第39話 体育祭②(全て唯音が可愛すぎるせいだねきっと)
体育祭 一人当てなく さまよって 西彦寺遥眞
思わず句を読んでしまうほど暇だ。
というのもみんないちゃついてたり世にも恐ろしい戦いが勃発してたりと俺の居場所がないからだ。
くっ、みんな青春しやがって…。
「遥眞~!探したよ!」
僻みに僻んでいたら唯音がやってきた。
「お…おう!唯音どうした?」
「一緒に体育祭見よ?」
「お…おう。」
満面の笑みで話しかけてくる唯音。
すごい可愛いのだが、なんか怖いっていうかなんて言うか…。
「あの~唯音さん?」
「ん~?」
「なんで腕に抱き着いてるんですか?」
「え~なんとなく~。」
なんか唯音が俺の腕に抱き着いてきた。
すごいいい匂いするし柔らかいしで興奮するのだが…。
これはもう唯音に好意を寄せてもらってるって言っても過言ではないと思うのだが…。
ちょっと確かめてみるか…。
「ね…ねえ唯音お前ってもしかして…」
「あ!暁人が走ってる!」
「お…おう…ほんとだ…。」
「で、何か言った?」
「な…なにも…。」
無理だった。
これで、「いや全然」とか言われたら軽く死ねる自信ある。
「ゆ…唯音。俺出番だから…行ってくる。」
「あ、そうなの~?がんばって~!」
なんだかいたたまれなくなって逃げるようにその場を後にした。
さてさてさて、障害物競走のお時間だ。
障害物は、麻袋でジャンプする奴や三輪車、跳び箱、マット、挙句はぐるぐるバットまでと、意外に鬼畜な奴となっている。
「よーい…。」
パン!!
はじまった。
運動に関しては結構自信があるのだが…障害物競走は苦手かもしれない。
現在6人中3位だ。
先頭のやつを追っかけるだけで結構精一杯た。
麻袋、三輪車、跳び箱、マットをおわらせ後はグルグルバットを残すのみ。
20回も回らないと行けないらしい。
鬼か。
なんの感覚もなくなりながら回っていたのだが…。
「遥眞〜!頑張って〜!」
唯音の声で体が覚醒した。
なんかこのまま100回ぐらい回れそうな元気が湧いてくる。
結局2位だったのだが…。
「遥眞おつかれ〜!」
「おうよ。応援ありがとうね。」
「うん!元気出た?」
「もちろん。」
この時の俺たちは周りがみんなあらあらまあまあって目で見てたことを知らない。
今度は悠真の出番だ。
あいつは借り物競走に出るらしい。
あいつの借り物は…『担任の先生』だった。
借り物やないやん。
鳥原先生はその時偶然にも近くにいたので、悠真は先生を連れてきたのだが…。
みんなからは冷やかされるし、亜美からは冷ややかな目で見られてたので少し可哀想だった。
やっぱり体育祭楽しいなぁ。
ずっと隣に唯音がいるので楽しさもマシマシだ。
「ねえねえ遥眞〜!つぎ私だから見ててね〜
!」
「おうよ!」
次は唯音のでる玉入れだ。
あの有名な『チェッコリ玉入れ』。
腰をふりふり踊ってから玉入れするやつだ。
亜美も出るらしくこの学校の男どもが鼻息荒くグラウンドを見つめている。
端的に言ってキモい。
音楽が流れる。
ごふぁっ。
ちょっと唯音が可愛すぎて肺から空気が抜けた。
お馴染みの音楽に乗せて踊る唯音はあたかも喜んで飛び回る妖精のよう。
この瞬間を写真に収めずしてどうすんだい!
30枚くらい撮ってしまった。
もう体育祭終わったかのような錯覚に陥る。
なんかすごい満足感が…。
「ねぇねぇ遥眞〜!どうだった?」
危うく昇天しかけたものの唯音の声で現実に引き戻された。
「あ、あぁ。すごい可愛かったよ。」
「かっ…可愛い?」
「うん。どうした?」
「な、な、なんでもない!」
この世に平和をもたらす可愛さだ。
かわいいな ああかわいいな かわいいな
西彦寺遥眞
また句を読んでしまった…。
だって、だって唯音が可愛いんだもん。
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