「ウソで塗り固められたアイツ」2021年6月12日夜
ネットについて色々考えてると、朝に写真で送られてきた督促状の話になった。
「よく見つけたね」
『あんなところに隠してあるなんて、思わなかったわ』
『写真、なんかの証拠になる?』
「なるんじゃない?7ヶ月家賃払ってないんだよ?」
『多分、私が掃除に行った時、慌てて隠したのかも?』
『彼に内緒で、こっそりちょこちょこ部屋に行ってたからね』
付き合い始めた頃、アイツの部屋があまりにも汚部屋過ぎて何回か掃除をしに行っている。アイツが住んでた川瀬の部屋は、床に足の踏み場のない部屋だった。
「そうなんや」
『ゲーム機と督促状が入ってた袋が付き合い始めの頃に私が作ってやった袋だった』
『パソコン入れて持ち運びに使うからって、作った手提げ』
『全然使ってないじゃん、ウソばっか』
『会社に置いてあるもんだと、思ってたのに、あんなところにあるなんて、びっくりだわ』
母さんは手芸が趣味で、今までも色々作ってる。
「ウソばかりだろうし、家族みんな騙してるだろうな」
『そうだね、ボロ見せないだろうし』
「今回のようなこと、初めてではないと思う」
「上手すぎりる手口が」
『何回も繰り返してるってこと?』
「素人が俺らの心を操れると思わない」
「操れるというより、誘導?」
『口は上手いからね、、、』
「素人がやるようなことじゃない」
「内容は違えど、今までもそうして生きてきたんじゃない?」
「自分に都合がよくなるように、家族も職場も交友関係も」
『あとね、川瀬に引っ越そうって話が出てた時』
『なぜか、白崎に住むのをすごく嫌がってた』
『あの辺でいちばん住みやすそうなのに』
たしか白崎は愉快な6人組ユーチューバーのホームがあり、時折暮らしぶりが公開されている。その様子から、たしかに住みやすそうな印象を受ける。
ただ俺は人混みが嫌いなので、稲宮に住んでる方がいい。
「なんか過去にあるんじゃない?」
『理由が知り合いがいっぱいいるから、会いたくないって言ってた』
『何かしら、過去を知っている人がいるのかもね』
「今回のようなことやって逃げた?」
『わからんけど、可能性はあるよね』
『白崎に会いたくない人物がいるのかもね』
「だな、、、初めての犯行じゃないと思う」
『だってクレジットカード、あの歳で1枚も持ってないんだよ』
クレカが持てない人をネットで検索してみると、うわぁこれかも、、、
さっそくリンクを送る。
「http://www.※※※※※※※※※※※※※」
「リンク見て、滞納したことある人は作れん」
『持てない理由は滞納、間違いない』
「しかも7カ月分よ?」
『普通じゃ考えられん、滞納を7ヶ月って、支払い金額は30万』
『ボーナス60~70万貰ってるはずだから、それで払ったかもね』
そんなに貰ってるのに、俺の金に手を出す?
「ボーナスもいいとなると、給料もいいだよね?」
『うん、かなりいいよ』
『でも、米美の口座の盗み方を見ると、絶句だね』
『エグイ』
「いいタイミングや、いい証拠になる」
『これも?』
「証拠というか、、、」
「アイツの人物像を想像するための参考資料にはなるんじゃない?」
『だね』
「昼休みにこの督促状の写真、ラインで松井さんに転送した」
『反応は?』
「なかなかすごいねとか、、、驚いてたし」
『なかなか、見ることできない状況だと思うよ』
「残すなんてバカやんって言ったら、同意してた」
「存在自体忘れてるかもね」
『だから、彼は自分のことにはあまり目を光らせないんだよ』
『他人に厳しく、自分には甘く』
「そういえば、なんでこのガラホになった?」
高校生の時はスマホだったけど、いじり過ぎて没収されて、社会人になってからも携帯を持たせてくれなかった。
だから軽く2年ほど高校の時の同級生と連絡取れなかったし、会社との連絡も大変だった。
思い返せば調べれば済むことなんだよね。APDのことも薬のことも、スマホがあれば調べれた。けどなかったから、調べれなかった。
『ガラホにした理由は、ネットを使わせないためだよ』
「情報弱者にしたかったんだろうな、、、」
実際はコンビニとかのWi-Fiでラインしてた。
コロナが流行る直前の12月に友達と京都旅行に行く前にタンス貯金してたお金使ってポケットWi-Fiを買った。
スマホ世代あるあるだけど、携帯番号を聞く方が難度高い。
友達なら電話番号聞きゃいいやんってガラケー世代に言われそうだけど、ラインだけだったら切りたいときに切れるからラインだけを教える人がかなり多い。恋人にすら、ラインだけって人が多い。
今の時代、ストーカーなりトラブル回避のためそういう人が多い。
『私は落ち着くまで、今の車に乗っていればいいかな?』
母さんの車はアイツ名義、、、そこがネックだな、、、
「それは弁護士に聞くね」
「ダメだったらレンタカーでしのぐしかないかも」
「1週間借りっぱってコースもあるから、レンタカー」
レンタカー屋にあったチラシを撮って、送信。このチラシはかなり前に車を借りたときにもらった。
『そうなんだ、これお得やん』
『月3万か、いいね』
『まさかだと思うけど、GPSついてないよね?』
たしかに、GPS誰でも思いつくからね。
こっちがやってて、あっちがやってないとは言えない。
ふととある漫画を思い出した。
漫画家がデートのために逃げるんだけど、車の内部にGPSつけてて追跡する話。
「万が一のことを考えて、引っ越し後はレンタカーにするのもありかな」
『私の職場を知ってるからな、見張られても困る』
「それもある」
「アイツの知り合いとこで買ったんだよね?」
『うん、買った』
「車の内部にGPSを仕掛けることも出来るんだよね」
「電源は車のバッテリーとかで永久に出来るよ」
『知り合いの人で、つきあい長そう』
『そっか、可能性はないとは言えない』
そっからは漫画や実際の事件例や社会問題を話して、盛り上がった。
ゾンビになる麻薬、映画にもなった伝説の運び屋、アイスクリームロマンス、、、
似たもの同士だと、改めて思った。
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