「APDの傾向がありますね」2019年7月20日

俺はこの日、約1カ月前に受けた検査の結果を心療内科に聞きに行っていた。

少し遠いが名医らしいので、母さんはここにしたらしい。


受付で診察券を出し、待合室で待っていると名前が呼ばれた。


「如月米美さん、如月米美さん、きさg、、、」


3回呼ばれかけないと、気づかなかった。

待合室のテレビの音に混じって聞こえなかった。特に知らない人の声は混じりやすい。みんなそういうもんだと、この日まではそう思っていた。


呼ばれたのでドアを開けた。先生が結果用紙を持ち座っていた。


「こんにちは、如月さん」

「こんちは」


緊張して噛んだ、、、はずっ、、、


「早速ですが、結果を報告しますね」

「如月さんは、APDの傾向がありますね」


「ほう、、、」


「軽度ですので、APDとは言えませんがその傾向があるだけです」


「なんですか?そのA、P、D、でしたっけ?」


「まさに今、その特徴が出ましたね」


「え、なんです?」


先生は分かりやすくゆっくりとした口調で


「APDは外国語の略ですが、日本語に直すと聴覚情報処理障害と言います」


と言った。


「まさか、、、」


テレビの音に混じる声、聞いたことを覚えれないとか、思い当たる節がいくつもある。今まで出来ない自分が悪いと思っていたけど、障害だったなんて、、、


「如月さんが思った通りかは分かりませんが、APDは聞こえるのに聞こえない障害と言われています」


先生の説明を要約すると、、、


APDには大きく分けて6つの症状がある。

聞き返しや聞き誤りが多い。

雑音など聴覚環境が悪い状況下での聞き取りが難しい。

口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい。

早口や小さな声などは聞き取りにくい。

長い話になると注意して効き続けるのが難しい。

視覚情報に比べて、聴覚情報の聴取や理解が困難である。


対処法としては、、、


薬で解決できない障害で、治療法も確実なものはない。

周りの協力が必要。

協力の仕方としては、文字で伝える。1対1で話す。

など色々と工夫の仕方はある。


この障害は大人になってから、分かることが多いらしい。

でも分からないより、分かった方がいいでしょ?

周りも謎なヤツで対処に困るより、こういうヤツと分かった方が絶対に楽なる。

個性の1つと受け入れて、上手く付き合っていくのがいい。


そんな感じのことを言って先生は、診察を終えた。



診察を終え、アイツに報告した。


「もしもし」


『どうだった?』


先生の説明をそのままアイツに伝えた。


『そっか、分かった』

『母さんには俺から上手く言っとくわ』

『母さん、このことで精神的におかしかったから、米美からは何も言わんでくれ』

「分かった、よろしく」

『任せとけ』

「またね、じゃ帰るために移動するから切るね」




次の出社日に、所長、事務員さん、上司、同僚に報告し、仕事が円滑に出来るようになった。

理解してくれる仲間で、この会社に入ってほんとによかったと思った。

すこしキツイ体力仕事だけど、しがみついて仕事しててほんとに良かった。

高校3年の12月でまだ就職が決まってなかった俺を拾ってくれた会社に感謝した。

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