第12話 オリエンテーション旅行②
オリエンテーション旅行二日目。
本日はお日柄もよく絶好のオリエンテーション旅行日和になった。
二日目は何をするのか。
代表的なのは夜にやる、キャンプファイヤーと肝試しである。
個人的にもこの旅行で一番楽しみだったのはこの二つである。
午前、午後は様々な種類のあるコース、例えば川でアユ釣りをやってみるとか、を事前に選んでその選んだやつをやるという仕組みだ。
俺は午前にバードウォッチングをして、午後は木材で小物を作る木工教室に参加するつもりだ。
悠真、千春、暁人はもっと体を動かすやつをやるらしく、唯音はなぜか俺と選んだやつが二つとも被っていた。
「じゃあ、唯音。集合場所行こうぜ。」
「うん。鳥を見るの楽しみだなあ~。」
「お前そんなに鳥好きだったっけ?」
「え~うん。もちろん~。」
一瞬、唯音が俺が行くところ調べて一緒に来てくれたのか…なんて恥ずかしいことを思いついてしまったが、さすがにそんなことはないだろう。
このバードウォッチングの引率の先生は…苗字に鳥って入ってるからか鳥原先生だった。
「おーしじゃあまずこの双眼鏡一人一つ取っていけー。んで、指定に位置に待機してろー。静かになー。」
やはり、静かな森林の中はとっても気持ちいい。
自然と一体になってる感がすごくて俗世での悩みなんて吹き飛びそうだ。
吹き飛びはしなかったけど…。
このバードウォッチングの時間はとても有意義であった。
静かで涼しい森林の中で大自然の一端を掴む…。
響きも中身も最高であった。
(友達とわいわいするというのも楽しいんだけど、たまにはこうやって静かにするのもいいな…。)
「遥眞~。鳥を見つけられなかった~。」
俺の隣に、ここに来た目的の9割を達成できなかったかわいそうな奴がいた。
「えぇー。そりゃどんまい。」
「でもね~代わりにリスを見っけたんだ~。」
このかわいそうな奴、代わりにとんでもない大収穫を達成してた。
「え?リス?いいなー。可愛かった?」
「うん。とっても可愛かった~。」
「うらやま過ぎる…。」
俺もリス見たかった…。
午後は自然の家の中に入り木工教室である。
今回は木でペン立てを作るらしい。
まず大体の設計図を描き、どんな機能をつけるのかを書く。
その機能をつけるために必要なパーツを作る。
そしてベースの直方体のペン立てにそのパーツをつける。
こんな感じであった。
「遥眞~見てみて~私のペン立て!」
「お…おー可愛いペン立てだね!」
唯音のペン立ては機能等はついてなくシンプルなペン立てだったのだが機能がない代わりに装飾が付いていて花弁や風を表現したペン立てとなっていた。
唯音は昔から家事以外の全てに器用であったので装飾も形がよく素晴らしい芸術作品となっている。
木工教室の引率の先生や教えてくれたお爺さんからも絶賛されているところから唯音の作品のすごさがわかるであろう。
対して俺は唯音のやつとは対照的に機能性をとことん追求したペン立てになった。
装飾などは一切なしでひたすらポケットとかいろいろな機能をつけたこのペン立ても先生たちに褒められた。
う、うれしいとか思ってないからな!?
ほんとだょ?(;゚Д゚)
夜ご飯はなんとバイキングである。
豪華だ。
とってもおいしかった。
そんなこんなで待ちに待ったキャンプファイヤー&肝試しの時間になった。
楽しみすぎて震えそうである。
まずキャンプファイヤーは火を囲んでフォークダンスを踊った。
そしてその後ミニゲームをした。
ミニゲームの当初は子供っぽ過ぎなんて文句をぶーたれてたやつもやり始めると皆楽しそうにしていた。
そこら辺はやはり皆未成年の子供だということだろう。
やがて、肝試しの時間になった。
オリエンテーション旅行委員が脅かす役をしてそれ以外の人たちは二人ペアを組む。
ちなみにペアはクラスでくじ引きだ。
で、キャンプファイヤーをしているこの中央広場からぐるりとこの自然の家の周りの決められたコースを一周して帰ってくるといった感じである。
「おーしじゃあくじ引くぞー。」
先生の号令に倣いみんな集まる。
俺が引いたくじは6番である。
このクラスで6番目に出発するペアだということだ。
ペアを探すために周りを見渡す。
「なあ遥眞!何番だった?」
「俺は6番。悠真は?」
「まじか!あと一つだったなあ…。俺5番。」
「暁人と千春は?」
「おれは18番だったよ。」
「げっ。お姉ちゃん5番…。」
「おー千春と一緒かー。」
悠真と千春はペアらしい。
「あ、帰ってきた!唯音は?何番だった?」
「えっと6番だったよ~。」
「え!?遥眞と一緒やん!」
「そうなんだ~。よかった~。」
なんと唯音とペアだった。
何やらこのオリエンテーション旅行唯音と運命があるようだ。
俺らはD組である。
よってまだ肝試しの順番は来ない。
俺は来るべき肝試しの順番に思いを馳せるのであった。
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