第2話 姉まみれの朝 エロい
春の暖かな陽光をカーテン越しに受けながら、南城歩人の意識は徐々に覚醒していく。
徐々に体の感覚もハッキリしてきて、布団の温かさがより強く感じられる。
「…………」
本当に、温かくて、気持ち良くて、すべすべしていて、底無しに柔らかいのに確かな弾力で返してきて……全身に絡み付いてきて……?
「んっ?」
と、歩人が目を開けて布団(?)から顔を離した。
ややぼやける視界に、なにやらやたらと重量感のあるモノが映る。
中央に谷間を刻んでなだらかな稜線をひいているソレは先端だけ色が違くて……
「っッ~~~~ッッ!!?」
歩人の両目と瞳孔が限界まで見開かれ上半身を勢いよく起こした。
距離を取って全体を視界に入れると歩人の脳内でニトロタンクが爆発した。
「おっ、やっと起きたか」
先ほどまで顔をうずめていた場所から視線を上げるとニヤけた顔でこちらに熱い視線を送る赤毛の女性と目が合った。
一番の問題は、彼女が黒い下着一枚しか身につけていない事である。
そして、当然のようにその下着のデザインは素人が想像できるような生ぬるいものではなかった。
「って、何やってんだよ蓮姉(れんねえ)!!?」
声を張り上げる弟に蓮華は悪びれる様子も無く
「ああ、昨日遅くまで飲んでたら歩人もう寝ちゃってたからさ、勝手に入らせてもらったよ」
と言った。
「だから何でいつもいつも俺のベッドに入ってくるんだよ!」
「あたしは何か抱いてないと寝れないタイプなんだよ、家族に手ごろなサイズの奴がいりゃあ抱くに決まってんだろ?」
「決まってねえよ! 自分のベッドで寝ろ! 人の部屋に入ってくんな!」
すると蓮華はポンと手を叩く。
「そっか、歩人をあたしの部屋に連れてけばいいのか」
「ちっがぁーう!!」
しかし蓮華は歩人の叫びなどどこ吹く風で一人でブツブツと「そのほうが楽しめる」とか「みんなにバレずに……」とか言っている。
歩人は家族にバレずに自分をどうする気だと硬い拳を震わせた。
「つうか、一緒に寝るならせめて服を着ろ! 蓮姉は文明人としての自覚が足りなさすぎるんだよ!」
「酒飲んだら暑くなるんだから仕方ないだろ、それにパンツ履いてんだからオーケーだって」
「蓮姉のどこにオーケーポイントがあるんだよ!? まるまんまバッドポイントしかねえだろ! 今の俺は姉から性的虐待を受けるかわいそうな少年Aだよ! そして酒飲むのもやめろ!」
「なーに言ってんの、二十歳(はたち)になったらお酒が心の友なんだぞ、歩人も後五年したらあたしの酌の相手するんだぞ」
と言って能天気に笑う南条家長女の存在に歩人は頭を抱える。
が、そうなると自然と視線がやや落ちて、視界を重量感たっぷりのアレが埋め尽くす。
「って、早くブラ着けろ!」
顔を耳まで赤く染め上げて歩人が言うと蓮華は「ほい」と言って両の手の平で胸を覆う、とはいっても大きさが大きさだけにさほど隠せていない。
「……なんのつもりだそれは?」
ピクピクと右の口角を痙攣させる歩人に蓮華はあっけらかんと、
「だから手ブラ」
と答えた。
「やめろ!」
「ほいやめた」
再び蓮華の胸部が開放、それに合わせて変化する状態に歩人がまた声を張り上げる。
「ああもう揺らすな揺らすな」
すると蓮華は両腕を急に胸の下にまわしてキュッと持ち上げ、ソレを絶妙な形に仕上げる。
「~~~~~~ッッ!!?」
歩人の脳内に滞空ミサイルがばら撒かれる。
本能軍の怒涛の破壊劇に理性軍はもはや風前の灯、歩人の強靭な精神力でもさすがに寝起きに今の状況は耐えられなかった。
歩人は改めて思う、いかに鋼の理性を持っていようと耐えられない境地がこの世にはあるのだと。
そして歩人の理性軍が白旗に手をかけた時、敵を駆逐する援軍はまさに現れた。
「あの……二人とも何してるの?」
ただし、あまり来て欲しくない援軍だった。
歩人が視界を九〇度左に旋回させた先にいたのは部屋の反対側のベッドで寝ていた南条家の五女、桜であった。
泣き黒子が特徴的な愁いを含んだ桜の顔は歩人同様、赤く染まっており、モジモジと体を動かしながら、チラチラとこちらを覗ってくる。
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https://dengekionline.com/articles/127533/
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