織姫様と彦星様のディスティニー~お隣さんのクラスメイトは……生活力皆無…?~〈1000pv大感謝!〉
ゆっちぃ
プロローグ
あなたは運命を信じますか?
俺は会う人全員にこう問いたい。
俺もあの時までは運命だなんて信じていなかった。
そう、あの時までは…。
チュンチュンと鳥の鳴き声が響く朝。
俺、
(今日って...あっ始業式の日だぁ。げっあいつもたしか来るって昨日SINE来てたなぁ。はぁめんどくさい)
やはり学校というものは大抵の人にとっては憂鬱なものであり俺も例に漏れず憂鬱ではあった。
しかし、俺は別に学校が楽しくないわけではない。
世間一般的に見て、いい友人にも恵まれいわゆる陽キャとまでは行かなくともそれなりに楽しい生活は送っていた。
では何が憂鬱なのか、それは今から15分後に解明する。
とりあえず昨日の夜に作ったご飯の残り物とパンをコーヒーで流し込み急いで学校へ行く準備をする。
家から学校までは電車でおよそ10分歩きで10分と結構距離は近いのだが、いかんせん俺には外を歩きたくない理由がある。
それが憂鬱の正体なのだが、当の本人は気付くこともなくルンルンと歩いているだろう。
超特急で学校の準備を終えた俺は憂鬱の正体を待つために玄関で佇んでいた。
待つこと数分ピンポーンとチャイムのなる音がして鍵をかけておいた扉がガチャガチャと音を立てる。
「はいはい、開けるから落ち着け。ご近所に迷惑だろ。」
「早く開けてよお兄ちゃん。学校始まっちゃうでしょ。ほら早く行くよ!」
たった今来襲したこの妹、
彼女を一言で表すと「超美人」である。腰までかかるくらいの絹の様な黒髪を茶色に染めていて、スタイルはもうメリハリのありすぎると言っても過言ではないほど出てるところは出ている。
それでもって成績も優秀、運動も得意と天に2物も3物も貰っている少女なのである。
では、俺は何を憂鬱に思っているのか。
それは彼女の性格に由来している。
何を隠そう彼女は、重度のブラコンなのだ。それはもう街中を一緒に歩きたくないと思ってしまうレベルで。
俺は今日から高校2年生なのだが、亜美は結構倍率の高いうちの学校の入試を難なく通り抜けて同じ学校に来てしまった。
以前、何故うちの学校を志望したのか理由を聞いてみたら単純明快、「お兄ちゃんがいるから」と言われたときの衝撃といったらもう腰が砕けそうになってしまった。
そして昨日日本人なら大抵の人が知ってるSNSの
前々からこう言われるだろうなというのは想像付いていたので、何も知らなかったフリしてしれっと1人で行こうとしたらガッチリ捕捉されてしまった。
それで先の一幕が起こるのである。
「はぁ、亜美そんなにはしゃがないでくれ…。目立っちまうでしょうが。」
焼け石に水だろうとは思いつつも一応は注意しておく。
「だってお兄ちゃんと一緒に学校行けるのがとても嬉しくて!」
ひまわりの様な輝く笑顔で言われるとこちらとしてはもうなす術がない。
「ほら学校始まっちゃうよ?早く行こうよ。ほらほら。」
「わかったから引っ張るな。ほら、行くぞ。」
「えへへ、お兄ちゃん手を繋いで行こ?」
どさくさに紛れてとんでもない要求をしてくる亜美をあしらいつつすぐ近くの最寄駅へと向かう。
道中街ゆく人の視線を感じる(全て亜美に対してだが)ので、少し居心地悪くなりながらも何とか駅までたどり着く。
電車に揺られ約10分亜美と取り留めのない話をしながらSINEを返していたら、もう学校の最寄りに着いてしまった。
駅を出て、亜美と話しつつ歩いていると、突然声をかけてくる人がいた。
「よぉ遥眞!去年の3学期ぶりじゃないか!でさ、一個聞きたいことあるんだけどさ…隣の子、彼女?」
久しぶりに会ったというのに開幕早々爆弾を投げてくるのは俺の友達の
彼は学校では知らない人のいないほどの有名人、というのもサッカー部の新しきエースでありどの学校にも存在するであろうカーストという制度のトップグループに位置する男でもある。
とても元気系イケメンでありクラスのムードメーカー的存在であるのだが、その元気で単純な性格からそんなにモテる事はなく悠真はいつもそれを嘆いている。
「こいつは俺の妹の亜美だ。一応言っておくけど断じて彼女じゃないからな?」
「初めまして!西彦寺遥眞の妹の亜美です!兄がいつもお世話になっています!」
「そうだったのか!いやぁ遂に遥眞にも彼女ができたかって思ってしまったよ。俺は遥眞の親友をやっている野坂悠真って言うんだ。
よろしくね西彦寺さん!」
「私の方が後輩ですので亜美と呼び捨てにしてくださって構いませんよ?野坂先輩。」
「そっか、なら亜美ちゃんって呼ぶね。俺のことも悠真でいいよ。でさぁ遥眞君さぁ。」
「嫌だ。」
「まだ何も言ってないじゃん。」
「悠真の言いそうなことなんてすぐ思いつくぞ。どうせまた宿題見せてとか言うんだろ?」
「そこを何とか!遥眞様!学食のラーメンでどうでしょう?」
「ふむ、一考の余地あり。さーてどうしようかなぁ。」
「お兄ちゃんいじわるすぎ!宿題ぐらい悠真さんに見せてあげなよ!
「亜美ちゃん…なんて良い子なんだ…」
「まぁ良いだろう。どの教科?」
「全部で…。」
「お前さぁ。」
そんな馬鹿話しながら歩いているとすぐ学校に着いてしまう。
学校にはまた一癖も二癖もある友達がいるのだが同じクラスになれているだろうか?
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