第7話 旅行の準備とそこで…
あんなこともあった土曜日も過ぎ、みんなで買い物に行く日曜日になった。
悠真、暁人、千春は一緒に行く予定だったので問題なし。
唯音も昨日いろいろ手伝った甲斐もあって一緒に行くことになった。
朝の十時に大型ショッピングモールのある駅、「西寺」で待ち合わせをする。
現在朝の九時半だが、俺の隣にはなぜか妹の亜美がいる。
(なんでこうなったんだ…。)
朝、「西寺」に行くために準備をしてたのだが突然家のインターホンが鳴った。
なんだなんだと思いつつ開けてみるとそこには般若と聖母マリアをたして二乗したような顔をしている亜美がいたのだ。
「な、なんでお前がいるんだ…?何しに来た…?」
「お兄ちゃん~?なんで私に明日皆と買い物に行くこと黙ってたの~?」
「え?いや言う必要ないかなって…。」
「めっ!私も千春お姉ちゃんと唯音さんと遊びたい!ということで私も行く!」
「ま、まあ俺はいいけどちゃんと皆に聞いたか?」
「ほら!」
そういって亜美が見せてきたものはあいつらとのSINEの個チャ。
全員から大歓迎との意味のメッセージをもらっていた。
「なら仕方ないか…。」
こうして今に至る。
「ふっふーん。みんなと遊ぶの楽しみだなあ!」
さっきから亜美はご機嫌である。
「まあ、迷惑かけないようにしなよ?」
「わかってるって!」
亜美は見た目はとても美人なのでさっきから視線を感じる。
自分に向けたものではないとわかっていても居心地が悪い。
そんなことを考えているうちに暁人と千春のバカップルがやってきた。
「亜美ちゃんに遥眞おはよー!亜美ちゃん今日もかわいいねぇー。」
「千春お姉ちゃんおはよー!千春お姉ちゃんこそ大人の色気ってやつが…。」
「おぉーわかる?やっぱ亜美ちゃんは可愛いなあ!」
女子二人は盛り上がってる。
「遥眞おはよう。今日もいつも通りだね。」
「おう、おはよう。まあ最低限だな。めんどくさいし。」
「まったく、もうちょっとちゃんとすればモテるのに…。」
「まぁいいんだよ。」
次に、唯音が来た。
「みんなおはよ~。亜美ちゃんかわいいねえ~。」
「唯音さん!おはようございます!唯音さんもめっちゃ可愛い!」
「ふふっ。ありがとう~。」
悠真に関しては略しておく。
「よしじゃあ行くぜ皆!いざショッピングモールへ!」
いつも通り元気な悠真を先頭にショッピングモールに向けて歩き出す。
悠真は亜美と話しつつ先頭で歩いていて、暁人と千春は真ん中をラブラブに歩いており、俺は最後尾を少しいたたまれなくなりながらも唯音と歩いていた。
「ところで遥眞!今日何買いに来たんだっけ?」
「オリエンテーション旅行に必要なものとか服とか?」
「了解!じゃあまず旅行に必要なものからだな!」
みんなと楽しくしゃべりながら買い物をしていたらあっという間に昼ご飯を食べる時間になってしまった。
「お昼ごはんどこでたべる?お姉ちゃんとしてはあそこのカフェとか…?」
「おういいぞ!」
「わたしもいいよ~。」
「ちぃが好きなところで。」
「千春お姉ちゃんのおすすめのカフェ…行きたい!」
皆口々に賛同する。
「遥眞はここでもいい?」
「お…おう。」
少し嫌な予感がする。
(なんかここあいつが働いていたような…。あいついたらちょっとめんどいかも…。)
「遥眞どうしたの?」
「い、いやなんでもない。入ろうか。」
湧き上がるいやな予感を抑えて店内に入る。
「いらっしゃいませ~6名様ですね~こちらの席……あれ?はるくん?」
いい予感は当たりすらしないのにいやな予感というものは大体当たる。
俺らを案内するために出てきたこの女性は川崎真夏。
現在大学2年生で…俺の天敵(?)だ。
「い…いやきっと人違いです。よしみんな席に行こう。」
「うそ!はるくんだよね?」
「チガイマス。」
他人の空似路線でごり押しながら(できていない)みんなと席に着く。
「遥眞ーあのきれいな人だれー?」
席に着くと早速千春が聞いてきた。
「あの人は知らない人だよ。」
そう答えたら上から声が降ってきた。
「はるくんのお友達かな?私はねー川崎真夏っていうの。はるくんとはね幼馴染だよー。」
「あ!よくお兄ちゃんをからかってたまな姉じゃん!」
「そう呼ぶってことはもしかして亜美ちゃん?」
「そうだよ!久しぶりだね!」
旧知の仲である亜美と真夏は再会を喜び合ってる。
が、俺はこいつが苦手だ。
毎日毎日飽きもせずにからかってきてこいつのせいで受けた風評被害は数えきれないくらいある。
一人暮らしを始めてやっとこいつとの接触が減ったと思いきやこんなところで会ってしまった。
「この人はねまな姉っていってお兄ちゃんと仲の良かった人。」
「そうなんですか!私は天川千春って言います!遥眞の友達です!」
「俺は野坂悠真って言います!」
「俺は天堂暁人といいます。よろしくおねがいします。」
「機織唯音です。お願いします。」
「そっかそっかー。あの私がいなかったら亜美ちゃんとしか話せなかった遥眞にもついに友達が…。」
「何言うとんねん。」
だからこいつ苦手なんだって…。
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