第3話 亜美と唯音たちの邂逅
授業というものはやはり、退屈なものではあるが気が付けば終わっていたというのも多い。
俺は一応学校の成績が上位に位置していたりするためちゃんと授業を聞いてはいる。
聞いてはいるのだがやはり退屈である。
そんな授業の時間を切り抜けて放課後に至る。
放課後はやはり解放感がすごいものである。
さっそくうきうきした顔で寄ってきた悠真が満面の笑みで俺に向かって飛び込んできた。
「なあなあ皆、カラオケ!カラオケ行こうぜ!」
こいつの主張に対して俺が思ったことが4つほど…。
(重い、暑い、苦しい、早くどいてくれ…。)
「カラオケかぁ。お姉ちゃんとしてはおしゃれなカフェに行きたいんだけどなぁ。」
(カラオケかカフェか…。まぁどちらかというとカラオ…。)
そんなことを考えていると突然俺の左から爆弾を投下された。
「遥眞のおうちとか行ってみたいかも~。」
誰がこのようなことを言ったのか皆さんならお分かりだろう。
そう犯人は俺の隣の天然ぽわぽわ姫、唯音である。
「え?いや…俺の家はちょっと……」
そう断ろうとしたのだがこういうことに関しては耳ざとい悠真が便乗してきた。
「お!遥眞の家とか最近行ってないからいいじゃん!遥眞の家いろいろ面白いの置いてあるから楽しいんだよな!」
そこにわれらが姉御、千春の最後のダメ押しが加わる。
「遥眞の家いいかもね!あーくんはどう思う?」
あーくんというのは暁人のことであり、暁人は千春のことをちぃと呼んでいる。
「はははっ。まあ遥眞の家久しぶりだしいいんじゃないかな。」
(いいんか…彼氏として…そんなんでいいんか…)
実はこう思ってたことは内緒である。
とまあこのように外堀を埋められた俺にこたえられる選択肢など一つしかない。
「わかったよ…じゃぁ俺の家に行くか…。」
妙な敗北感を感じながら帰宅の準備をする俺。
皆を引き連れてトボトボと校門を後にしようとしたときに突然声をかけられた。
「お兄ちゃん!一緒に帰ろ?」
そう妹の亜美である。
(亜美よ…。おぬし帰りの道まで俺と変えるつもりだったのか…。はよ兄離れしてくれないかなぁ…。)
とても亜美の将来が心配になってきているがまあそれは置いといて…。
「わあこの子が亜美ちゃん?とっても可愛いねぇ。((*´Д`)ハァハァ←現在の千春の状態)亜美ちゃん、亜美ちゃん私は天川千春っていうの。お兄ちゃんのお友達だよ!よろしくねぇ!千春お姉ちゃんって呼んでくれて構わないからね!」
もう一人精神が心配なやつが現れた。
実は千春可愛い物、人のことが病的なまでに好きであり、その時は中身がお姉ちゃんからおっさんにクラスチェンジしてしまうのだ。
そんな千春にたいして亜美はというと…。
「あ、あなたが千春先輩ですか!((*´Д`)ハァハァ←現在の亜美の状態)では、千春お姉ちゃんと呼ばせてもらいます!わたしお姉ちゃんが欲しかったんだぁ!」
こっちもどんぐりの背比べであった。
実は亜美、お姉ちゃんが欲しかったらしくアニメや漫画においてもお姉ちゃんキャラしか推しがいない。
そんな趣味嗜好ががっちり嚙み合う二人の最初の邂逅はこんな感じであった。
話が長くなりそうだと判断したのか暁人が絶妙なタイミングで間に入る。
「これ以上話すと通行人の邪魔になっちゃうからそろそろ歩こうか。西彦寺さん俺の名前は天堂暁人。遥眞の親友をやらせてもらっているんだ。よろしくね。」
やはりイケメンのやることは違う。
(なんてイケメンな間の入り方だ…。俺にはまねできない…。)
「はい!天堂先輩ですね!私の名前は西彦寺亜美といいます!どうぞ亜美と名前で呼んでください!」
「わかったよ。亜美ちゃん。」
「私も自己紹介する~。私のね~名前はね~機織唯音っていうんだ~。亜美ちゃんよろしくね~。」
ラストバッターは唯音である。
「きゃぁぁぁぁぁ。唯音先輩可愛いぃぃぃぃぃ。やばい興奮してきた。」
どうやら亜美もおっさんへの道を開いてしまったようだ。
唯音はしゃべらなくてもとっても可愛いのである。
まるでリスのようなハムスターのような守ってあげたくなる可愛さが全身からにじみ出ている。
そのうえ、ぽわぽわした話し方が可愛いのでそれはそれはもう可愛さのビックバンである。
とは後日の亜美の話である。
すごい興奮しながら話す亜美はちょっと絵面がやばかった。
「亜美ちゃんさっきぶりだね!」
もう一度会ったことのある悠真はにこにこと人好きのする笑顔を浮かべながら挨拶をする。
「はい!悠真先輩さっきぶりですね!ところで皆さん何されてたんですか?」
「実は今から遥眞の家に遊びに行こうかなぁって話してて…。亜美ちゃんも来る?」
悠真が亜美を誘う。
(たぶん悠真こいつ亜美に気があるな…。まぁそりゃ亜美ブラコンな部分だけ除けば相当に美人だしなんでもできるからな…。)
なんか直感的にそんなことを考え付いた。
周りを見ると皆同じような顔をしているためあながち間違ってはいないのだろう。
「え?もちろん行きます行きます!お兄ちゃん?なんで言ってくれなかったのー?」
「いやあそのー忘れてた連絡…。」
すんませんした…だから怒らないで…
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