「首の皮、1枚」2021年6月9日夜①

実家の家電にかけてみると、なかなか出ない。

何回か、かけてやっと繋がった。

出たのは母さんじゃない、舞子だ。


『お兄ちゃん?舞子やけど、、、どうしたん?』


「とにかく、母さんに変わって、、、」


『え、、、分かった』


言葉にならない感じの声と過呼吸寸前の母さんの呼吸音だけが聞こえる。


『母さん拒否ってんだけど、、、何があったん?』


「俺はとにかく予定を早めて15日以降に引っ越しできるようにしたら変になってさ」


『それでどうなったん?』


「なんか母さん疲れたとか言って、既読無視やし、何があかんかったの?」


『最初からうちが聞くわ』


「俺はそっちが早くしろって言ったから、結構かなり無理して予定を早めたんだよ」

「自分の引っ越しはレンタカー借りて自分ですれば、早めれることが分かってそうするようにした」


『ありがとう、うちらが早くしてほしいって言ってたから、頑張ってくれたんだよね』


「でもなんで?」


電話口の向こうで舞子が母さんと話してる。


『急に言われてもだってさ』


「正直、精神状態やばいでしょ?だから早めたんだよ?」

「身の安全とかが最優先でしょ?」

「舞子や母さんのことを考えて、かなり無理してるよ」


『もしもしお兄ちゃん?スピーカーにするから、最初から言って』

『母さん分からないことだらけだから、不安らしい』



休みを変えてもらって契約は結ぶのを早めれることは出来るけど、また平日休みを取るのが難しいこと。

弁護士事務所は平日の昼間にぐらいしか開いてないこと。

本来なら15日の午後に引っ越しの予定だったけど、夜中に自分1人で引っ越しすれば時間は空くこと。

俺の荷物はそんなにないので、最悪仕事着と下着類だけ持っていけばいいこと。

契約を結ぶのはたぶん午前中で終わるから、午後に弁護士に相談が出来ないかを検討して今さっき出来るようになったと連絡が来たこと。

訴えるなら内容証明ってのが、必要になること。

引っ越し屋は1つじゃないし、電話をかけまくって何とかするしかないこと。


色々説明してたら、突然電話が切れた。



『子機の電池が切れた』


とラインが来た。びっくりした突然電話切れるんだもん。

今は21時だけど、いまだに会社の事務所なんだが、、、いつ帰れるの?


帰りながらライン厳しいから、しばらく会社か、、、

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