させられた歩人も結構な汗をかいており、ハンカチで汗を拭った。
「よし、じゃあ家帰って一緒にシャワー入るか!」
「はあッ!!?」
驚きの声を上げて蓮華から一歩離れるがすぐに長い腕が伸びてきた。
「今はあたしの時間なんだから逆らうの禁止だぞ」
言いながら蓮華が懐から取り出し見せた紙には一日の予定と一緒に《歩人占有時間割り》のタイトルが書き込まれており、今の時間帯は蓮華の名が入っている。
「みんなで話し合いとジャンケンを駆使して決めた公平な物なんだから、文句無いだろ?」
「俺の人権が無視されている文句は駄目なのかよ?」
歩人の正論に対して蓮華はどこかの井戸から出てきた女のように眼を見開き、
「否! 弟とは姉の所有物であり姉が望むのならばその操(みさお)すら差し出さなくてはならない! かっこ姉さんルール第一二条より抜粋かっこ閉じ!」
「どんだけぇえええ!」
「うるさい! とにかくあと一時間であたしの占有時間終わっちまうんだからさっさと帰るぞ!」
抵抗する歩人を小脇に抱えて蓮華は自宅へと全力ダッシュでアスファルトを駆け抜けた。
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