「勝ち筋しか見えん」2021年6月13日夜

荷物をまとめてると、母さんからラインが来た。


『買い物してても食欲ないから、食べ物見ただけで気持ち悪くなる』


「なんかごめん」


『謝らなくてもいい、でも肉を見ただけで吐きそう』


「、、、視界に入れないようにね」


『カゴにステーキ肉、入ってるんだもん』


母さんはアイツと買い物に毎週行っているようだ。

写真が送られてきた。

どれどれ、、、プレミアムビーフステーキ300g、660円。

しかも、いかにも油が乗ってそうなヤツを選んでる気がする、、、


「これ食うの?アイツが1人で?」


『そそ、毎週日曜食ってる』


「同じ値段で、2倍は安い肉を買える」

「豚の細切れの詰め合わせのお徳用とか」


『鶏むねとか最高、唐揚げ旨い』


「大量に買うと安いから、でかいヤツ買って」

「保存法で長持ちか一部調理して、あとは下処理して冷凍だね」


『色々してるんだね』


「食費、月2万」

「内訳米4000、会社で頼む弁当代6000、食材1万」


『1人だと、それぐらいがギリギリだよね』


しばらく返信が止まり、携帯を置いて荷造り再開してるとラインが来た。


『買い物のグチ、言っていい?』


「ええよ」


『3週連続、冷やし中華、やばいわ』

『毎週、食べたくないわ』


「、、、やばす」


スケットダンスの影響でたまに出る。ヤバサワさんの影響、、、何気にいいキャラしてたから、移りました。オタクあるある、キャラの影響を受けてクセになる。


『カゴの中を見て、がく然とした』

『彼、肉とかも同じものを毎週入れる』

『いい加減、飽きる』


「あの麺、意外と高くね?」


『うん、高い』


あの黄色い冷やし中華専用の麺。特殊な製法をしてるかは知らんが、一般的な中華麺より高い。

だから、俺はほぼ買ってない。


「俺も同じような肉を買うけど、味は変えてるよ」

「塩、ケチャップ、ネギ塩、ドレッシング」


『同じ味付け肉、毎週買うんだわ』


ん?えっと、味付け済み肉を毎週買う?

さすがに飽きるわ、、、

俺は味ついてない細切れ肉を片栗粉で固めて肉団子にしたりとかして、味も食感も変えて食べてるのに、、、


「レモンの味付けの鶏肉は、焼いてサラダに乗せるのが最高」

「トマト、アボカド、カット葉野菜でゴマドレ」


『味違うけど、同じだ』

『粉チーズかけて、シーザーサラダにする』

『彼、肉だけ食って野菜だけ残る』


「嫌だな、、、」


『でしょ?バランスよく、食って欲しいわ』

『昨日だって、トマト缶とソーセージの炒め物をしたんだよ』

『朝見たら、ソーセージだけないの』


写真が送られてきて確認する。

白い皿にねっとりとした赤い液体がついてるだけの画像。

まさか、トマト缶とソーセージの炒め物?


「ソーセージ1個もないね」


『勘弁して欲しいわ』

『箸とか片付けてるから、多分手づかみ』


え、、、そうなん?これトマト缶とソーセージの炒め物?マジすか、、、


「もうさ、なんか病気なってそう」

「糖尿病なっててもおかしくない」


『彼だけの日曜日の晩ご飯、1食で多分1000円』


「、、、俺、1食300円いったら高い方よ?」


『ステーキ肉が大きい』

『たまに1人で丸々1匹、鰻を食う』


「鰻か、、、食いたいけど、我慢してたよ」

「通勤路にうなぎ屋あって、いい匂いしてた、、、」


『だよね』


「でも節約してたから、行かなかった」

「たまにお菓子食べながら、お酒飲んでるのが。一番の贅沢だった」

「たまにマック行くかミスドに行くぐらいか?外食は」


『そうだよね』


「そんな生活してるから、実家に疑問があったよ」


『だって、カゴに入れるのもの』

『特に肉、すごいもん』


「なんか豪華やねって感想だった」


『どんどん高くなっていった』

『日曜日の晩ご飯、肉と刺身のダブル』

『毎週、食べたくないけど、勿体ないから食べてた』

『あれはね、たまに食べるから、旨いだよ』

『毎週、食べたくないわ(※'ω')』

『同じものばっか、他のおかずを食べれんやんけ』


「最初は俺が来るからって、思ったけど、、、刺身あったし、気にはなってた」


『先週今週、カツオのぶっかけもり』


「こんなこと、だったとは、、、もっと早く気づくやったわ、、、」


『そうだね、でもまだ間に合ったからいいじゃん』

『事後報告がなかったら、気づくの遅れてたよね』


「でもいい、被害額140万、越したから思い切りやれる」


詐欺として140万越すと、地方裁判所案件になるからだ。


『だね』


「アイツ、バカなの?」


『バカだと思うよ、色んな意味で』


「事後報告なかったら、気づくは遅かったかも」


『家賃滞納の証拠、引き出しの荒らさ』

『自分のことは、何にも気をつけない、気にしない』

『証拠があっても、隠し方、雑だし』


「松井さんに相談して、第三者から見ても事後報告はオカシイって分かって動き出した」


『なるほどね、フタを開けてみたらビックリって訳だったんだ』


「ほんとタイミングよ」


『でもまだある程度残ってたから、良かったよ』

『運がいいけど、大損害』


「だね、口座に残ってなかったら何も出来てない」


『うちら、出ていったあと、彼の家族に言った方がいいの?』

『放置?詮索されると厄介』


「だよな、、、」


『私の仕事先に現れるとか、舞子を待ち構えるとか』


「、、、やりそう」


『やばいんだよ、どうするよ?』


「15日に相談だな、、、ほんとアイツ、案件増やすね」

「そんなけクソだった訳か」


『弁護士に聞きたいこと全部メモしといて、聞いておいて』


「なんだっけ、、、」

「接触禁止令、家賃、今の車の待遇、アイツをどうにかしたい、ポルノ」


『彼の家族に言うべきか』


「証拠はまとめてあるしね」


『社員証、マイナンバー、健康保険証の写真』

『家賃の滞納の書類の写真』


「過去の通帳の写真」

「ボーナス、給料の明細」

「パソコンに銀行に履歴ある」


『ほー、だから分かるよね?』


「俺が銀行作ってからのが、全てある」

「母さんからのメールで、管理者がアイツに切り替わった日が分かる」


『ほほーそっか』


「後日でいいから、証言してくれれば確実やし」


『やっぱり、そこから格段に預金額が減ってるでしょ?』


「アイツからのお金準備したでなこい、メールもある」

「金額付きでな」


『゚+。:.゚おぉ(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚』

『それはいい、証拠ですな』


「だから、メール以外の引き出しは何ってなる」


『米美、了承してないだよね?』

『私、知らんし聞いてない』


「過去の母さんの引き出しの実績がある」

「アイツに変わったら、銀行の引き出し方とか頻度が変わった」

「となるとこの余分な引き出しが何ってなる」


『そうだよね』


「負ける要素がない」


『彼が時々、クソガキに見える』

『精神的な部分でね』


「だな」


『いじけるし、 言われたくないこと、聞かずにその場を離れるし』


「眠いからとにかく寝る、おやすみ」

「話したいやろうけど、ごめん」


『いいよ、おやすみ』


眠気ヤベー、、、明日さえ頑張れば、なんとかなる、、、眠い、、、

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