第1話 俺の親友、全員集合!

 昇降口にてクラス表を見ると、俺の最も仲のいい友達4人全員同じクラスであった。


「なんか俺たちって絆?みたいの凄いよな!また今年も遥眞や暁人とかと一緒とか嬉しいぜ!今年もよろしくな遥眞!」


 悠真は運命の様なクラスの采配にはしゃいでいる。


 俺は今年もこのメンバーといられるのかと少し感慨に耽りながらクラス表を眺めていた。


「じゃあお兄ちゃん、とっても寂しいけれど私こっちだから行くね?私が行っちゃっても泣かないでね?」


 訳のわからないこと(わかりたくもない)を呟きながら亜美は一年の校舎へと消えていく。


「さて、じゃあ遥眞!俺たちも行こうぜ!俺らは確か、2年A組だったよな。だからあっちか!」


 何が起きても大抵元気な悠真がスキップでもしそうな勢いで歩き出す。


 この学校は私立星栄学園しりつせいえいがくえんと言う幼稚園から大学まで一貫の学校である。


 それなりにというか全国でもトップレベルで偏差値が高く、とても倍率が高い学校になっている。


 しかし、校則自体はとても緩いものでありバイトOK、私服OK、髪染めピアス等OK、スマホもOKと基本的になんでもOKである。


 しかも大学にそのまま行けることから本当に人気な学校である。


 この学校には実はもう一つ凄いところがあってとんでもなく強い部活、それも全国レベルの部活が2、3個あることである。


(改めて思い返すとうちの学校って凄いな…。本当にここに来れて良かった…。)


 俺は心からそう思った。


 ズンズンと、進んでいく悠真の後を追いながらそんなこと考えているといつの間にか俺の新しいクラスに着いてしまった。


 やはり、新しいクラスというものは入る時に誰でも緊張してしまうもので俺も一呼吸置いてからクラスに足を踏み入れる。


 クラスに入って一番最初に目があったのは…俺の友達の天堂暁人てんどうあきとである。


 彼は爽やか系イケメンであり全国常連の我らがバスケ部のキャプテンである。


「やあ、遥眞。こないだぶりだね。おはよう」


 女子が見れば大体が騒ぐであろう爽やか笑顔を見せながら彼は言う。


「おう、暁人おはよう。お前また大会勝ち上がったんだって?今度うちでご馳走してやるよ。」


 彼はやはり爽やかな笑顔付きでお礼を述べる。


 すると、暁人の後ろからヒョイっと顔を出して小さく抗議するものがいる。


「ねえ?私もいるんだけど?もしかして遥眞はお姉ちゃんの事忘れちゃったのかな?」


 彼女は天川千春あまかわちはる。泣く子も黙る女子バレー部のキャプテンである。


 ちなみに全国常連である。


 さらにちなみに、千春は暁人の彼女である。


 さらにさらにちなみに口ではお姉ちゃんと言っているが、実は彼女身長が140cmしかない上にスタイルだけは良くてまぁいわゆる合法ロ○巨乳である。


 とまぁこの様にパンチが効いたキャラである。


 なお、彼女に身長の事を持ち出すと烈火の如く怒り始め、身長に似合わない怪力で投げられ絞められ極められるという地獄の3コンボを食らってしまう。


 何が言いたいかというととにかくパンチが効いた人間なのである。


「いや忘れてない。本当、本当だって。暁人に挨拶し終わったら挨拶するつもりだったんです。はい。本当だから。断じて見えなかったとかじゃないからね?」


「本当かなぁ?怪しいなぁ?お姉ちゃんの事見えなかっただけじゃないのかなぁ??」


「そうだ!悠真、宿題見せてあげるよ!えっと全教科だっけ?はいこれ。ついでに教えてあげるよ!」


「あぁ、ありがとう!でもなんでそんなに焦ってんだ?」


「いやぁ特に何もないからあっちで宿題やろうぜ!」


 身命を賭して話題を変えようこの場から逃げようと努力してみるも…。


「遥眞ー?まだお話終わってないんだけど?なんで逃げようとするのかなー?」


 ガシッと捕まえられた。


 肩がミシミシなっている。


「あの…?千春さん?肩が痛いんですけど?ちょっと暁人さん見てないで助けて?ねえ?いや、合掌すな。痛い痛いイダイ。」


 この後千春にさんざん絞られましたとさ。


 めでたくなし、めでたくなし。


「そういえば唯音は?まぁあいつ朝弱いしそりゃ来ねえか。」


 俺の最も親しい友達最後の1人である機織唯音はとにかく朝が弱い上、従来のぽわぽわした性格がそれに拍車をかけて、学校に到着するのがとても遅いのである。


 この前、5人で山登って朝日拝みに行ったのだが、唯音だけは何をしても起こすことができず、1人だけ朝日を拝めなかったという武勇伝を持っている。


「まぁとりあえず皆同クラになれて良かったね!お姉ちゃんとしてはこう、何か、感慨深い物が…。」


 やはり、友達といる時間というのはとても速く過ぎてしまう。


 ホームルームまで後1分という時間になってしまった。


 教室の前の扉がカラカラっと開く。


 こういう時すわ、先生が来ちまったかと身構えてしまうが、今回は先生ではなく俺の親友最後の1人である機織唯音はたおりゆいねが入ってきた。


「皆〜。おはよ〜。また一緒のクラスだねぇ〜。今年もよろしくねぇ〜。」


 

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